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【特集】低価格Blu-rayプレーヤーを6モデルをテスト

−5社の普及モデルを比較。それぞれの個性と操作性



 

 この春、夏商戦にかけて、Blu-ray Discプレーヤーを発売するメーカーが急増。それにともない低価格化が進んでいる。

 昨年後半までは、日本で10万円以下のBlu-rayプレーヤーを発売していたのは、唯一ソニーの「BDP-S350(発売時45,000円。現在は約32,800円)」のみ。デジタル放送の普及に合わせてBDレコーダから先行して普及しはじめたこと、また、PLAYSTATION 3が実売4万円以下のBDプレーヤーになることから、ある意味“参入し難い”状況にあったといえる。

 しかし、この春以降はシャープが「BD-HP21(実売36,800円)」を発売。パイオニアは実売3万円を切る「BDP-120」を筆頭に、「BDP-320(実売44,800円)」、「BDP-LX52(実売74,800円)」の3モデルを一気に展開。パナソニックも「DMP-BD60(実売49,800円)」を発売。日本メーカーだけでなく、LGエレクトロニクス・ジャパンも「BDP370(実売27,800円)」を発売するなど、各社が新製品を投入している。これにあわせて、価格競争も加速しており、LGやパイオニアBD-120などは2万円台の前半で販売している店もあるなど、BDプレーヤーの市場が盛り上がりそうな雰囲気になってきた。

ソニー「BDP-S350」 パナソニック「DMP-BD60」 シャープ「BD-HP21」
パイオニア「BDP-120」 LGエレクトロニクス・ジャパン「BD370」

 
 各社の参入の背景としては、ビデオソフトとハードウェアの両面から、市場が立ち上がってきたことが大きな要因だろう。ビデオソフト市場におけるBlu-rayの構成比は、2008年通期では数量で2.6%、金額で3.4%(JVA調査)となっていたが、2009年には4月までの実績で売上で4.7%、金額で6.7%と増加。直近の4月には金額ベースで8.4%と着実に伸びている。

 レンタル市場も立ち上がったばかりとはいえ、TSUTAYAやGEOなどの大手が全国展開し、定着しつつある状況だ。また、DVDビデオの販売不振と相まって、各ビデオソフトメーカーもBDへの取り組みを本格化しており、BD/DVDを同時発売、あるいはBDを先行発売するというケースも増えている。

BDP-LX52

 ハードウェアは、レコーダが先に普及。昨年BDレコーダ/プレーヤーの販売実績はJEITAの調査で158万8,000台で、前年比674%の急拡大だった。とはいえ、この大半はレコーダで、デジタル放送が普及し、録画文化が強い日本の場合、Blu-rayハードウェアの多くが「レコーダ」もしくはPS3だったといえる。

 ただレコーダの需要やPC用の需要も増えたことで、各コンポーネントも低価格化。それにより「PS3より安価」なプレーヤーも実現可能となってきたことが、一斉に低価格プレーヤーが発売されるようになった一つの要因だろう。また、昨年後半から発売されている大手メーカーのBDプレーヤーは、BD-ROM Profile ver.2.0に対応し、ネットワーク機能の「BD-Live」が利用可能となるなど、ほぼ「フルスペック」といえる状況になった。こういった要因から、 メーカーとしてもBlu-rayプレーヤーを製品化しやすい環境が整ってきた。

  JEITAの調査で、2009年のBDレコーダ/プレーヤーは、4月現在で前年比278%の69万9,000台を出荷。うち、レコーダが67万8,000台、プレーヤーは21,000台 と、まだ圧倒的にレコーダが多い。とはいえ低価格プレーヤーがそろい始めた4月の実績は、前年比で3,155%の伸びを示している(レコーダは同227.4%)。

 こうして盛り上がりを見せつつある、実売5万円以下のBlu-rayプレーヤーの中から、4社の5モデルを比較した。また、5万円を超え、1クラス上といえるが、参考として、パイオニアの最新プレーヤー「BDP-LX52」も用意した。

■ 「プレーヤーならでは」の特徴

 単に「BDを見る」だけであれば、レコーダもしくはPS3でも十分。Blu-ray“プレーヤー”ならではの魅力を考えると、まずは、レコーダより安価という点。BDレコーダはエントリー機種を格安店で購入しても5万後半〜6万円台。対してプレーヤーは2万円台から購入できる。もちろん高級プレーヤーも数多く発売されているが、HDDやチューナがないプレーヤーのほうが、低価格化が可能だ。

