鳥居一豊の「良作×良品」

映画、アニメ、ゲームに隙無しの4K高画質。REGZA「50Z20X」

黒浮きほぼゼロ。HDR、1080/120fpsの衝撃

 今回の良品は、筆者もかなり興味を持っている4Kテレビ、東芝「50Z20X」(実売価38万円)。液晶パネル、自慢の全面直下LEDバックライト、高画質エンジンの「4K レグザエンジンHDR PRO」と画質に関わる要素のほぼすべてを一新したフラッグシップモデルだ。

50Z20X

 それぞれの高画質要素を解説すると、全面直下LEDバックライトは、HDR入力にも対応するピーク輝度1,000nitを超える高輝度LEDを搭載。かつてのモンスターマシンCELL REGZAはピーク輝度が1,250nitあったが、全白表示は500nit。だが、Z20Xシリーズは全白800nitと業界最高レベルの高輝度表示を可能にしている。そして、LEDバックライトのエリアコントロールでは、従来のような時分割(一定の時間当たりの点滅数で明るさを調整する)に加え、明るさを調整する電流制御をエリアコントロールでも行なうことで、暗部方向の再現性を向上。これにより、明暗のダイナミックレンジを大幅に拡大している。

 液晶パネルでは、次世代の放送規格であるBT.2020の色域を約80%カバーする広色域を実現した。RGBのうちのR(赤)など、特定の色の再現性だけを高めるのではなく、RGBともバランスよく色域を拡大することで、自然でリアルな色を再現できるものとなっている。また、液晶パネル表面は、グレア(光沢)パネルを採用。東芝では「ハイコントラストブラックパネル」と呼んでいる。歴代のREGZAを振り返ると、グレア(光沢)パネルの採用はCELL REGZAとZ9000シリーズで、以降のモデルではハーフグレアパネルの採用。今回はダイナミックレンジ拡大のためにグレアパネルの採用に踏み切ったという。

50Z20X

 グレアパネルはパネル表面での映像の不要な乱反射が抑えられているために、黒が美しい締まった映像になるが、反面外光の映り込みが多くなる弱点もある。そこは外光の反射を抑えるARコートを加えることで、映り込みを低減している。ちなみに、Z20Xでは、BDソフトなどの3D映像への対応を省略している。120Hz駆動の4Kパネルで採用が多い偏光式3Dでは、パネル表面に偏光用のフィルターを重ねる必要があるため、わずかとはいえパネルの透過率を落としてしまう。これを嫌ったものだ。3D非対応は残念だが、3Dへの対応を諦めてまで、ダイナミックレンジの広い映像を追求したのだろう。

4K レグザエンジンHDR PRO

 そして、「4K レグザエンジンHDR PRO」は、中核となるシステムLSIこそ「4K レグザエンジンHDR」と同じだが、映像処理に関しては追加された専用LSIが受け持っており、2段階再構成型超解像などをはじめとする超解像処理、HDR復元、広色域復元といった映像処理は別物と言えるほどの高精度な処理になっているという。

 いわゆる4Kテレビの機能としては、スカパー! プレミアムチューナー内蔵で「スカパー! 4K 総合/映画」の視聴が可能。ひかりTV 4KやNetflixなどの4K動画配信サービスにも対応する。そして、テレビ録画機能では、対応するUSB HDDを追加することで地デジ×6chの全録機能「タイムシフトマシン」にも対応。チューナーは地デジ×9、BS/110度CS×3を備える。タイムシフトマシンを使わない場合でも、USB HDDを使って、視聴+2番組同時録画が可能だ。

 クラウドサービス「TimeOn」などのネットワーク機能に対応。Wi-Fi内蔵でネットワーク接続もワイヤレスで行なえる。だが、こうした機能は前作のZ10Xや下位モデルのJ20Xなどもほぼ同様だ。やはりZ20Xが他とあきらかに違っているのは、「高画質」だ。

スタンド部

「ターミネーター:新起動/ジェニシス」で、深い黒の再現に圧倒される

ターミネーター:新起動/ジェニシス ブルーレイ+DVDセット
(C) 2015 Skydance Productions and Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved. (C) 2015 Paramount Pictures.

