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テレビが全ての中心に。「VIERA Link」を試す
VIERA/DIGAをHDMI接続。HDD内蔵TV的な操作感


4月10日より順次発売


■ デジタル家電次の一手は“カンタン”

 近年家電のデジタル化が進むとともに、特に高齢層を中心に、使いにくさが指摘されている。デジタルテレビにおける、地上デジタル/アナログのほか、BS/110度CSデジタルの3波共用チューナによるチャンネル数の拡大や、レコーダ利用時の入力切替、多数のリモコン使用による操作の煩雑さなどは代表的な例だろう。

 そうした状況を受けて、特にデジタルテレビ、デジタルレコーダにおいては、機能や画質面での競争とともに「使いやすさ」に注目が集まっている。実際、最新の製品ではリモコン利用による音声ガイドや、テレビ上で確認できる簡単マニュアルなど、かなりのメーカーが対応を進めており、2011年のアナログ放送停波に向け、各社が本格的に取り組んでいることが分かる。

 松下電器では新たな「使いやすさ」の提案として、フラットテレビ新「VIERA」シリーズのリモコンで、HDMIで接続したAVアンプや新DIGAシリーズなどをコントロールできる「VIERA Link」を発表した。VIERA Linkは、VIERAのリモコンを中心にHDMIで接続された機器の電源ON/OFFや再生、録画、入力チャンネル切り替えなどの動作を連携させ、一括して操作可能としたもの。

 同機能の実現には、HDMIの拡張機能として機器間の制御などを規定したCEC(consumer electronics control)のコマンドを利用しているという。

 VIERA Linkにより、VIERAで番組を鑑賞中にDIGAの録画予約を行なったり、DIGA内に保存した番組の再生、AVアンプの音量コントロールなどが、VIERAの画面を見ながら、VIERAのリモコンで全て操作できる。

 DIGAやAVアンプのほとんどの操作がVIERAから行なえるとあって、使用リモコンに戸惑うことは無さそうだ。また、DIGA/VIERAの機能/インターフェイスの融合がどの程度図られているのかも気になるところ。今回は50型のプラズマテレビ「VIERA TH-50PX600」と新DIGAの最上位モデル「DMR-EX550」の組み合わせでVIERA Linkをテストした。

 価格ともにオープンプライス。TH-50PX600が4月15日から発売され、実売価格は58万円前後。DMR-EX550は4月10日に発売、実売価格は16万円前後。

TH-50PX600 DMR-EX550


■ DIGAの存在を意識せずVIERAの番組表から予約

 TH-50PX600は、1,366×768ドットの新開発パネルを採用したプラズマテレビ。コントラストの向上などの改善が図られているほか、新たにVIERA Linkを搭載。さらに、HDMI入力でも1080p映像の入力に対応した。

VIERA Link利用イメージ

 一方のDMR-EX550は、地上/BS/110度CSデジタルチューナを搭載したHDD/DVDレコーダ。HDD容量500GBのDIGAシリーズ最上位モデルと位置づけられており、新開発の高画質化エンジン「美画質コンバーター」を搭載するほか、VIERA Linkに対応。また、HDMI出力はシリーズで唯一1080p(60p)の出力に対応する。

 DIGA/VIERAの接続は、HDMIケーブルを一本繋ぐだけ。映像、音声とそれぞれでケーブルを繋ぐより遙かに簡単だ。デジタル伝送による画質面のメリットはもちろんのこと、こうした接続のしやすさや、わかりやすさというのもHDMIの大きな利点となるだろう。ただし、DIGA/VIERAいずれにもHDMIケーブルは付属しないので、別途購入する必要がある。HDMIケーブルは1mでも3,000円以上からと、まだまだ高価なので同梱は難しいのかもしれないが、VIERA Linkをウリにするのであれば、標準添付して欲しいところだ。


・録画予約は簡単

VIERAのリモコン。VIERA Linkの操作はすべてこのリモコンで行なう

 それではVIERA Linkを使ってみよう。まずは、VIERAを起動して、設定を行なう。VIERAのリモコンから、[初期設定]→[接続機器関連設定]→[ビデオ入力機器設定]を選択。ここで、[HDMI機器制御]を[する]に、[HDMI機器電源オフ連動]を[する]、[HDMI機器電源オン連動]を[する]を選択する。

 VIERA Linkでは基本的にVIERA側のリモコンで全ての操作を行なう。つまり、「全てのデジタル家電の中心にテレビを据える」という発想から設計されている。VIERAの操作については、当然ながら全てVIERAのリモコンで行なう。VIERA Link利用時には、リモコンの中央の十字キー/決定キーとその周囲の番組内容/番組表/操作一覧の各ボタンを利用する。

