ミニトピ
10万円台後半で買える45~49型4Kテレビの選び方。4社の特徴をチェック!
2016年12月6日 08:00
この冬も注目製品の4Kテレビ。HDR対応などによる画質の進化に加え、ネットワークサービス対応など機能の向上もめざましい。AV Watchもフラッグシップモデルを中心にレビューを多数お届けしてきてたが、最近の4Kテレビは、ミドル/エントリークラスの製品にも広がりを見せており、テレビ全体の高機能化や高画質化が図られてきた。冬商戦の主戦場もこのレンジで、4Kテレビはもはや“当たり前”の選択肢となった。
今回、この冬の売れ筋となりそうな、40型台後半、15~20万円の4Kテレビから、画質も機能も充実した4製品をピックアップし、その特徴を解説する。選んだ製品は、シャープ「AQUOS LC-45US40」、ソニー「BRAVIA KJ-49X8300D」、東芝「REGZA 49Z700X」、パナソニック「VIERA TH-49DX750」だ。
これらの製品を選んだ理由は主に以下の5点。
- 40型台後半で実売20万円以下の4Kテレビ
- HDR(ハイダイナミックレンジ)映像対応
- リビングで楽しめる高画質
- 録画や操作性などの基本機能の充実
- YouTubeやNetflixなどの映像配信を中心としたネットサービス対応
いずれも各社の4Kテレビのこの冬の中核シリーズといえる製品。ハイエンドではないものの上位シリーズなので、画質や音質にはこだわっており、トレンドのHDRにももちろん対応している。だが、各社の製品を細かく見ていくと、画質・音質以外にも、サイズや4Kチューナの有無、録画機能の充実、OS、操作性や拡張性などに違いが見えてくる。
ソニー「BRAVIA KJ-49X8300D」。Android TVで4Kチューナ搭載
ソニーBRAVIAは、ハイエンドの「Z9Dシリーズ」や音にこだわった「X9350シリーズ」なども用意されているが、「X8300Dシリーズ」の魅力は、HDRや広色域のトリルミナスディスプレイ対応で、残像低減技術の「モーションフローXR240」など、画質にはこだわりながら、20万円を切る価格を実現していること。
また、画質・音質を除く主要機能は、上位シリーズとほぼ共通ながら、最新のHDRにもしっかり対応できる画質ポテンシャルを持っている。エントリークラスの「KJ-49X7000D」という製品もあるが、トリルミナスや倍速非対応となるため、画質にこだわるのであればX8300Dを選んでおきたい。
今回の4製品では唯一、「スカパー! 4K」の4Kチューナを搭載。スカパー! 4Kの4K放送を重視する人にとってはBRAVIAを選ぶ大きな理由になるだろう。
一方で録画機能はやや弱めで、地上/BS/110度CSデジタルダブルチューナだが、同時録画は1番組のみ。ただし、放送を見ながら画面下に録画番組などを表示できる「番組チェック」にnasneや同社レコーダの録画番組を表示できるなど、録画機器連携は充実している。
今回注目したのが、HDMI入力のHDR信号対応と転送速度18Gbps対応。つまり、HDMI端子のうち何系統がHDR信号にフル対応しているかということ。
Ultra HD Blu-ray(UHD D)の4k/60p収録タイトルの場合、HDR信号を伝送するために従来の10.2Gbpsでは足りないのだ。ほとんどのUHD BDタイトルは24p/30p収録とはいえ、18GbpsとHDRフル対応であれば、どんな信号も受けられる安心感がある。また、Xbox One SのようにUHD BDのRGB信号出力しかない場合は、24pタイトルも18Gbpsが必要となる。
49X8300DのHDMI入力は4系統。そのうちHDMI 2/3が18Gbps対応のため、4K/60pのHDR信号も2系統までは対応できる。HDMI 2/3の各入力を拡張フォーマットに設定することで、HDR対応となる。各製品ともHDR入力対応のためには特別な設定が必要になるケースが多いため、説明書などを参照して欲しい。
Android TVプラットフォーム採用による、アプリやサービスの充実もBRAVIAならでは。NetflixやYouTube、Google Play、PlayStation Videoはもとより、HuluやdTV、Amazonビデオ、U-NEXT、TSUTAYA TVなどの主要サービスを網羅しており、さらにスポーツライブの「DAZN」対応も果たしている。今年話題を集めた「Abema TV」にも対応予定だ。映像配信を、テレビの大画面でシンプルにリモコン操作が行なえる“気軽さ”はOS統合型ならでは。