 また、操作性もぐっとシンプルにすることが可能。例えばレコーダの場合、起動後にチューナの映像が出力されて、それをBDディスクに切り替えて再生など、「ディスクを再生する」以外の操作が多く、煩雑な操作の分だけ待ち時間も発生する。「単に映画を見たいだけ」というときには面倒だ。また、プレーヤーの場合、リモコンの機能が絞り込まれているので、操作としてはシンプルで分かりやすい。DVD/CDなどの再生用プレーヤーとして活用するときにも、これらの特徴は生きてくるはずだ。また、HDDのような大きな回転する部品がなく、振動が生じにくいシンプルな構造のプレーヤーのほうが再生品質では有利といえる。

 最新のBDプレーヤー同様に、PS3もBD-Liveにも対応した“フルスペック”のBDプレーヤーではある。しかし、操作はゲームコントローラになってしまう(Bluetoothリモコンは別売)ことや、本体ディスプレイで再生情報が確認できないなど、“普通のプレーヤー”との作法の違いは残されている。また、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioの音声出力について、ビットストリームで出力できず、リニアPCM変換に限定されるということもPS3の制限となる。

各社のBDプレーヤーのサイズ比較。“高音質設計”を謳うシャープの奥行きの長さが目をひく。上位機種のBDP-LX52はインシュレータなどが“上位機らしい”デザイン

  今回取り上げる機種は、Blu-rayの再生機能はそれほど違いがあるわけではない。いずれも、Blu-rayだけでなく、DVDビデオやDVD-R/RW(CPRM対応)、音楽CDなどの再生に対応するだけでなく、HDMI出力端子やコンポーネント映像出力などを装備。1080p(60p/24p)などの出力に対応する。

 もちろん、ドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioのビットストリーム出力、PCM変換出力にも対応(ソニーBDP-S350のみDTS-HDの変換出力に非対応)。ネットワーク機能のBD-Liveにもフルで対応している。

 また、パナソニック「DMP-BD60」やLGの「BD370」ではYouTube動画再生などネットワークを使った各種機能も装備。BD60はDTCP-IPにも対応している。加えて、各社のテレビと連携するHDMIリンク機能も備えている。

 ただし、デザインや外形寸法、重量などはかなり異なっており、それぞれに特徴がある。GUIの作りこみやリモコンでの操作の違いもあり、動作速度もかなり違う。このあたりから各社のコンセプトの違いが伺える。

メーカー ソニー パナソニック シャープ パイオニア LG・エレクトロニクス
モデル名 BDP-S350 DMP-BD60 BD-HP21 BDP-120 BD370
実売価格
amazonアフィリエイト
28,200円
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44,140円
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32,217円
amazonで探す
22,980円
amazonで探す
21,873円
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対応メディア BDビデオ、BD-R/RE、DVDビデオ、DVD±R/RW、音楽CDなど
AVCHD再生
AVCREC再生 - -
DVD-RAM対応 - -
HDMI出力
解像度
480/60i、480/60p、720/60p、1080/60i、1080/60p、1080/24p
BD-Live
HDMI出力 1
コンポーネント
出力
2(D4×1、RCA×1) 1(D4) 1(RCA) 2(D5×1、RCA×1)
S映像出力 1 -
コンポジット出力 1
光デジタル音声 1
同軸デジタル音声 1 - 1 - 1
アナログ音声 1(RCA/2ch)
Ethernet 1
その他の端子 EXT端子
(外部メモリー用)
- USB USB USB
カードスロット - SDカード
(AVCHD対応)
-
ネットワーク機能 - YouTube再生
ビエラリンク(LAN)
- - YouTube再生
消費電力 26W 17W 22W 17W 18W
待機時
消費電力
0.3W 5.0W
(クイックスタートON)
0.4W
(クイックスタートOFF)
14W
(クイック起動ON)
0.3W
(クイック起動OFF)
0.5W
(クイック起動OFF)
未公表
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
430×220×60mm 430×242×49mm 430×335×68mm 420×268×58mm 430×245×54mm
重量 2.9kg 2.6kg 4.9kg 2.7kg 2.7kg
※表中の実売価格は、AV Watch編集部が6月19日にamazonの販売価格を調査した時点のものです。amazonの販売価格は常に変動しているため、表記価格での購入を保障するものではありません。