 今回の良品は豪華3本立て。年末の大サービスというよりも、50Z20Xシリーズの画質の実力を存分に語るには、1つの作品だけでは語りきれないためだ。まずは映画「ターミネーター:新起動/ジェニシス」。視聴は50Z20Xを自宅にお借りして、視聴室にセッティング。自宅の4.2.4構成のドルビーアトモス対応のサラウンドシステムと組み合わせて視聴を行なった。使用したBD再生機は、パナソニックのDMR-BZT9600。

 自宅の視聴室に置いて改めて実感するのが、50型とは思えないスリムさ。今回は運送業者の手を借りて2人で設置をしているが、実際に置いてみるとひとりでもなんとか設置できてしまえそうに思える(無理は禁物)。画面周囲のフレームが細いこともあって見た目の圧迫感も少ない。12月17日時点では50型が37万円強、58型で約46万円、65型が約67万円ともなり、価格的に手が届きやすいのは50型と言えそうだが、設置するスペースや予算に余裕があるならば58型や65型も検討したい。

 まずは、地デジ放送などを見ながら、画質関連の機能をひととおり見ていったが、まず、画面が明るい。完全に暗室化でき、照明も最小限の白熱灯のみとした視聴室は基本的に薄暗いので、十分以上の輝度がある。この明るさならば直射日光が射し込むような明るいリビングでも豊かな色と力強いコントラスト感が得られるだろう。

 反面、映り込みはそれなりにある。一般的なテレビ放送ではあまり気にならないが、映画など暗いシーンの多い映像ではわりと室内や見ている自分の映り込みが目立つので、リビングで使う場合は、窓からの光が画面に当たらないような配置を工夫するか、昼間でも遮光性の高いカーテンを使って外光を遮るといった工夫をした方が見やすいだろう。

Z20Xの映像設定画面。映像メニューとコンテンツモードを選択した程度で、後はほぼデフォルト値のままで良好な映像が楽しめた

 今回は映画などを中心とした視聴なので、外光を落とした完全暗室としているが、液晶テレビの場合は、完全暗室では黒浮きが目立つという難点がある。だから、必要に応じて室内照明を調光してほどほどの暗さで見られるようにするのだが、50Z20Xは完全暗室でまったく問題がなかった。真っ暗な状態で黒浮きがほとんど気にならないというのは、液晶テレビでは極めて珍しい。

 「ターミネーター:新起動/ジェニシス」は画角がシネスコサイズなので、上下に黒枠があるし、ターミネーターシリーズではお約束と言えるくらい暗いシーンが多い。だが、視聴していて従来の液晶テレビのような黒浮き感がまったく感じられないのだ。これは凄いことだと思う。

 本作は、今まで4作あるターミネーターシリーズを一度リセットしたと言える内容で、人類を滅ぼそうとする人工知能であるスカイネットは人類側のリーダーであるジョン・コナーを抹殺するため、その母であるサラ・コナーを殺そうとターミネーターを過去に送り込む。それを知った人類側は、それを阻止するためにカイル・リースを過去に送る。こうした流れは従来とはそのまま。だが、その後はT2やT3、T4の見どころをふんだんに採り入れつつも、今までにない展開となっていく。正直なところ、あまり期待していなかったのだが、劇場で見なかったことを後悔したほど楽しめた。

 今回は画質モードは「映画プロ」、コンテンツモードは「4KマスターBD」として、視聴することにした。基本的には高解像寄りのセッティングと考えていい。画質調整についても、基本的な画質調整や超解像などの設定もほぼデフォルト値のままで落ち着いた。

映像メニューの選択肢。映画モードには、明るい環境向けの「映画」と、暗い環境向けの「映画プロ」がある
コンテンツモードの選択肢。放送やメディアに合わせてさまざまなモードが用意されている。今回は高解像度設定ということで「4KマスターBD」を選択
画質調整は、基本調整のほか、精細感・ノイズ調整、コントラスト感、色詳細に分けられている。調整項目は極めて多いが、整理されていてわかりやすい
精細感・ノイズ調整の画面。ここで、解像感に関わるレゾリューションプラス設定やカラーテクスチャー設定が行なえる
コントラスト感調整の画面。ここは、HDRに近い輝度ピークを再現できる「アドバンスドHDR復元プロ」がある

 コンテンツモードは大きく変更が加わった部分で、放送種別やBD/DVDといったメディアに合わせて選ぶものになっている。今回は解像度の高い最新のBDソフトということで、「4KマスターBD」を選んだが、解像感はさすがのもの。

