冒頭、DLP事業部長の堀内豊太郎氏が、DLPをとりまく現況を報告した。同事業部は「ビジネス製品」、「商用エンターテイメント製品」、「ホームエンターテイメント製品」の3分野でDLPプロジェクタビジネスを展開しているが、同氏によれば、2001年はそれぞれの分野で飛躍が見られたとしている。 ビジネス製品では、プラスビジョン株式会社が1kgを切る世界最軽量のDLPプロジェクタを10月に発売。また、商用エンターテイメント分野では、大型機が14,000ANSIルーメンを実現したほか、DLP Cinema映写機の需要と設置が拡大した。 現在、DLP Cinema映写機は世界40ヵ所に導入されており、日本国内では劇場に7ヵ所、ポストプロダクション用に2ヵ所の、計9カ所で稼動中という。堀内事業部長は「米より日本の方が先行している」との感想を述べ、初回上映がデジタルシネマのみという「Star Wars Episode II」の公開のある2002年には「さらに数が出るのではと期待している」と語った。 また、ホームエンターテイメント製品では、プラスビジョン、シャープ株式会社、日本マランツ株式会社がDMD採用のプロジェクタを発表。さらに、Vestelの3,000ドルのリアプロジェクションテレビや、Runcoのホームユース向け3板式DLPの開発など「にぎやかな年だった」との感想を述べた。
DMDの今後のロードマップも発表された。2002年にはミラーを14μm以下に微細化することで、パッケージを0.7型→0.6型へ小型化。また、使用するシリコンウエハを150mmから200mmに大径化しコスト削減などを図るという。これらを適用した新パッケージを2002年に投入するとしている。
また、DLP方式の世界シェアについては「2001年第2四半期で31%くらい」とし、2002年も「ほぼ同じ比率で推移する」と回答した。 さらに、6月に発表された「D1000ファミリー」の解説も行なわれた。「D1000ファミリー」は、ミラー傾斜角度を±10°から±12°に変更した新開発のDMD素子「DMD1000シリーズ」と、コントローラの「DDP1000」、ミラーを制御する「DAD1000」で構成するコンポーネントセット。明るさを約20%増加させたという。搭載機が市場に出回るのは2002年としている。 DMD1000は、SXGA(1,280×1,024ドット)、0.7型XGA(1,024×768ドット)、0.5型SVGA(800×600ドット)の3種類。ピクセルピッチはすべて13.8μmで、200mmウエハで生産される。フルオン/フルオフでのコントラスト比は1000:1以上になるという。 DDP1000は、カラー・セパレーション・アーティファクト(色時分割によるちらつき)や暗階調での量子化ステップの低減、ディザノイズの減少といった改良が行なわれている。また、DMD1000へのDDRデータ転送やロードにかかる時間を短縮している。 続いて、DMD1チップ方式で従来の1.4倍の光効率を実現するという「SCR(Sequential Color Recapture)」方式についての説明も行なわれた。 SCRとは、カラーホイールのR、G、Bの配置を渦巻状にすることで、3色同時に光を当てることを可能にした方式。カラーパターンはビデオ・フレームレートの3倍から11倍でスクロールする。
カラーホイールの前には内部を鏡状にした「インテグレータロッド」というデバイスが置かれる。ロッドの入り口と出口だけが開口しており、カラーホイールのR、G、B各面に合わせた光だけが先へ進むことができる。それ以外の光はカラーが合うまでロッド内での反射を繰り返す。光変換のロスが少ないため、従来方式に比べ理論上1.8倍の効果があるという。搭載機の発売は2002年になるとしている。 同社ではこのSCRにより、2002年にはDLPプロジェクタの高輝度化と小型化が大幅に進むとし、本体重量1.9kgで3,000ANSIルーメンを実現するとしている。 なお、インフォコムジャパンでも出品された「ワイヤレスプロジェクタ技術」についても解説があった。プロジェクタとPDA、ノートPCなどをIEEE 802.11bで接続するというもので、「ProjectConnect」という名称で同社製のシステムデバイスを提供していくという。
□日本テキサス・インスツルメンツのホームページ (2001年11月13日) [orimoto@impress.co.jp] |
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