■ 起動時間とディスク認識速度に注目

 プレーヤーとしてもっとも重要なのは、起動や動作速度、再生品質などの基本性能だろう。初期のBlu-rayプレーヤー(や、HD DVDプレーヤー)は、どれも起動が遅いだけでなく、ディスクの認識、出画や操作レスポンスに不満を感じることが多かった。一方で、PS3が圧倒的な処理能力を武器に、高速なレスポンスを実現していたことも、単体BDプレーヤー市場の立ち上げを遅らせた要因といえる。

 今回は起動時間や、ディスク認識の時間を比較した。ディスクの読み込みにおいては、メニューなどにBD-J(JAVA)を使ったディスクは特に差が大きく出る。そのため今回はBD-Jを多く使った「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 1.11」と、メニューもなくシンプルなオーディオ用ディスクの「Spirit in the Forest」でテストした。

 起動時間については、リモコンの電源ボタンを押してからメインメニューを表示、操作可能になるまでの時間を、ディスク認識については、ディスクトレーが閉まってから、出画されるまでの時間を計測した。

メーカー ソニー パナソニック シャープ パイオニア LG SCE
モデル名 BDP-S350 DMP-BD60 BD-HP21 BDP-120 BDP-LX52 BD370 PS3(参考)
起動時間(秒) クイック起動
ON
7.5 13.9 約1秒 約1秒 なし
クイック起動
OFF
23 28.6 27.5 23.7 26 16.2 13.8
ディスク認識(秒) ヱヴァ 57.1 50.7 67.2 78.8 86 34.9
(1回目)
29.8
(2回目)
36.3
Spirit
in the forest
21.3 17.6 23.8 36 23 11.8 21.9

 表のとおり、LGのBD370が際立って高速な起動、ディスク認識となった。また、BD370のみ、ヱヴァの2回目の読み込みが高速化されており、データをキャッシュするなど何らかのロジックが組み込まれているのかもしれない。一度電源を切ると、元の速度に戻るようだ。

ソニーBD-S350でクイック起動を選択

 ソニー、パナソニックもレスポンスが早い。パイオニアBD-120とシャープBD-BP21は、クイック起動の効果が絶大。シャープの公称値では0.8秒と謳っているが、本当に瞬時に出画され、すぐにメニュー操作も可能になる。待機時の消費電力が高くなるものの、Blu-rayだけでなく、CDやDVD再生など使う頻度が多い人はこれらの機能をONにしておいてもいいだろう。

 リモコン操作からのレスポンスについては、大きな不満を感じるようなことはなかったが、違いが出るのがBD-Jのメニュー操作。「ダークナイト」や「ヱヴァンゲリヲン」などのJAVAを使ったタイトルを再生した場合、ポップアップメニューを表示して、チャプタ表示、次のチャプタを選択するなどの操作の速度にかなり違いが出る。

 これは、PS3やLGがかなり速く、ソニー、パナソニックがそれに続くという印象で、ディスクの読み込みにほぼ比例するようだ。パイオニアのBDP-120がやや遅く、チャプタ送りの際に引っかかりを感じた。またBD-120では、「ヱヴァ」の再生中にポップアップメニューを立ち上げると、フリーズしてしまうことがあった。

各機種のリモコン

 レコーダで記録したBD-R/RE番組については、全モデルで大抵問題なく再生できた。パナソニックのブルーレイDIGAなどで搭載しているDVD-R/RW/RAMへのMPEG-4 AVC/H.264のハイビジョン記録「AVCREC」については、DMP-BD60の対応はもちろんのこと、パイオニアも上位モデルのBDP-LX52がサポートしている。

 アクトビラのダウンロードサービスで作成したディスクについては、正式にサポートを謳っているソニー「BDP-S350」とパナソニック「DMP-BD60」のほか、パイオニア「BDP-LX52」でも再生できた。そのほかの機種ではタイトルまでは表示できるものの再生できなかった。

 また、リモコンのデザインもかなり異なっている。メインメニューもソニーはXMB、パナソニックやシャープも自社レコーダに良く似たUIを採用しているので、このあたりの好みも、選択のポイントといえそうだ。


■ 各プレーヤーの個性をチェック

 いずれもBlu-rayのハイビジョン映像を楽しむという基本性能において、大きな不足を感じるものはなかった。ネットワーク機能などの付加機能も多いので、ここでは各機種の特徴を紹介する。

 視聴環境は液晶テレビ「BRAVIA 46X2500」、「REGZA 37Z200」、AVアンプはソニー「TA-DA5300ES」で接続はHDMI。スピーカーはPMC「TB2」×3、リン「AV5110」×2などを利用。BDビデオ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 1.11」、「ダークナイト」、「小澤征爾 ベルリン・フィル 悲愴」、「未知との遭遇」など、DVDは「DTS Demo Disc」などを利用した。