 未来からやってきたカイル・リースはサラ・コナーと接触するどころか、不審者として警察官に追われることになるが、その警察官がなんと液体金属型のT-1000で、いきなり手加減なしのアクション場面に突入する。薄暗いシーンでも暗部の再現性は極めて優秀で、自分が知っているはずの過去とは違う事態が起きていることへのカイルの戸惑った表情もよく分かる。また、サラ・コナーはすでに車の運転や武器の扱いにも慣れた戦士として登場し、その傍らにはちょっと年を経たT-800が守護者として付き従っている。髪を後ろに束ねた超絶美人のサラ・コナーは、肌の張りもピチピチとしているし、逆にT-800は体表面を構成する有機物が経年変化で老いていくようで、肌もやや乾いた感じだし、表情の乏しいその振る舞いはまさにT2時代そのままだ。シュワルツェネッガー演じるT-800はこの先もどんどん老いていき、最終的には本人の実年齢とほぼ同じになっていくが、その変化をメイクとCGで自然に再現しており、その変化がきめ細かく再現されている。

 暗いシーンでの黒浮きがほぼ皆無であることはすでに述べたが、それだけに暗部の階調性も実にスムーズで、T-800の革ジャン、サラ・コナーの黒のタンクトップ、T-1000の警察服など、いずれも黒い服装の質感の違いがよく出るし、シリーズの特徴とも言える薄暗い闇の中を淡いブルーの光で照らすような映像が緻密に再現された。

 人間というのは大きな変化でもすぐに慣れてしまうもので、50型というサイズも今では見慣れたサイズで、ふだん120インチスクリーンで映画を見ているせいもあって、小さいとすら感じる。だが、50Z20Xの50型画面は情報量が極めて多く、密度が高い。だから、ぐいぐいと映像に吸い込まれるような感じになり、絶対的な画面サイズを感じにくい。今回は、視聴距離も1mちょっとのかなり近接した位置にしているが、それでも前のめりになって画面に近づきたくなってしまう。それぐらい情報量が豊かなのだ。広いリビングでゆったりとした距離に見るならば、もう少し画面サイズが大きい方がスケール感があるが、6畳間ほどのプライベートルームに50型を置き、お一人様専用の近接視聴で楽しむというのが実に楽しいテレビだと感じた。

 50Z20Xの話題とは少し離れるが、音響も重低音がたっぷりの爆音映画で、しかもDolby Atmos音声でもあり、その臨場感はかなりのものだ。T-800らの重みたっぷりの等身大アクションだけでなく、ヘリコプターや空から飛来するメカから放たれる機関銃やミサイルなどの飛翔感など、縦横無尽に音が移動する。映像の情報量との釣り合いを考えると、当然ながらステレオスピーカーでは不満が出てしまう。Dolby Atmosとまではいかなくても、5.1chや7.1chのサラウンドシステムと組み合わせて欲しい。

 50Z20Xの映像は、BDソフトながらネイティブ4Kコンテンツと遜色のない解像感の高いものだが、その一方でやり過ぎ感を感じさせない自然さがきちんと保たれていることにも感心した。こうしたCGを多用した作品でしかも解像度の高いディスプレイだと、ともするとCG臭さが目立ちかねないのだが、元の作品の作り込みが優れていることも含め、CGバレがほとんど感じられない。強いて言うなら冒頭でちょっと登場する若いT-800が、素っ裸ということもあってさすがに肌の艶や張りがテカテカで、ボディビルダーのショーアップのような感じに見えてしまったくらいだ(これは制作側がわざとそうしたと思っている)。

 その理由としては、ディテールは緻密だが、ノイズ感の強調が少なく、特に輪郭の不自然になるようなことがない。これは見事なもので、解像感は高いのにいかにもなデジタル映像ではなく、見たままに近い自然な映像になっているのだ。このなまなましい再現性だけでも、50Z20Xが途方もない実力を備えていることが実感できる。

「機動戦士ガンダム・ジ・オリジン II」で、アニメの動きと色に感激する

機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア Blu-ray。左が特典の安彦良和描き下ろしスリーブ
(c) 創通・サンライズ

 続いての良作は「機動戦士ガンダム・ジ・オリジン II」。これは、オリジナルの「機動戦士ガンダム」でのメインスタッフの一人でもある安彦良和によるコミック作品を、アニメ化したもの。コミックは、オリジナル作で描かれた物語をベースとし、いくつかの追加エピソードも加えて完結しているが、アニメ化されるのは、その中での「シャア・セイラ編」と呼ばれるエピソード。ジオン・ダイクンの遺児であるキャスバルとアルテイシアの幼い頃を描く物語で、ガンダム世界の歴史という観点でいえば、地球連邦とスペースノイドの対立、そしてジオン独立戦争へ至る流れも描かれる。

 そのため、モビルスーツはまだ完成しておらず、ガンダムの華ともいうべき、モビルスーツ同士の戦いがあまり見られず、どちらかというと人間ドラマ中心。人気の高いガンダム作品ではあるが、ちょっとマニア度の高い、あるいはファースト・ガンダム世代向けの作品ではある。

 というわけで、ちょっとマニア濃度の高い内容になるとは思うが、イベント上映も行なわれる作品でもあり、アニメ作品としての質の高さはかなりのレベルにある。そんな本作で、50Z20Xをじっくり見ていこう。

 ガンダム関連のアニメ作品は、テレビシリーズも含めて作画の質も高いが、イベント上映やOVAで展開されるシリーズはさらに一段上のクオリティーとなっている。そのあたりは「機動戦士ガンダムUC」も同様だったが、「機動戦士ガンダム・ジ・オリジン」では、さらに質を高める新しい挑戦があるとわかる。それは、手描きアニメの「らしさ」を現代のフルデジタルのアニメ製作環境で追求していることだ。そういうことが、面白いことに4Kテレビで見ているとよくわかる。

 代表的な例としては、描線のジャギー感、遠景のモブキャラなどの解像度不足による不自然なデジタル臭さを徹底して排除していること。対極として、フルCGアニメやCG技術を多用したアニメ作品では、背景やキャラに実写に負けないほどのディテールを詰め込み、解像感の高い映像となっているものもあるが、これを4Kテレビで見ると、ズームアップなどをするシーン、あるいは遠景のキャラクターの解像度不足に気付く。気付くというか、超解像技術などで不自然さが強調されがちになるのだ。

 こうした現象が、なぜかガンダム作品で気になることが少ない。そう思って見直してみると、「機動戦士ガンダムUC」は同時代の作品と比べて、実はディテールが甘めで、そのぶんキャラクターの描線を強調するような映像処理が加わって、デジタルアニメ臭い不自然さをなくそうとしていることがわかる。

 それを踏まえて、50Z20Xで「機動戦士ガンダム・ジ・オリジンII」を見ていこう。物語は、ジオン・ダイクンの死後、ザビ家とラル家の政争を避けるために、地球へと亡命し、キャスバルはエドワウ・マスへ、アルテイシアはセイラ・マスへと名を変えて地球で暮らすところから始まる。しかし、ジオンの目は地球へも及び、彼らを養子として迎えたマス家にも被害が及ぶ。結果、彼らは再び宇宙、テキサスコロニーへと逃亡することになる。

 オリジナルのキャラクター・デザイナーであり、コミックの原作者でもある安彦良和が総監督となっていることもあり、本作は彼の絵柄がかなり忠実に再現されている。それ以上に関心するのはその動きだ。ちょっとした表情の変化や仕草が実に細かく、丁寧に再現されている。

 50Z20Xでの再現は、そんなきめ細やかな作画が、つぶさに見て取れるような再現だ。ここでは、映像モードを「アニメプロ」、コンテンツモードは「BD」としている。このままでも、他のデジタルアニメで目立ちやすい輪郭の不自然さやジャギー感はほとんど感じられず、イベント上映時にスクリーンで見たときのような滑らかな質感がよく再現されていた。

映像メニューから「アニメプロ」を選択。ここでも、明るい部屋向けの「アニメ」と暗い部屋向けの「アニメプロ」に別れている
コンテンツモードの種別は、「映画」のときとほぼ同じ。ここでは、解像度志向の「4KマスターBD」ではなく、あえて「BD」を選択している

 ただし、そのままで万全ではなかったので、多少画質を調整してさらに追い込んだ。まず、描線の周囲に少々白いフチドリ(オーバーシュート)が出ていたこと。生のセル画を見れば分かるとおり、現実にそんな白いフチドリは描かれていないので、これはノイズだ。輪郭強調や、超解像処理でこうしたフチドリが生じやすいのだ。東芝のアニメモードでは、こうした輪郭線の不自然さを抑え、なおかつくっきりとした描線となるような処理が行なわれているが、決して万能ではない。というのは、アニメ作品の側でも、制作時あるいはBD化の時点でこうした調整が行なわれているので、テレビ側の処理との兼ね合いで過剰になることがある。

 というわけで、細かく追い込むには作品ごとに調整するしかない。ここでは、シャープネスを画質が甘くならない程度まで下げ、超解像処理も最小限まで抑えている。

アニメモードでの調整例。精細感・ノイズ調整の画面で、シャープネスを「-20」としている
レゾリューションプラスの調整。ゲイン調整を01として、効果を最小限に抑えた

