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ソニー、2003年経営方針を発表。「最強のコンシューマブランド」を目指す
-液晶にフォーカス。DVDレコーダは年内にシェア1位を狙う


出井伸之CEO

5月28日開催


 ソニーは28日、2003年度経営方針説明会を開催した。PS2プラットフォームをベースに、DVDレコーダ機能などを搭載した「PSX」については、すでにお伝えしている。ここでは、AV関連のその他のトピックについてレポートする。

 説明会の冒頭、同社会長兼CEOの出井伸之氏がスピーチをし、「2002年度第4四半期で大幅に赤字を計上したことで“ソニーショック”という言葉も生み、各方面で話題や不安を呼んでしまった。われわれとしてもショックであった」と切り出した。

 しかし、「最強のコンシューマブランドを作る」という目標を掲げ、トランジスタラジオやトリニトロンなどの成功例を引きながら、「エレクトロニクスやコンテンツを基幹として最強のコンシューマブランドを有するグローバルメディア&テクノロジー企業としての地位の確立を目指す」と述べた。

 続けて、「20世紀から21世紀に変わってから、エレクトロニクスやコンテンツだけでなく、通信やIT、金融などの広いジャンルで大きな変化がおきている」とし、「例えば、エレクトロニクスでは、韓国、そして特に中国での低廉な労働力をベースにして、コスト圧力がかかっている。20世紀型のパターンから、韓国・中国の追い上げをもとに、21世紀にどういうビジネスモデルを作っていくかということが、求められている」と説明した。

 そうした変化に対応すべく、'99年4月から2003年3月まで実施した第1次構造改革に続き、第2次構造改革に着手するとともに、エレクトロニクス/ゲームの商品力強化を戦略的に行なっていくと発表。2006年度に連結営業利益率10%を目指すとした。

第2次構造改革を21世紀型企業へ向けた改革と定義

 続いて、安藤国威社長兼COOが第1次構造改革の成果などについて簡単に解説。その後2003年4月から2006年3月までの第2次構造改革について触れ、エレクトロニクス事業を中心に、3年間で3,000億円の構造改革費用を計上すると述べた。

第2次構造改革では以下の項目が挙げられていいる。

    1.グループ内に分散する開発/設計リソースを統合/集約し、設計効率の向上、固定費・変動費の削減を図る
    2.不採算事業からの撤退、非戦略的資産の処分や売却
    3.国内外の生産事業所の更なる集約
    4.固定費などのコスト削減
    5.日本国内におけるソニーの人事・雇用システム改革を実施

出井CEOは、商品力の強化の重要ポイントとして「フラットパネルディスプレイ戦略」と「エレクトロニクスとゲームの成長戦略」を挙げた 成長のための重点領域

 出井CEOは、間接部門の生産性向上を目標にあげ、「日本の企業として終身雇用などの制度をもっているのはソニーも例外ではないが、サムスンの厳しいリストラやデルのスピード経営に対抗していくためには、人事評価や退職金制度などで、思い切った改革を行なう必要がある。できるところから順次発表する」と今後の方針を語った。

 また、商品力の強化に力を入れていくとし、「2つの大きなマネジメントディシジョンを行なった」という。1つは先にレポートしたPSXをはじめとするゲームとエレクトロニクスの融合製品で、もう1つはフラットディスプレイパネル。

 同社では有機ELの自社開発を発表しているものの、液晶やPDPなどのフラットパネルディスプレイは外部調達に任せていた。しかし、特に液晶をはじめとする大型テレビの伸びは無視できず、「液晶製造関連などで積極的に投資を検討していく」(高篠静雄副社長)という。

高篠副社長

 高篠副社長は、同社のAV製品の今後の展開について解説。近年の同社製品の動向について、フラットパネルテレビでの落ち込みや、海外志向を強めたカムコーダのシェアが国内で落ち込んだほか、DVDレコーダに関して出遅れたと説明。これらのポイントを重点的に強化するとして、今期の戦略を語った。

 まず、フラットパネルディスプレイではPDP/LCDで、2002年末に7モデルだった製品群を、24モデルに拡充し、積極的に展開する。特に高画質化回路「ベガエンジン」による差別化を徹底し、台数ベースで90%増の市場予測に対し、230%の成長を目指すという。

 なお、フラットパネルの投資については、市場動向などを鑑みて「われわれが考えるのはLCD」とし、プラズマは今までどおり外部調達でいくと説明された。

 DVDレコーダ市場では、積極的な商品展開により、2003年下期に国内市場でシェア1位を目指す。また、カムコーダでは、戦略商品として6月に発売する「DCR-PC105K」を挙げた。同製品では、自社製の半透過型低温ポリシリコン液晶を採用するなど、強力な自社製デバイスで差別化を図る「垂直統合型製品」として、強力に展開。カムコーダ市場で25%の成長を目指すという。

フラットパネルディスプレイの2003年度戦略 カムコーダの戦略 DVDレコーダの戦略

 また、現在開発中という新型のクリエも披露した。具体的なスペックについては一切触れられなかったが、ビデオ機能やワイヤレス機能を搭載し、「これこそAVとITの融合製品」とアピールした。

新型クリエ。詳細は一切語られていない 久夛良木副社長は携帯型ゲーム機「PSP」のメディアを手に、「ゲーム開発会社や出版社、フィルムスタジオなどと話を進めており、好感触」と説明

 出井CEOは、以前より発表を予告していた「クオリア」ブランドについても言及。「もうすぐお見せできると思う。価格だけでない価値をもったブランド。みんなの心に触れるような商品、サービスを提供する。コンシューマ製品として最高のものを目指している」とし、近日の正式発表を示唆した。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200305/03-023/
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―バイオやベガ中心のネットワーク構想を推進
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020514/sony.htm

(2003年5月28日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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