・ソニー「BDP-S350」

 BDの画質はシャープでクリア。発色も穏やかながら、ヱヴァの冒頭の戦車の並ぶシーンの鮮烈な赤も印象的。ダークナイトの冒頭、IMAXカメラによるビル間撮影の解像感も高く、立体的だ。

 ノイズリダクション(NR)設定は基本「自動」になっているようだが、柔軟に使いこなしているようで、「ダークナイト」の裁判シーンなど、比較的フィルムグレインが見える映像でも、気にならない程度に抑えている印象だ。これらのNR設定は、リモコンの[オプション]ボタンから[画質設定]で、モスキート/ブロック/フレームの各NRのON/OFFが可能となっている。基本的に「自動」でOKだが、DVDアップコンバート時など、気になる場合に活用できる。

 DVDのアップコンバート画質も良く、実写もCGもクセなく表現される。スケーリングに伴う疑似輪郭もほとんど感じられず、今回のテスト機ではかなり印象が良かった。音質も良く、それほど押しが強くはないのだが、低域がすっきりとしており、シャープ。セリフも効きやすく、プレーヤー入門機として使いやすい製品だ。

ドライブ部 側面。奥行きは220mmと今回のプレーヤーの中で最も短い 背面
メインメニュー ノイズリダクションのON/OFFも可能 画質モードも選択可能

 リモコンはベーシックな機能をまとめたものだが、BD再生時にちょっと早送り/戻りたいときに使える「フラッシュボタン」が便利。今回テストした機種ではもっとも基本設計は古いはずだが、バランスとコストパフォーマンスに優れた入門機だ。

ドライブ部 リモコン

・パナソニック「DMP-BD60」

 BDの再生では鮮やかな色が魅力的だ。ブルーレイDIGAで定評のある「新リアルクロマプロセッサ」を搭載。ヱヴァの冒頭の戦車のシーンの赤色が深く、印象的だ。「ダークナイト」の銀行強盗シーンでは、警備員のジャケットの素材感など、ディティールもぐっと見えやく感じる。

 音楽ディスクを聞くと、ハイスピードさよりは、どっしりとした音圧が印象に残る。また、新「マルチチャンネル デジタル リ.マスター」も搭載。デジタル放送や録画時に圧縮で欠落した高調波成分を補うもので、ロック/ポップス向け(1)と、ジャズなどの(2)、クラシック向けの(3)の3種類を用意。リモコンのリ.マスターボタンで切り替えられる。適用されるのは48kHz以下の音声とのことで、音楽CDでも適用できる。一番効果を感じたのは、デジタル放送のAAC音声。ボクシング中継の音声が、解説は前に出ながら、背景の会場音の情報量も増えるような印象。基本的に数字が大きいほうが効果を強く出すようで、効果のほどをワンボタンで切り替えられるのも面白い。

ドライブ部 SDカードスロットも装備 奥行きも短めだ
背面 リモコンはシンプル。あえて言えばフラッシュボタンがほしい。

 「ちょっと微妙かな」という点が、DVDのアップコンバート画質。「ロボッツ」では、赤色の発色は鮮やかでも、微妙なグラデーションの境界でノイズが散見される。モスキートノイズも若干感じる。実写系ではそれほど目立たないのだが、アニメや3DCGのアップコンバートは今一つと感じた。

YouTubeとビエラリンク(LAN)を用意

 特筆すべき機能はネットワーク関連。YouTube再生と、ネットワーク内のDIGAの録画番組を再生できる「ビエラリンク(LAN)」が利用できる。

 YouTubeの再生機能はシンプル。基本的には「おすすめ動画」、「再生回数の多い動画」、「評価の高い動画」、「検索」などの機能が用意されており、これらからリモコンで動画を選ぶというもの。“流行の動画をチェックする”には操作性も良く使い勝手よくまとまっている。

 ただ、パソコンで作ったアカウントにログインすることで、活用の幅はグッと広がる。パソコンで自身のアカウントで音楽のpvを手当たり次第にYouTubeの“お気に入り”登録。BD60からそれらをリモコンで選択して、再生すると、テレビやオーディオシステムから出力されるYouTube映像はパソコンとは別の印象で、面白い。最近は自身のpvなどをYouTubeにアップしているアーティストも多く、映画のトレーラーなどもアップロードされているので、積極的に活用したい機能だ。