 若干極端な設定なので、多くのアニメの場合では逆に解像感が不足してしまいかねないほどの調整だが、本作の場合は描線のまとわりつくフチドリがほぼ目に付かないレベルとなり、手描きの質感もきちんと残っている。フルHD解像度のテレビの場合、シャープネスを落とし過ぎると映像全体がぼんやりとしてしまうが、4Kテレビは4倍にアップコンバートしているので、多少シャープネスを絞っても影響は少ない。このおかげで、映像の不自然さはなくなり、スクリーン上映を思わせるソフトな感触が得られた。このあたりは好みもあるし、今後のアニメ製作環境の変化でいろいろと変わってくると思うが、現状の製作環境のままならば、アニメは無理に解像度を欲張るよりも、見た目の自然さを重視したほうが、見やすくなると思う。

 この状態で見ると、キャラクターの動きや表情が一段と冴えてくるから不思議だ。たとえば、テキサスコロニーではエドワウとシャアが出会うことになるが、彼らは妹のセイラから見ても瓜二つで、違いは瞳の色くらいと表現されている。しかし、それぞれの作画を見ていると表情やふるまいにそれぞれ違いがあり、きちんと別人として描き分けられていることに気付く。こうした作り手のこだわりや細かい仕事に気付くと、ファンとしてはうれしくなってくる。

 そして、作り手のこだわりという点では、テキサスコロニーの空だ。ガンダム世界のコロニーは円筒型で、空の向こうには大地が広がっていてそれが見えるのだ。これも漫然と見ていると見落としてしまいがちな部分。オリジナルの「機動戦士ガンダム」では、時間やコストで実現できなかったことを本作ではどうしても実現したかったというが、それまでいた地球の空とは印象が違っていることがわかる。

 漫然と見ていると、青い空に白く霞んだ感じで描かれた大地は判別がしにくく、空がノイジーに感じてしまいやすい。しかし、Z20Xではそんなディテールをしっかりと拾いあげ、空の向こうに道が通り、建物が建っている様子までわかる。作品的にもぼやけて描かれている遠景のディテールは4Kテレビならではの再現で、非常に緻密な再現だ。ここまで再現できると満足度はとても大きい。

 また、映像処理によってHDRに近い輝きのある表示を行う「アドバンスドHDR復元プロ」もここでは「オン」にしている。これは、オートおよび、オン/オフが選択できるが、オートよりもオンの方が輝度ピークの伸びが高まるので、映像の輝き感が増す。画面全体の明るさはやや下がるように感じるが、もともと暗室で使うには十分以上に明るい画面なので、不満を感じることもなかった。

 アニメ、特にガンダムのようなロボットアニメは、ビームなどの架空兵器が当たり前のように登場するし、アニメ自体も光学的なエフェクトを加える手法が多用されており、HDRとの相性は良いと感じている。4K解像度での製作はコストを含めて現実的ではないと思うが、HDRは比較的導入しやすく、かつ効果も大きいと思う。そのあたりを「アドバンスドHDR復元プロ」で試してみた。

 期待どおりというか、街の照明やモビルワーカーのモノアイの発光が力強くなり、それらしい表現となっていた。戦闘試験を行なうモビルワーカーはその動きも人間味のある動きで迫力たっぷりだが、印象的に左右に動き、強く光るカットはその凄みが増している。降り注ぐ銃弾を楯一枚で防ぎながら突進する様子も、銃弾の輝きが強まっていることもあり、スリリングだ。

 そして、とても感心したのは、ラルが通うバーのクラブ・エデンのネオン看板。暗い街角で何色かに色を変えながら発光しているのだが、ネオンの光は強くなりながらも色が抜けて白一色にならず、むしろよりカラフルに発色しているのだ。映像処理によるHDR復元は忠実な再現とは違うので多用は禁物だと思うが、このネオンの再現はより本物らしい発光の感じになっていた。この再現はぜひともアニメ制作の現場にいる方々にも見てほしい。HDRが表現を拡大する有効な技術だとよくわかるはずだ。

コントラスト感調整の画面。「アドバンスドHDR復元プロ」をオンにしている
「アドバンスドHDR復元プロ」の選択項目。オート、オン、オフの3つが選択できる。基本的にはオートのままで良さそう。忠実さ優先ならばオフを選ぶ

PCゲーム「スターウォーズ バトルフロント」で、120fps表示!