 接続設定がきちんと出来ていれば、つないですぐにシームレスな操作が可能だ。まずはVIERAのリモコンで番組表を立ち上げて、任意の番組表を選択し、[番組予約へ]を選択すると、DIGAに録画予約情報を転送し、DIGA側の録画予約が完了する。VIERAを操作しているだけでDIGA側の予約が行なえる。操作に戸惑うことは全くない。


VIERAの番組表 録画予約画面 お勧め番組の学習も可能

サブメニューから[見ている番組を録画]を選択

 また、リモコンの[サブメニュー]ボタンを押すとサブメニューが立ち上がる。ここで[観ている番組を録画]を押すと視聴中の番組をDIGAで録画できる。DIGAの電源が入っていれば、数秒で録画を開始する。ほとんどHDDレコーダ内蔵テレビと同じような操作感で、録画予約/録画が行なえる。

 しかし、DIGAの電源がOFFの時に[観ている番組を録画]を押すと、DIGAを起動して録画開始するまで50秒強かかるなど、完全にHDD内蔵テレビと同じというわけにはいかない。それでも単純に録画予約をする分にはDIGAの存在を意識することはない。

 なお、録画モードはデジタル放送をそのまま記録するDRモードのみ。VIERAから録画する場合はその他のモードは選択できない。

 予約画面では録画を行なわない視聴予約にも対応。さらに、おすすめ番組機能も備えており、番組選択時に今後薦めて欲しいか聞いてくるので、ここで[はい]にすると好みを学習してくれる。また、EPG情報を検索して同タイトルの番組を毎回録画予約する機能など、細かい点だが録画予約機能もブラッシュアップされている。


■ 基本操作のほぼ全てがVIERA Linkから可能

DIGAの操作一覧

 録画した番組の視聴にはDIGAの操作を行なう必要がある。DIGAの再生操作のためには、VIERAのリモコンの操作一覧を押して操作メニューを立ち上げる。ここで、[ディーガを操作する]を選ぶと、DIGAの電源がOFFの場合は、自動的に電源がONになる。DIGAを起動すると、操作一覧が現れ、HDDモードの場合、[再生する]、[予約する]、[消去する]、[ダビングする]、[その他の機能へ]とそれぞれの操作が行なえる。

 操作一覧が現れる際には、VIERAの入力が自動的にHDMIに切り替わる。このようにテレビ表示からHDMI入力へ、ユーザーに意識させることなくシームレスに移行できるという点が、VIERA Linkの最大のポイントと言える。

 DIGA側のメディアを選択するために、サブメニューボタンを押して、HDD/DVD/SDの各メディアを選択。録画/再生を中心に利用するのであれば、HDDモードを中心に利用した方がいいだろう。


サブメニューから操作ドライブを選択

 操作一覧の[再生する]を選択すると[再生ナビ]画面となる。ここでは、デジタル放送録画番組[ビデオ(DR)]と、その他の[ビデオ]、[写真]の各検索メニューが用意される。録画した番組は日付順のほか、番組名やチャンネルごとのソートも可能となっている。

 ここで任意の番組を選択するだけで再生開始する。DIGA操作時には、サブメニューから[再生操作パネル]を起動。パネルの案内に沿って、左右を押すと早送り/戻し、上下で一時停止/停止、中央で再生という基本的な操作が可能。

 もちろんこれらの操作はVIERAのリモコンから行なうので、DIGAを使っているという印象はほとんどない。DIGA用のリモコンで備えている[30秒スキップ]などの特殊再生機能はないので、完全に同じ操作ができるわけではないが、レスポンスなどに不満は全く感じない。


再生ナビで番組を選択 再生操作パネル

DMR-EX550のリモコン。ダイアル式のコントローラを備えており、スキップ操作などはVIERA Linkより使いやすい

 また、再生ナビから番組を選択、サブメニューを立ち上げると、部分消去や番組分割などの各種編集などが行なえる。

 ただし、純粋に編集を行なう場合、今回の組み合わせではDIGA側のリモコンを使ったほうが、使いやすかった。というのも「DMR-EX550」のリモコンは、メインの十字キー部分が回転するため、IN点/OUT点などの編集点のスクロールが容易で速度調節もできる。一方のVIERAのリモコンでは、編集点の選択時に十字キーの左右を押し続けなければいけないので、うまく操作できない。こうした細かい点ではDIGAのリモコンを使ったほうがいい場合もある。