また、Google Cast対応により、対応アプリからの音楽出力やスマートフォンで検索した動画のテレビ出力も行なえるほか、音声検索機能付きのリモコンが付属。録画番組検索やYouTubeの検索などで音声操作が可能となるなど、機能は充実している。
一方、アプリやWebサービスなどのフル機能を使うためには、Googleアカウントの登録も必要で、テレビとしては難しい部分もある。ただし、Android端末を持っていれば、同一無線LAN内のスマートフォン/タブレットから設定/登録が行なえるなど、シンプルに登録が可能となっている。
スイーベル対応が魅力的。シャープ「AQUOS LC-45US40」
シャープAQUOSからは「LC-45US40」を選択。他社製品は49型で、AQUOSも50型の「LC-50US40」のほうがサイズは近いのだが、シャープが“この冬商戦イチオシ”のモデルとしていることもあり、あえて45型を選んだ。価格的にも2万円ほど安くなり、また現状国内唯一の45型4Kテレビとなる。
この45型というサイズにも狙いがある。2010年までに薄型テレビで最も売れていたサイズが32型で、これらのテレビの買い換え期が近づいている。シャープはLC-45US40を「32型とほぼ同じ設置スペースながら、画面面積は2倍」というキーワードで訴求している。つまり、設置場所は替えずに、大型化・高機能・4K化できることがセールスポイントなのだ。
4Kテレビとしては小型の部類ながら、AQUOSの上位シリーズだけに画質にはこだわっている。ハーフグレア加工の「N-Blackパネル」で、明るい環境でも映り込みが少ない、という点も注目点。暗い部屋での映画視聴などはもちろんだが、明るいリビングでも映り込みなどを気にせず、映像を楽しめる。また、オンキヨーと共同開発のスピーカーによる音質も注目点の一つだ。
リビング向けという点でユニークなのは、スイーベル機構を備えていること。左右各30度の画面首振りができるため、視聴位置にあわせて画面の向きを調整できる。今回の4製品では、LC-45US40のみがスイーベル対応で、設置性の高さ、自由度は魅力的だ。
やや残念なのは、HDR対応のHDMI端子が1系統(HDMI 1)のみということ。HDR対応のプレーヤー機器が1台だけであればいいのだが、例えば1系統はUltra HD Blu-rayプレーヤー、もう1系統はPlayStation 4 Proといった場合は、HDR出力のためにケーブルを繋ぎ変えなければならない。レコーダやゲームなどでHDR対応を重視する場合は、課題になりそうだ。
ネットワークサービスについても、YouTubeを始め、NetflixやHuluなどに対応。録画機能やMiracastなどのスマートフォン連携も充実している。
録画にこだわり。東芝「REGZA 49Z700X」
東芝REGZAからは、ハイエンドZ20Xシリーズに続く上位機となるZ700シリーズ「49Z700X」を選択。直下型LEDバックライトや、視野角の広いIPSパネルを採用による「リビング高画質」が特徴のシリーズだ。
視野角の広さを活かした画質が特徴で、最新世代の映像エンジン「4KレグザエンジンHDR PRO」による、HDRや地デジ画質の向上、動画応答性能の良さなどがポイント。特に地デジのノイズを低減した、メリハリある映像が特徴だ。500nit以上の輝度を有しており、Ultra HD Blu-rayによるHDR映像の表現力も十分だ。NetflixやひかりTV、dTVに対応など、対応映像配信サービスも充実。dTV対応は上位機のZ20Xにもない特徴だ。
そして、Z700Xならではの差別化ポイントが、REGZA Zシリーズ伝統の全録「タイムシフトマシン」だ。別売のHDDを接続すれば、4TB HDDの場合、6チャンネルを約80時間の録画しておける。HDDは別売だが、USB HDDは汎用のものが利用できる。
地デジの“見逃し”を、ほぼなくせるのはこのZ700Xだけ。画面下部に表示される録画番組からおすすめ番組を選んだり、“過去番組表“から見たい番組を選んで視聴できる。また、放送中の番組を“頭だし”できる「始めにジャンプ」も便利な機能だ。