 3本立ての最後は、PCゲーム。良品は「スターウォーズ バトルフロント」。これは、その名の通り、スターウォーズの世界を舞台としたオンラインゲームで、最大20人VS20人のオンラインバトルを楽しめる。PC用のほか、PS4、Xbox One用も発売されているが、オーディオ、ビジュアルに関心のある人はPC用を選ぶのがおすすめだ。

50Z20Xで「スターウォーズ バトルフロント」

 PC版のメリットのひとつは、4K/60p表示が選択できること。PCゲームでの4K/60p表示は、今のゲームタイトルならば割と当たり前(PCに要求されるスペックは割と高めになるが)。特に本作は、スターウォーズの世界をかなりのレベルで忠実に再現し、登場する武器や戦闘機などは、ルーカスフィルムの協力を得て実際のプロップを元にモデリングしているという。実際、そのディテール再現は驚くべきものがある。3Dグラフィックによる再現ということで、登場するメカや兵士達の造形は実写というよりも精巧なミニチュアモデルという感じで、それらが精密なジオラマ上で激しい戦いを繰り広げるという印象になる。

 見た目はTPS(3人称視点)、FPS(1人称視点)を切り替え可能だが、FPS視点で戦っているときは、まさに反乱軍兵士、あるいは帝国軍兵士となって戦場に降り立ったムードだし、目の前にルーク・スカイウォーカーやダース・ベーダーが現れた時の絶望感などを含め、映画以上に興奮する。

 TPSあるいはFPSのアクションシューティングとしては、かなり間口の広い作りで、筆者のようにFPSが下手くそな人でもそれを気にせずプレイできるし、高得点を稼ぐのは難しいが、すぐに倒されてしまうばかりでストレスしか溜まらないというような状況にはなりにくいので、万人にお薦めできる。なんといっても、あのスターウォーズの舞台に降り立ったかのような感覚は筆舌に尽くしがたい。雪原を走り回って、AT-ATの巨大な脚に踏みつぶされたり、空から飛来するタイファイターに銃撃されてふっとんだり、とにかく走り回って倒されまくっているだけで楽しくて仕方がないというゲームだ。

 ちなみにゲームでは、エピソード4〜6がメインとなっていて、バトルのためのマップもそれらの作品からのものが中心。ただし、12月からは新作であるエピソード7の舞台である「ジャクーの戦い」が追加されており、一足先の惑星ジャクーでの戦いを体験することができる(ただし、時系列としてはエピソード6直後のようで、エピソード7の30年前の時期という設定)。

「スターウォーズ バトルフロント」のサウンド設定で、Dolby Atmosを選択したところ。Windows側での設定後、選択が可能になる

 もうひとつのメリットは、PC版だけがDolby Atmos対応ということ。PS4/Xbox Oneでは、サラウンド5.1&7.1音声までだ。これはPCゲームでは世界初のようだ。発売直後は、何故かDolby Atmos音声を選択できなかったのだが、12月10日更新のアップデートでAtmos対応が行なわれた。

 Dolby Atmos音声になると、ブラスターの銃撃音や誘導ミサイルなどの定位がより明瞭になり、空間全体に広がるBGMと、四方から飛び交う銃撃音が鮮明に聴き分けられるようになる。まさに映画そのものと言える臨場感だ。圧巻なのは、X-ウイングやタイファイターなどの航空機が上空を飛び交う音がしっかりと上の方向から再現され、敵軍の航空機が迫ってくると絶望的な気分になる。とても大きなAT-ATの脚の動きに伴うずっしりとした音もそばによって聴くと、かなりリアルな再現とわかる(その後、踏みつぶされたが)。

接続しているオーディオデバイスのプロパティ画面。詳細タブで、サンプルレートとビット深度を16bit、48kHzとする

 これは5.1/7.1chサラウンドに比べると圧倒的なサラウンド再現性。PS4などのコンシューマー機で対応していないのは残念だが、Dolby Atmos対応環境を持っている人ならば、これを理由にPC版でプレイする価値は十分以上にある。

 ちなみに、Dolby Atmosが選択可能になるための方法は、Windowsのコントロールパネルのサウンドから、接続しているオーディオデバイス(ドルビーデジタル対応のAVアンプやシアター機器)を選択、プロパティにある詳細で、「16ビット、48000Hz(DVDの音質)」を選べばいい。

 そして、Z20Xシリーズは、4K/60pの入力に対応しているのはもちろんだが、フルHD(1,920×1,080)では120pの入力にも対応している。120Hzやそれ以上のリフレッシュレートに対応するPCモニターはあるが、それらのサイズは20〜30V型サイズのものなので、50型や58V/65V型というサイズで1080/120pの映像を楽しめるというのは、当然ながらZ20Xシリーズだけだ。これが気になっている人は少なくないだろう。というわけで、本作で4K/60pと1080/120pを試してみたかったのだ。