再生ナビから部分消去や番組消去が可能 部分消去の編集画面

VIERA LinkからDVD-RAMへのムーブ操作も行なえる

 また、DVDへのムーブにも対応する。ただし、DIGAのメディアをHDDとしていた場合、DVD-RAMのフォーマットができない。そのため、一度DVDモードに切り替えてフォーマットを行なう必要がある。DVDモードでも選択した番組の編集やムーブが可能なので、DVDへの書き出しを想定するならばDVDモードで作業した方がいいだろう。

 DVDへのムーブ時に気を付けたい点は、VIERAから録画予約した番組については再エンコードを伴う等速ムーブとなること。というのもVIERA Link経由で録画予約する際には、デジタル放送をそのまま記録する「DRモード」以外の録画モードを選択できないためだ。DIGA側ではあらかじめSD変換して録画できるので、記録容量が足りない時などはDIGAを直接操作したほうがいいかもしれない。


VIERA LinkからDVD-RAMへのムーブ操作も行なえる

 HDMIを活かしたVIERA Linkだが、今回の使用した両製品では1080pの入出力にも対応する。Blu-ray Disc陣営がHD DVDへの対抗上、キーワード展開して以来、なにかと議論を呼びがちな「1080p」。中には1080/24pまでの対応で、1080pと言っている製品もあるようだが、VIERA(TH-50PX600)は1080/60p入力、DIGA(DMR-EX550)は1080/60p出力に対応している。

 初期設定画面の[HDMI出力解像度設定]で、オートのほか、480i/p、720p、1080i/pの各項目を選択可能。DVDやデジタル放送録画映像で、1080iと1080pの比較視聴も可能となっている。簡単に視聴してみたところ、目に見えて画質が違うということはないが、それでも最上位フォーマットのサポートは嬉しいところだ。


■ VIERA Linkへの期待と不安

 最初に「VIERAのリモコンしか使わない」と決めてしまえば、VIERA Linkは現状でもかなりわかりやすい仕組みになっている。デジタル放送番組のTS録画を行なう、タイムシフト視聴をメインにVIERA/DIGAを利用する、というのであれば、完成度は高い。第1弾製品とは思えない程だ。

 ただし、DIGAのリモコンを活用しだすと、どちらのリモコンで何をやっているのか、よく分からなくなってしまうことも。VIERA Linkでは、VIERAのテレビ画面とDIGA用のHDMI出力をシームレスに切り替えてしまうので、入力切替の考えが染みついた人だと、慣れるまで戸惑うかもしれない。

 逆にデジタル家電の操作になれていない人にとっては、この「入力切替」が、機器操作の理解を阻む要因という意見も多い。VIERA Linkはこうした障害を取り除くためのパナソニックならではの取り組みといえるだろう。また、製品発表会では、松下の様々な機器に対応させていく方針を明らかにしており、今後の展開や機能拡張にも期待したい。使い勝手向上策として非常にユニークな提案だが、気になるのは他社製品との接続性だろう。

 今回のVIERA Linkは、HDMI Ver.1.2aでテスト用の規格などの要件が定められた、CECのコマンドを拡張したものという。電源のON/OFFなどのごく基本的な操作は他社製品でも対応できる可能性は高いが、複雑な操作は難しそうだ。製品発表会では、「あくまでストレスフリーを目指した結果で、自社製品のみによる囲い込みを目指したものではない」と説明されたが、DIGAとVIERAの連携がここまでしっかりできてしまうと、結果的にVIERA/DIGAの組み合わせのみで利用できる差別化機能という位置づけになるかもしれない。

 VIERA Linkでは高い可能性を感じさせるだけに、できれば同様の操作感を他社製品でも利用できるようにして欲しい。しかし、インターフェイスの作り込みは各メーカーのノウハウが最もユーザーに見える形で現れる場所。そうした意味でも異なるメーカー間の相互接続は難しいのかもしれない。逆に言えば、他のテレビ/レコーダメーカーにも、VIERA Linkの使い勝手を脅かすような、強力な差別化機能の搭載を期待したいところだ。

□松下電器のホームページ
http://panasonic.co.jp/
□ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn060308-9/jn060308-9.html?ref=news
□VIERAのホームページ
http://viera.jp/index.html
□DIGAのホームページ
http://diga.jp/index.html
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-「美画質コンバータ」搭載。1080p出力対応モデルも
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060308/pana4.htm

( 2006年4月13日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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