■今年もまたNABの季節がやってきた!
今年もまた例年どおり、米国ラスベガスにて世界最大の映像機器展「NAB Show 2011」が開催される。昨年からの流れとしては3Dコンテンツ制作の多様化、そして4Kの映像制作の具体的なソリューションが期待されるところだが、それに応える形で様々な製品が発表されるものと思われる。
現地時間で日曜日となる本日は、各メーカーのプレスカンファレンスが行なわれており、会期よりも一日早く新製品が発表された。今回はPanasonicとSONYのプレスカンファレンスの模様をお伝えする。
■P2HDラインナップを強化するPanasonic
Planet Hollywoodホテルで開かれたPanasonicプレスカンファレンス |
Panasonicのプレスカンファレンスは、ラスベガスのホテル街ではほぼ中心の位置にあるPlanet Hollywoodホテルのボウルルームで行なわれた。
昨年のPanasonicは、ツインレンズの「AG-3DA1」や、マイクロフォーサーズマウントを採用したレンズ交換可能なハンドヘルド「AG-AF105(米国モデルはAG-AF100)」など、AVCHDフォーマットで記録するAVCCAMラインナップでアグレッシブな展開を見せた。今後はさらに上に拡張するということで、P2HDのラインナップが強化されていくということが約束されていたが、かなり強力なカムコーダのラインナップを揃えてきた。
「AG-3DP1」は、P2 HDに記録するツインレンズのショルダー型3Dカムコーダ。フルHD/10bit/4:2:2のAVC-Intra記録が可能で、2枚のP2カードにL/Rの映像を記録する。
ショルダー型ツインレンズ3Dカムコーダ「AG-3DP1」 | レンズ部がかなり巨大な印象 |
撮像素子は1/3インチ、2.2Mピクセルの3MOSセンサーを2つ備えており、内部の画像処理は20bitで行なうという。見た目はレンズ交換式のボディに見えるが、実際には専用レンズがボディに固定されている。レンズのワイド端などは資料にないが、光学17倍ズームレンズだという。
カメラボディは普通のショルダー型と同程度だが、さすがにそこそこの性能のレンズが2つあるので、前は相当大きく感じる。発売はこの秋を予定しており、価格は未定。
P2HDのハンドヘルド機、「AG-HPX250」 |
P2HDラインナップ強化として、ハンドヘルド型の「AG-HPX250」も発表された。これまでの法則どおりならば、日本での型番はおそらく「AG-HPX255」になるものと思われる。
こちらは3Dではなく2Dのカメラだが、撮像素子は1/3インチ、2.2Mピクセルの3MOSセンサーで、内部処理が20bitなのも「AG-3DP1」に採用するものと同じだ。レンズは35mm換算で28mm~588mmの光学21倍ズーム。
記録はAVC-Intra 100/50に加え、DVCPRO HDでも可能。さらにはSD画質でも撮影可能で、その場合はDVCPRO50、DVCPRO、DVの3フォーマットを選択できる。
発売時期はこの秋で、価格はストリートプライスで6,500ドル以下。
一方好調のAVCCAMシリーズは、AG-HPX250と同型の「AG-AC160」を発表した。レンズ、センサーなどのスペックは共通だが、こちらは記録がAVCHDとなっている。一緒に並べて比べると、液晶のロゴマークぐらいしか違いがわからないほとそっくりである。
ほぼ同機能、同サイズのAVCCAM、「AG-AC160」 | 左が「AG-AC160」、右が「AG-HPX250」。ほぼ同型であることがわかる |
SDカードスロットを2つ装備し、リレー記録の他に2スロット同時記録にも対応。HD-SDIも備える。発売はこの秋を予定しており、価格は5,500ドル以下を目指す。
また、ほぼAC160と同スペックでさらに小型化した「AG-AC130」もプレゼンテーション資料としては発表されたが、こちらは詳細なスペックおよび実機の展示はなかった。この秋発売予定で、価格は4,000ドル以下。
なお、今回プレスカンファレンスで展示されたものは、すべてモックアップであった。これ以外にもP2HDの新しいデッキなども紹介されたが、こちらは明日以降の会場レポートで詳しくお伝えする。
■着々と実績を積み上げるSONY
大勢のプレスが集まったSONYのプレスカンファレンス |
今年のSONYのプレスカンファレンスは、ラスベガスコンベンションセンター内で行なわれた。プレゼンテーション前半は、主に昨年から今年初頭にかけての納入実績を中心に紹介。3Dに関してはスポーツ専門チャンネルのESPN 3Dへのシステム納品事例、またディスカバリー・IMAX・ソニーが共同で今年から放送を開始した「3net」の事例などを紹介した。
新製品としては、なんと8Kもの高画素CMOSセンサーを搭載したCineAltaカメラ「F65」を発表した。
新撮像素子は、総画素数約2,000万画素、有効画素数約1,900万画素の単板で、サイズはスーパー35mm相当。画素配列は一般的なベイヤー配列ではなく、縦横の密度を2倍にしたような独自配列となっている。
記録は16bitのRAWデータで、記録メディアは昨年のNABでこっそり発表された新しいHDCAM-SRフォーマット準拠のメモリーカードとなる。
舞台に登場した「F65」。背面にはレコーダの「SR-R4」が付いている |
またこのメモリーカードを中心として、あらたに「SRMASTER」システムとしてラインナップを構築。メモリーカードの「SRMemory」、デッキ型専用ストレージユニット「SR-R1000」、そしてF65にドッキングして収録を行なうポータブルレコーダ「SR-R4」などが発表された。
F65は今年度第3四半期に発売を予定しており、価格は未定。ポータブルレコーダ「SR-R4」もこれに合わせた発売を予定している(価格未定)。SRMemoryは容量と記録速度でいくつかのラインナップがあり、発売は今年度第2四半期としているものの、価格は未定。
3Dに関しては、かねてよりコンセプト展示されていたショルダー型のツインレンズカムコーダが正式に発表された。モデル名は「PMW-TD300」で、1/2インチ3CMOSユニットを2系統装備する。記録フォーマットとしてはXDCAM EXシリーズとなっており、2枚のSxSカードに左右別々の映像を記録する。SxSスロットの総数は4。こちらは今年度第3四半期を予定しており、価格は2,887,500円。
さらに小型3D対応モデルとして、NXCAMシリーズのツインレンズカムコーダ「HXR-NX3D1J」も発表された。記録モードは28MbpsのMVCフォーマットとなっており、撮像素子は1/4型CMOSセンサーを2基備える。
スペックから察するに、この4月にコンシューマ市場に投入されるHDR-TD10の業務用モデルと考えて良さそうだ。こちらは発売は今年度第2四半期で、価格は346,500円となっている。
このプレスカンファレンスで実機が登場したのは、F65とポータブルレコーダのSR-R4、そしてSRMemoryのみで、それ以外の実機はブースに登場するものと思われる。
日本ではこのたびの震災で、3Dどころではなくなったような気配も感じられるが、米国はかなり3Dには乗り気のようで、特にスポーツ中継ではかなりの実績を上げてきている。カムコーダからスイッチャーにかけてのリアルタイム系は、まだ延びしろがありそうである。さらに編集などのポストプロダクション系が、今後どこまで3Dに対応できるのかが、キーになりそうだ。
明日からいよいよ本会がスタートする。さらに多くの新製品を実際に見ることができるだろう。明日以降のレポートにもぜひご注目いただきたい。