YouTubeのトップ画面 再生回数やおすすめ順での表示が可能 ログイン画面
ログインして、アカウントに紐づいたビデオ再生が可能 ビエラリンク(LAN)ではDIGAの録画番組が再生できる。DMR-BW830の録画番組は問題なく再生できたが、パソコン上のファイルはほとんど認識されない

 ビエラリンク(LAN)もDIGAユーザーには便利。DIGA側でBD60からのアクセスを許可すれば、ホームネットワーク内のDIGAで録画した番組を、ネット経由で再生できる。DIGAユーザーであればかなり使いでのある機能だ。なお、BD60は、DLNAクライアントとして、動作するのだが、再生できるファイルがかなり限られているようで、PC上のDivXやMPEG-2、WMVファイルなどは再生できなかった。様々なファイル対応が進めば、より魅力的な機能になるだろう。

 SDカードスロットを備えている点も特徴。ビデオカメラやデジタルカメラ映像を手軽にテレビに出力するための“アダプタ”としてBD60を活用できる。基本性能が高いうえに、ネットワーク/SDカードなどの広がりをもった利用が可能な点も魅力的なプレーヤーだ。


・シャープ「BD-HP21」

 他のプレーヤーと比較して、明らかに重量が重く、奥行きも335mmと最も長い。シャープによれば、これは音質を重視して設計したためという。筺体に防振プレートを配したり、3極の電源ケーブルを採用するほか、オーディオ回路には音響用の電解コンデンサを採用するなど、音質強化を強く打ち出したモデルとなる。こうした取り組みもあり、奥行きは今回の試用機では最も長くなっているので、設置性はやや限定されることもあるかもしれないが、差別化への取り組みとして注目したいポイントだ。

 起動やローディング速度は標準的だが、クイック起動をONにした時のメリットは大きい。ほぼ瞬時に起動するので、すぐにBDやCDを再生できる、まったくストレスは感じさせない。ただし、待機時の消費電力も15Wと高くなってしまうので、ここを利用頻度にあわせてON/OFFの選択を判断したい。

奥行きは一番長い335mm BDドライブ 背面
メインメニュー 各種設定画面

 画質面でも全く不満はなく、DVDのアップコンバート品質もまずまず。画質設定の類はほとんどなく、24p/60p出力や、NR設定の項目が用意されている程度。高音質設計が特徴のBD-HP21。BDビデオ「小澤征爾」を聞くと、中域の押しが強く、迫力十分。演奏者が増えたかのようなパワー感がある。音楽CDのBrad Mehldau Trio「Live」でもウッドベースのゴリッとした質感などがパワフルで、ステージの奥行き感もしっかりと感じられる。ポップスも気持ち良く鳴る。

  リモコンは同社のレコーダに似たナビゲーションのもの。利用頻度に対して、メニューボタンなどが大きすぎるような気もするが、基本的な使い勝手は悪くない。

リモコン

・パイオニア「BDP-120」

 3万円を切る実売価格ながら、ボディの高級感は十分。ただし、起動時間とディスクローディングは遅めで、ドライブの動作音も“キュッ、キュ”と結構大きいのが気になった。GUIはシャープBD-HP21に似ている。バックエンドの一部などを共同開発しているが、それ以外は自社開発とのことで、シャーシの構造などはまったく異なっている。

 BDの再生品質には全く不満はないが、DVDのアップコンバートは今一つ。やや色が淡く、輪郭がぼんやりとしている。音質も良く、「小澤征爾」はバランス良く、音場感もしっかり。CDのBrad Mehldau Trio「Live」再生時でも、ピアノのタッチや背景の空気感がくっきりと立つ。ニール・ヤング「Live at Massey Hall」など、ディストーションギターが全面に出た楽曲を聞いていても、すっきりとした印象を残す。

ドライブ部 側面 背面
リモコン

 リモコンは本体価格に対して、かなりゴージャス。上位機種のLX52を除けば、今回試用した製品のなかでももっとも高級な印象がある。また、ビデオ再生時のCMスキップに加えて、バックボタンがある点も重要。CMを飛ばしすぎた時、だけでなく、特典映像を見ているときなどに重宝した。


・パイオニア「BDP-LX52」

 実売で8万円程度と今回の競合機に比べると2倍近い価格差がある製品。そのため直接の競合とは言えないが、細かな機能や作り込みなど、確かに価格分の差は感じられた。

 画質調整については、専用のメニューを用意。KUROやLCD、PDP、プロジェクタなど各ディスプレイにあわせたプリセットが選択できるほか、映像出力中でも、画質設定ボタンから、NRやディティールなどの細かな調整が行なえる。こうしたマニアックな機能を使いたいユーザーには魅力的だ。

