エプソン、ワイドSXGA液晶でホームシアター市場に参入
―ファロージャDCDi搭載、実売は50万円弱


発表会では投射用にディフォンのサウンドスクリーンが用いられた
2月中旬より順次発売

標準価格:オープンプライス

連絡先:プロジェクターインフォメーションセンター
    Tel.0570-00-4110



 セイコーエプソン株式会社は、液晶プロジェクタの新製品として、同社初のホームシアター向けフロントプロジェクタ2機種を発表した。ラインナップは、1,280×720ドットの16:9パネルを搭載した「ELP-TW100」と、800×600ドットの4:3パネル採用の「ELP-TS10」の2機種。

 発売時期は、ELP-TW100が2月中旬、ELP-TS10が2月下旬を予定。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はそれぞれ、50万円弱、30万円弱になると見られる。


■ ELP-TW100

 新開発の0.87型ワイドTFTパネルを使用したホームシアター向けモデル。解像度は1,280×720ドットで、1080i/720p/576p/576i/480p/480iの各信号をサポートしている。なお、720pにはリアル対応となっている。光学系も新設計のものを使用し、ランプは150WのUHEを搭載。コントラスト比は600:1、明るさは700ANSIルーメン。

ELP-TW100。放熱は左のフィンから行なう。レンズ脇にはDCDiのロゴが入っている コンポーネント(RCA)などを装備する背面パネル。背面からの光漏れはない 側面には取っ手を装備している
本体上面の操作パネル 主要ボタンが蓄光するリモコン

 新パネルには、「ドリームプロセス」と呼ぶ技術が導入されている。これは、データ線上に0.7μmの溝をつくり、そこにデータ線を埋め込むことで、パネルを平坦にする技術。光漏れの低減を抑制し、コントラストを向上させるという。なお、三菱電機が2月に発売する「LVP-01」にも、このドリームプロセスが導入されているという。

 投射距離はワイド80型で2.5~3.4m、ワイド100型で3.1~4.3m。ファンノイズは30dBに抑えられ、背面からの光漏れをなくした設計となっている。入力端子は、ビデオ系がコンポーネント(RCA)、S映像、コンポジット。PC系がDVI-I、アナログRGB(D-sub15ピン)を各1系統づつ搭載。別売で天吊り用金具(55,000円)も用意している。外形寸法は、348×274×104mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約4.2kg。

 高画質化回路として、プログレッシブ変換用にファロージャのDCDiを搭載。「ジャギーを大幅に低減し、滑らかな動きの映像が得られる」としている。ほかにも、エプソン独自の「DAR(Digital Active resizing)」という画素補間技術が投入されている。また、動きにあわせて画質を調整できる「モーションディテクト機能選択」のほか、「3次元Y/C分離」、「3-2プルダウン機能」も搭載している。

 画質調節項目は、RGBごとの黒レベル、中間調、白レベル調整に加え、グレースケール調整や色温度、肌色調整などが利用できる。肌色調整は、白の偏差を調整するというもの。また、マイクロソフトや三菱電機などが推進する色標準規格「sRGB」にも準拠している。

新開発の液晶パネルには、データ線に0.7μmの溝を設けた「ドリームプロセス」と呼ぶ技術が投入されている 光学も新設計。図はエプソンが所有する光学系基礎技術
最近採用発表の多いファロージャの「DCDi」を搭載 色温度に加え「肌色調節」も可能。白偏差を変化させるという

【主な仕様】
 ELP-TW100ソニーVPL-VW11HT
(参考)
店頭予想価格50万円弱50万円前後
液晶パネル0.87型TFT
1,280×720ドット3枚
1.35型TFT
1,366×768ドット3枚
明るさ700ANSIルーメン1,000ANSIルーメン(16:9時)
750ANSIルーメン(4:3時)
コントラスト比600:1(未公表)
光源150W UHE200W UHP
レンズ1.35倍マニュアルズーム1.2倍マニュアルズーム
投射サイズ30~300型40~300型
(16:9時)
映像入力DVI-I
アナログRGB
コンポーネント
S映像
コンポジット
アナログRGB
(コンポーネント兼用)
S映像
コンポジット
騒音レベル30dB(未公表)
消費電力240W300W
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
348×274×104mm395×427×168mm
重量約4.2kg約8.0kg