 筆者はゲーム好きではあるが、どちらかというとグラフィック志向なので、プレイに支障がでない範囲で画質を追求している。高画質設定を最高とし、RPGなどなら30fps(毎秒30コマ程度)アクション性が高いゲームでも40〜50fpsぐらい確保できていれば満足している。ところが、PCゲームの世界では、fpsがプレイのスコアすら左右するようで、画質を落としてfpsを高める設定を選ぶ人が多いという。果たして60fpsと120fpsにはそこまで違いがあるのだろうか?(実際に筆者が120fpsでプレイしてもスコアに変化はないだろうが)。

 ともあれ、まずは4K/60pで「スターウォーズ バトルフロント」を試してみる。ふだんは、4Kプロジェクターを使い120インチサイズでプレイしているので、その意味ではサイズとしては小さい。しかし、視聴距離が短いために相対的なサイズ感はあまり変わらないし、4K解像度だと小さく表示されるターゲットマークやアイコン類が視認しやすいため、プレイもしやすいと感じた。

 映像モードは、ゲームモードを選択。これは超解像技術などの高画質処理を適用しながらも表示遅延を低減するモードで、FPSなどのシューティングでは重要度の高い技術だ。50Z20Xでも、約0.05フレーム(1080p 120Hz入力時、4K/60p入力時は約0.6フレーム)となり、従来よりもさらに遅延時間を短縮している。コンテンツモードはオートとしているが、こちらの場合は、ポータブルゲームやSDゲームなどの解像度や画面サイズに合わせた種別が主体なので、HD解像度以上のゲームの場合はオートのままで問題ないだろう。

 描画については、すべての項目で最高画質設定としているが、最新のPCゲームと比べて描画負担は少ないようで、4K/60pでも問題なく60fps前後の表示ができている。だから、特にプレイしていて物足りなくなるようなことはない。暗部の再現性も十分なので、エンドアの森のような薄暗い舞台でも、敵兵士が見づらくなるようなこともなく、プレイはとても快適だ。

テレビ側の入力信号の詳細を表示したところ。3,840×2,160解像度で60Hzの信号を受けている。クロマフォーマットが4:2:0となっているのはグラフィックボード側の制限(HDMI1.4a)のため
ソフト側のビデオ設定の画面。PC側の解像度に合わせて切り替わるので、特に変更の手間はなかった。解像度は3,840×2,160、リフレッシュレートは59.94となっている
ゲームのための映像設定。ゲームモードを選択したほか、暗室では画面がさすがに明るすぎたので、バックライトを20まで下げている(初期値は40)
ゲームモードでのコンテンツモード。携帯ゲーム機やSD解像度のゲーム用のモードのほか、カラオケ用のモードもある
映像メニューではゲームを選択。PCと接続する場合、色再現を含めて忠実度の高い表示を行なう「モニター/PC」も用意されている

 続いては、解像度は1080pに落とし、120Hzで表示してみることにする。画面解像度の切り替えは、NVIDIAコントロールパネルで行なえる。ここで解像度1,920×1,080を選択するとリフレッシュレートで120Hzを選べるようになる。グラフィックボード側では、ディスプレイ名称はAVアンプのDENONとなっているが、経由して接続したディスプレイ(50Z20X)の情報がきちんと反映されている。

 もちろん、表示の切り替えも問題なく行なえ、テレビ側でも1,920×1,080、120Hzの信号が入力されていることが確認できた。ちなみに、Windowsのデスクトップ上(つまり静止画)ではほとんど違いが感じられないし、「スターウォーズ バトルフロント」でのタイトル画面や設定なども違いがなく、少々心配になる。

NVIDIAコントロールパネルで、1,920×1,080、120Hzに切り替えたところ。ディスプレイが対応してなければ、120Hzの項目自体が表示されない
ビデオ設定で確認したところ。解像度は1,920×1,080、リフレッシュレートは119.88が選択されていることがわかる。それ以下の設定は4K/60pのときと同じですべて最高画質設定

 ちょっと半信半疑で実際にゲームをプレイしてみたが、実際にゲームが始まると感触がまったく違った。まさにヌルヌル動くという奴で、走って移動するときのわずかな上下の動きもスムーズだし、急に後ろを振り向くなど大きく視点を切り替えても表示がきちんと追従する。これは視認性が明らかに違う。この手のゲームでは物陰や通路の奥など頻繁に視点を切り替えながら移動することが多いが、表示が追従するため視線が切れないし、今まで画面にいなかった敵が視野に入ったときもその視認が早い。