ドライブ部 側面 背面
接続するディスプレイ方式ごとの画質設定も用意 ツールボタンで各種設定機能を再生中に呼び出せる 再生情報表示量も多い
NRやディティールなどの詳細設定も

 機能だけでなく、画質面でも頭一つ抜けた印象で、ヱヴァのオープニングシーンの発色も鮮烈。山並みに映える空の深い青さや、冒頭の真っ赤な海など、一段抜けたインパクトを感じさせる。DVDのアップスケーリング品質も高く、輪郭の筋状のノイズなどがかなり少ない。NR設定でいろいろ追い込むことも可能なので、このあたりの柔軟性の高さも魅力といえる。

 また、音質面でも、ジッタフリー伝送の「PQLSマルチサラウンド」に対応しているのも注目。まだ、対応機種は同社の「VSA-LX52」だけだが、パイオニアのAVアンプファンには注目したいところだ。ただし、起動やディスク認識などの、速度はそれほど速くないことには留意したい。

リモコン インシュレータ

・LG「BD370」

 起動時間とディスクローディングの速さが魅力だ。操作レスポンスも良く、きびきびと使えるという点で、もっとも“プレーヤーの特徴”が生かせる製品といえる。

 画質設定項目は多くなく、NRなどの設定もないが、HDMIの60p、24p出力などは選択できる。「ダークナイト」を見ると、やや寒色系の印象があるが、BDならではの解像度がしっかり味わえる。ただ、ダークナイトのチャプタ4の法廷シーンなど、グレインの処理で、ややざわついた印象も残すこともあった。

 日本のデジタル放送を録画したBD-R/REも再生できた。ただし、今回、AVアンプ「TA-DA5300ES」とHDMI接続し、デジタル放送を録画したBD-Rを再生したところ、音声が出力されなかった。テレビにHDMIで直結する音が出たので、このあたりは機器間の相性問題なのかもしれない。

ドライブ部 USB端子を装備 電源ボタンを前面のセンターに備えている

 DVDアップコンバートについては、「ロボッツ」などの3DCGは違和感を感じなかったが、実写の人肌に時折色ノイズが感じられた。また、リモコンのデザインは地味でややチープだが、GUIの作りはわかりやすく、操作に戸惑うことはなかった。ただ、4色ボタンが他の日本メーカーと配列が異なっている(日本メーカーは青/赤/緑/黄、LGは赤/緑/黄/青)ので、こうしたボタンを活用するソフトがあれば、戸惑うこともあるかもしれない。

側面 背面 リモコン

 特徴的な機能としてBD60と同様にYouTube再生機能も搭載。「おすすめ」、「最近の動画」、「閲覧順」、「評価順」、「検索」、「ログイン」の各項目を用意。BD60と同様に、ログインして、自身のお気に入りコンテンツを連続視聴できるのは魅力的だ。

 また、フロントパネルにUSB端子も装備。ほかのプレーヤーでは「BD-Live領域拡張用」にUSBを備えているが、BD370ではUSBメモリなどに記録したDivXなどの動画ファイル再生に対応している。動作の高速性という最も基本的な機能が群を抜いているほか、ネットワークやUSBなどの拡張機能を備えながら、実売価格も低価格という点が魅力といえる。

メインメニュー YouTubeの再生画面

 


■ 低価格プレーヤーの盛り上がりで、BD加速に期待

 Blu-ray Discを再生するという、基本的な機能について性能差はそれほど大きくないが、それでも、動作速度やリモコンの違いによる操作感の違いはある。また、YouTube再生など、それぞれのプレーヤーごとの付加機能も見逃せない。こうした機能を活用するか否か、も選択時の重要なポイントになるだろう。

 画質/音質などのクオリティを追求した上位機種もあるが、PS3か、10万円以上のミドル〜ハイエンド機だけだったBDプレーヤーに、リーズナブルな選択肢が加わったことで、BDがより身近になった。こうしたハードウェアとの相乗効果で、年末に向けてソフトウェアも含めさらにBDに勢いが出てくるだろう。今夏のBDビデオ新作リリースを控え、よりBDを楽しむための選択肢として、BDプレーヤーの低価格化を歓迎したい。


(2009年 6月 19日)

[ AV Watch編集部 臼田勤哉]


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