タイムシフトマシン用に6つのチューナを内蔵しているため、放送や録画番組を見ながら、放送中の地デジ番組を最大6チャンネル同時にサムネイル表示する「まるごとチャンネル」も可能。放送中の番組内容を見ながら選局できるのもREGZAならでは。
HDMI入力は4系統全てが18Gbps対応で、HDR入力できるのも特徴。低遅延性能な「ゲームモード」や2,560×1,440ドット/60pのHDMI入力対応などPC連携の充実もREGZAならでは。接続する外部機器が多い人にとっては重要な差別化ポイントになるだろう。
色と音声操作。パナソニック「VIERA TH-49DX750」
DX750は、4K VIERAのHDR対応スタンダードシリーズ。直下型LED搭載の最高画質「DX950シリーズ」や音にこだわった「DX850シリーズ」のような特徴はないが、広色域技術「ヘキサクロマドライブ」や新蛍光体の採用など、4K VIERAの特徴の色表現力にこだわった4Kテレビだ。
バックライトのエリア制御に対応し、HDRのためのハイコントラスト性能を備えているほか、新パネルコートにより、照明や外光の映り込み、反射を抑制し、結果的に明るい部屋でも高コントラスト表現を可能にしている。今回の各製品に共通していることだが、「明るいリビングの普段使いでの高画質」をリーズナブルな価格で実現しているのがポイントだ。
チューナは地上/BS/110度CSデジタル×3で、別売USB HDDへの2番組同時録画が可能。録画した番組は、専用アプリ「Panasonic Media Access」を使って、家庭内や外出先のスマートフォン/タブレットからも視聴できる。
VIERAシリーズの特徴が、Firefox OSによるシンプルな操作性。お気に入りの機能にすぐにアクセスできる「かんたんホーム」の採用により、よく使うチャンネルや、アプリ、接続機器、Webページなどを登録し、素早く呼び出しできる。
NetflixやdTV、YouTube、4Kアクトビラ、ひかりTVなどの4K映像配信サービスに対応。マイク一体型の音声操作対応リモコンが付属し、検索ワードをリモコンのマイクに向かって話すと、YouTubeやアクトビラの動画検索や番組表や録画番組からのキーワード検索が可能など、音声操作の充実も特徴だ。
HDMIは3系統で、他製品(4系統)より少ないが、全てのHDMI入力が18Gbps電動とHDR信号入力に対応する。そのため、複数のHDR対応機器との接続も安心だ。
特徴ある4Kテレビからお好みの一台を
特徴を簡単にまとめると以下の通りになる。
ソニー BRAVIA「KJ-49X8300D」(192,110円/税込)
・HDR対応の高画質
・4Kチューナ搭載
・Android TVと充実のアプリ/サービス対応
シャープ AQUOS「LC-45US40」(172,670円/税込)
・国内唯一の45型
・スイーベル対応による設置自由度
・ネットワークサービス対応の充実
東芝 REGZA「49Z700X」(195,990円/税込)
・リビング高画質
・全録「タイムシフトマシン」
・18Gbps対応HDMI×4 & PC/ゲーム対応
パナソニック VIERA「TH-49DX750」(190,820円/税込)
・広色域/広視野角4K VIERAスタンダードモデル
・充実の録画機能。リモート視聴
・Firefox OS&音声操作対応、18Gbps対応HDMI×3
上記4機種以外にも魅力的な製品は多く、例えば、LGの「49UH7500」は10万円台前半で、4K/HDR対応。web OS 3.0やマジックリモコンによるユニークな操作性を備えている。
各社の4Kテレビは一見似通ってみるように見えるが、よく見ていくと、使い勝手や利用シーンに応じて、それぞれに特色がある。記事や店頭での実機操作などを通じて、自分好みの1台を探して欲しい。
KJ-49X8300D | LC-45US40 |
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49Z700X | TH-49DX750 |
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