■ ELP-TS10

 液晶パネルに4:3の0.9型800×600ドットを搭載したモデルで、エントリーモデルに位置付けられている。本体デザインはELP-TW100とほとんど同じ。液晶パネルは既存のものだが、ホームシアター向けに調整したという。1080i、720pの入力にも対応し、コントラスト比は700:1で、ファンノイズは31dB。sRGBにも準拠している。

 パネル以外でELP-TW100と異なる点は、コンポーネント端子がアナログRGBと共用になること。また、ELP-TW100には装備していない音声入力やUSB端子も備えている。DCDiは非搭載となる。

 レンズは1.35倍マニュアルズームで、投射距離は、80型で2.5~3.2m、100型で3.1~4.1m。外形寸法、重量ともにELP-TW100と同値となる。

筐体デザインはELP-TW100とほとんど同じだが、背面の入出力部が異なる。コンポーネントはアナログRGB端子と兼用

【主な仕様】
 ELP-TS10ソニーVPL-HS(Cineza)
(参考)
店頭予想価格30万円弱28万円前後
液晶パネル0.9型TFT
800×600ドット3枚
0.7型TFT
800×600ドット3枚
明るさ700ANSIルーメン(非公表)
コントラスト比500:1(非公表)
光源150W UHE120W UHP
レンズ1.35倍マニュアルズーム1.2倍マニュアルズーム
投射サイズ30~300型40~150型
映像入力DVI-I
アナログRGB
(コンポーネント兼用)
S映像
コンポジット
アナログRGB
コンポーネント
S映像
コンポジット
騒音レベル31dB(非公表)
消費電力240W190W
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
348×274×104mm340×300×154mm
重量約4.2kg約3.9kg


 国内プロジェクタ市場は2001年に156,000台、2002年に22万2,000台の出荷が予想されており、そのうち、ホームシアター向けは2001年が2万台、2002年が32,000台と見らていれる(富士キメラ総研調べ)。

 エプソンによれば、その後も一般ユーザーを巻き込みながらの高い伸びが期待でき、2005年には125,000台の市場規模に成長するという。その推進源として同社は、DVDやBSデジタル放送の普及、2003年の地上波放送開始、HTPC浸透の兆しを挙げている。

エプソン販売の降旗國臣社長 ホームシアター向け需要が伸張すると同時に、市場カテゴリが3つに分化すると分析。今回は3管以外のカテゴリに1機種づつを投入した

 エプソン販売の降旗國臣社長は、プラスビジョン、松下電器といったメーカーが2001年にホーム市場向け製品を投入したことを引き合いに出しながら、「この市場に早く入りたいという期待はあったが、スペックや価格など良い製品になるのを今まで待っていた。データプロジェクタ用の販売チャネルなど、これまで培ったものを利用し、一気にシェア30%を目指す」との意気込みを述べた。2002年にはELP-TW100、ELP-TS10でそれぞれ5,000台づつ、計1万台の販売を目標に掲げている。

 同社は2001年度上期のデータプロジェクタの分野において、国内28.5%、海外13.0%のシェアを獲得。国内では1位、海外では3位の位置にいる。広く知られた液晶パネルの他社供給のほか光学技術でも、液晶プロジェクタのほぼすべてが同社の技術を採用しているという。

□セイコーエプソンのホームページ
http://www.epson.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.epson.co.jp/osirase/2002/020121.htm
□関連記事
【2001年12月20日】三菱、ホームシアター用液晶プロジェクタ「LVP-01」
―クラス最高のコントラスト比600:1を実現
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011220/mitsu1.htm

(2002年1月21日)

[orimoto@impress.co.jp]

I
◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】

00
00  AV Watchホームページ  00
00

ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.