 実際にスコアが伸びるかどうかは筆者の腕の問題だが、あきらかにプレイはしやすく、快適だった。とにかく画面のあちこちまで、よく見渡すことができる。本作では氷の惑星ホスや惑星タトゥイーンの荒野などさまざまなマップがあるが、筆者が一番苦手なのは鬱蒼とした森が大部分を占め、隠れる場所が多い緑の月エンドアだ。だが、120Hz表示だと視認性がかなり高いので、物陰に隠れて待ち伏せしているような敵も見つけやすかった。

 あまりに視認性が高いので、遠景のぼやけた背景などは4K/60pに比べるとやや甘い再現になるとか、武器のディテールもわずかだが違いがあるなど、4K解像度の方が描画品質はわずかながらも高いとわかる。しかし、超解像技術による4Kアップコンバートのおかげでその差はごくわずか。

 ちなみに、4K/60pに戻してみると、以前は気にならなかったが、素早い視線の移動では画面がパラパラとコマ落ちした感じになる。おそらくは、画面を素早く動かすときなどはGPUの負担が大きく、実フレームレートが半減以下になっているらしいことにようやく気付いた。なにより、コマ落ちしたパラパラとした感じは案外目の負担になっていたようで、映像が見づらい。せっかくの4K/60pの無駄遣いという感じにもなる。高画質志向なはずなのに、今後は画質設定と実フレームレートのバランスの取れた調整値を選ぼうとさえ思ったほどだ。

 このように、120Hz表示のメリットは僕のような下手の横好きゲーマーでもわかるほど大きいので、Z20Xユーザーならば、高価なグラフィックボードが必要な4K/60pを選ぶよりは、ほどほどのグラフィックボードでも十分なフルHD/120pを選ぶ方が賢い選択とさえ思ったほどだ。

 とはいえ、本作だけでなくPCゲームでは、4K/60p表示で格段のグラフィックが楽しめるソフトが数多くあり、4K/60pかフルHD/120pかはゲームのジャンルなどに合わせて選ぶと良さそう。

映画、アニメ、ゲームといずれも大満足

 東芝のREGZAは、以前もモデルから映画やテレビ視聴のための高画質だけでなく、アニメやゲームに特化したモードを備えるなど、多彩なコンテンツをより高画質で楽しめる機能を持っていたが、50Z20Xはそうしたこれまでの積み重ねの集大成と言えるモデルになっていると感じた。

 液晶では絶対に無理だと思っていた暗室での黒浮きが実質ゼロであること、アニメとHDR復元の相性の良さ、ゲームでは120Hzの快適さなど、今まで得られなかったものがすべて用意されているという贅沢さは他のテレビでは味わえないものだ。

 4Kテレビはかなり身近な価格となってきているが、Z20Xは最上位モデルでそれなりに高価ではあるので、誰にでも薦めにくいとは思う。例えば、価格はともかくパーソナルスペースである程度使いやすい40型クラスのZ20Xが欲しいという人は多いと思う。だが、ここはあえて、パーソナルユースでも50型に手を伸ばして欲しいと思う。今の50型は6畳間でも問題なく置けるサイズだし、視距離が近いのは4Kの高精細さがよりわかるので一挙両得というもの(視聴距離は1〜1.5mほど確保したいが)。

 映画好きで、アニメ好きで、ゲームも大好きという人はなかなかいないかもしれないが、1つか2つでも好きなジャンルだという人ならば、無理をしてでも手に入れる価値があるテレビだ。

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(協力:東芝ライフスタイル)

鳥居一豊

1968年東京生まれの千葉育ち。AV系の専門誌で編集スタッフとして勤務後、フリーのAVライターとして独立。薄型テレビやBDレコーダからヘッドホンやAVアンプ、スピーカーまでAV系のジャンル全般をカバーする。モノ情報誌「GetNavi」(学研パブリッシング)や「特選街」(マキノ出版)、AV専門誌「HiVi」(ステレオサウンド社)のほか、Web系情報サイト「ASCII.jp」などで、AV機器の製品紹介記事や取材記事を執筆。最近、シアター専用の防音室を備える新居への引越が完了し、オーディオ&ビジュアルのための環境がさらに充実した。待望の大型スピーカー(B&W MATRIX801S3)を導入し、幸せな日々を過ごしている(システムに関してはまだまだ発展途上だが)。映画やアニメを愛好し、週に40〜60本程度の番組を録画する生活は相変わらず。深夜でもかなりの大音量で映画を見られるので、むしろ悪化している。