今回発表されたSC-7S1とMA-9S1は、同社が取り扱うB&Wブランドのスピーカー「Signature 800」の店頭視聴会などで参考出品されていたもの。2001年9月開催の「東京インターナショナルオーディオショウ」でも、Signature 800を駆動していたという。両機種とも負荷の大きいSignature 800の要求にも充分応えることができるとしている。 もちろん、SACDやDVDオーディオへの対応も視野に入っており「周波数が伸びているだけでなく、真の意味での対応を図った」(国内営業本部長 高山敬史氏」という。具体的には、20kHzで100dB以上のチャンネルセパレ―ションや、マルチチャンネル用に6台のSC-7S1を接続できる「フローティングコントロールバス」の搭載などがこれにあたる。
なお、型番につけられた“7”と“9”は、同社製の往年のステレオプリアンプ「Moldel 7」とモノラルパワーアンプ「Model 9」にちなんだもの。「伝説のモデルナンバー」を今回の新製品に付与することで、高級オーディオ分野におけるブランドイメージの向上と再認知を図るのが狙い。
■ SC-7S1 「SACDやDVDオーディオには、超高域でのチャンネルセパレ―ションが重要」との観点から設計された、ハイエンドのステレオプリアンプ。フルバランス構成をとっており、チャンネルセパレ―ションは20kHzで100dB以上としている。
バッファアンプには新開発の「HDAM SA」を搭載。これは、従来のHDAM(高速電圧増幅モジュール)を進化させたもので、帰還インピーダンスを低減し、さらなるハイスピードを実現したという。入出力バッファアンプ部に各4個、V/I変換部に4個を搭載している。定格出力は、バランス、アンバランスともに1.7Vで、最大出力は13.5V。 また、従来4連だったボリューム部に新開発の「8連リニアコントロールボリューム」を投入。これにより、連動誤差を0~-100dB(±0.5dB)にまで低減した。HDAM SAとの組み合わせにより、CMRR(同相ノイズ除去比)が向上、150kHz以上の周波数特性を可能にしたとしている。SN比はバランスが103dB、アンバランスが105dB。 SC-7S1の最大の特徴は、同機を最大6台接続できる「フローティングコントロールバス」を搭載したこと。複数のSC-7S1をシンクロコントロールでき、付属のリモコンでチャンネル毎のレベルトリムなどを調節できるという。
用途に応じた接続法が可能で、SC-7S1を2台、MA-9S1を4台使用したバイプリアンプによるコンプリート・バイアンプ接続のほか、SC-7S1を3台、MA-9S1を5台使用したマルチチャンネルも可能となる。同バスの端子はSC-7S1の背面にあり、形状はDINタイプとなっている。 そのほか、高調波成分が少なくなるという「チョークインプット方式」を採用。入出力端子は、バランスインプット×1、アンバランスインプット×3(SACD/CD、Line1、Line2)、TAPE IN/OUT×1、バランス出力×1、アンバランス出力×1となっている。外形寸法は459×441×136mm(幅×奥行き×高さ)、重量は21kg。
■ MA-9S1 SC-7S1との組み合わせを前提としたハイエンドのモノラルパワーアンプ。ボルテージアンプとバッファアンプの2アンプ構成で、SC-7S1と同じくHDAM SAを採用。ボルテージアンプに4個、バッファアンプに2個を搭載し、瞬時電流供給能力は従来機(SM-5)の約3倍に当たる。定格出力は8Ω負荷で300W、4Ωで600W。周波数特性は3~120kHz。
また、バッファアンプの電源部には「コンデンサインプット方式」を採用。スパーリング型トロイダルトランスや、専用開発のブロックケミコン、極太内部配線ケーブルなどとあいまって、大電流供給を可能にしているという。ダンピングファクタは200(8Ω)。SN比は120dB。 そのほか、ボルテージアンプ用の電源回路にはチョークインプット方式を採用し、ノイズの軽減を図っている。入力端子はバランスとアンバランスの2系統を搭載。アンバランス端子(RCA)は削りだし金メッキで、WBT製のスピーカー端子はバイワイヤリング接続に対応している。 外形寸法は459×451×198mm(幅×奥行き×高さ)、重量は35.8kg。内部には約7kgのアルミ押し出しヒートシンクを搭載し、ボトムシャーシには厚さ3.2mm×2のダブルレイヤードタイプを採用している。消費電力は450W。4Ωの定格出力時(600W)では1.2kwになる。
製品の発表に当たり、同社の東京ショールームで記者発表が行なわれた。デノンとの経営統合が伝えられた直後の会見とあってか、挨拶に立った国内営業本部の高山本部長は、今後の販売政策を「ブランドイメージの強化」と位置付けた。 「自信作」だというフラッグシップセパレートアンプの発売をきっかけに、マランツブランドの認知・再認識を図り、大量流通・価格下落によるイメージダウンを防ぐことを主眼に置いた販売戦略をとる。 具体的には、従来あった「1エリア何店舗」という展示は行なわず、厳選した限定販路での販売体制を敷く。あくまでもブランドのコンセプトと協調する流通を最優先し、初期導入数による優先措置もない。 また、インターネットでのオンライン販売や、通販などの価格崩壊をまねく流通へは対応しないとしている。さらに「ポイント販売店での取り扱いも基本的には行なわない」そうだ。このように、すべての対象流通を、出先申請→本部承認というかたちで選別していくという。なお、マランツが発表した年間販売目標は、SC-7S1が500台、MA-9S1が1,000台。 こうしたブランド戦略は、2001年5月に行なったフィリップスグループからのマランツブランド買収がようやく実を結んだため。「ブランドを守るためのブランド投資がやりやすくなった」(高山本部長)という。 今後、マランツブランドは「Absolute SA Technology」(ピュアオーディオ)、「Pure Surround」、「Digital Life Style」の3つのカテゴリーで展開。今回はAbsolute SA Technologyでの発表だったが、AVアンプやDVDプレーヤーを含むPure Surroundの分野でも積極的なブランド展開を行なうとしている。
□マランツのホームページ (2002年3月22日) [orimoto@impress.co.jp] |
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp