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国内ケーブルテレビ業界で最大規模の展示会「ケーブルテレビ 2006」が、東京ビッグサイトで開幕した。期間は6月14日から16日まで。主催は社団法人日本ケーブルテレビ連盟と社団法人日本CATV技術協会。入場は無料だが、会場での登録が必要。 今年のテーマは「メディアが変わる ケーブルテレビが変える」。STBのトレンドはHDDを搭載したモデル。また、地上デジタル放送の再送信を行なっているケーブルテレビ局をターゲットに、自主制作チャンネルをスタートさせるための番組制作ソリューションの提案などが目立っている。 会場はCATV関連業者向けの展示が中心の「ハードウェアゾーン」と、コンテンツ関連のユーザー体験コーナーなどの「サプライヤーゾーン」から構成される。
■ 松下電器 松下電器のブースでは、250GB HDDを内蔵し、HD映像を録画できるSTB「TZ-DCH2000」をメインに展示している。5月の発売以降、イッツコムやYOUテレビ、横浜ケーブルビジョン、横浜テレビ局が「HitPot」として同モデルを採用するなど、採用実績を伸ばしており「予定よりも大幅に多いペースで生産している。CATV関連企業からの新しいオファーも多い」(松下)という。 全放送64QAM方式に対応し、地上デジタル放送のトランスモジュレーション方式での受信に対応。ダブルチューナを搭載しており、2番組同時録画が可能。内蔵HDDと外部接続したDVDレコーダーへの同時録画が行なえるのも特徴で、コピーワンス放送をコピーせずに2つ同時に録画できる。
さらに、BMLを使ったデータ放送を利用し、CATV局向けに独自のデータ放送が行なえるシステムを提案。CATV局から契約ユーザー宅へ地域情報などを送信するほか、参考展示としてデータ放送でライブカメラの画像をリアルタイムに表示する技術も紹介。 定点カメラの映像などを使用すれば、コミュニティチャンネルの付加サービスなどに利用でき、渋滞情報の監視、河川や学校、幼稚園などの監視にも応用できるという。家庭内LANを介しての映像表示にも対応できるため、コンシューマ向けに「玄関の映像をテレビのデータ放送画面で確認する」などのシステムにも利用できるという。 さらに、BMLはVOD(ビデオ・オン・デマンド)にも活用可能。ひまわりネットワークでの導入事例を紹介しながら、具体的なシステム提案を行なっている。
ほかにも地上デジタル放送の再送信を行なう際、空いたチャンネルを利用したCATV局独自の、自主制作番組(チャンネル)も提案。HDでの番組制作を前提に、DVCPRO HDカムコーダの新モデル「AJ-HDX900」を展示。PCカードサイズのストレージメディア「P2」を使ったHDカムやモバイルレコーダなどを参考展示している。
■ 伊藤忠ケーブルシステム 伊藤忠ケーブルシステムのブースでも、HUMAXの250GB HDD搭載STB「JC-5000」を展示している。JC-5000は、ジュピターテレコム(J:COM)が、国内初のHDD搭載STB採用のデジタル放送サービスとして、4月からスタートさせた「HDR」で使用されている。 デジタルダブルチューナを内蔵し、2番組同時録画が可能。i.LINKを2系統備え、録画した番組を「Rec-Pot」やD-VHSなどへムーブ可能。VODにも対応する。映像出力端子はD4、S2映像、コンポジットを用意。光デジタル音声出力も備えている。 住商情報システムのブースでは、この「JC-5000」の機能強化モデル「JC-5500」を参考展示している。OFDM対応デジタルチューナとトランスモジュレーション対応のチューナを各2基搭載しているのが特徴で、J:COM以外のトランスモジュレーション式を採用しているCATV事業者など、より幅広い放送局に対応できるのが特徴。さらに、JC-5000にはないHDMI端子も備えている。発売は年内を予定している。
また、STBとの連携提案として、同じくHUMAX製のHDD内蔵ポータブルビデオプレーヤー「HDR-20」を紹介。既発売の商品で、価格は49,800円。1.8インチの20GB HDDを内蔵し、4インチ(480×272ドット)のワイド液晶も装備。MPEG-1/2, DivX、Xvid、MPEG-4 SP、WMV9の動画や、MP3、WMA、WAV、OGG形式の音楽も再生可能。 MPEG-4のエンコード機能を備えており、STBの映像/音声出力と接続して内蔵HDDに番組を録画。通勤中の視聴などを想定しているという。入力を検知して自動的に録画を開始/終了する連動機能を搭載。外形寸法は73×139×19mm(縦×横×厚さ)。重量は約270g。
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■ そのほかのSTB モトローラのブースでは、IPベースのSTB新モデル「VIP1216J」を展示。HD解像度のMPEG-4 AVC(H.264)とWMV9(VC-1)、MPEG-2のデコードに対応。HDMI端子も備えている。 伊藤忠ケーブルシステムのブースでも、HD対応のIPベースSTBとして、Scientific Atlantaの「IP-330HD」を参考展示。MPEG-2、MPEG-4 AVC(H.264)、WMV9(VC-1)のデコードが可能で、HDCP対応のHDMI端子を搭載する。 ハードウェアとしてはほぼ完成しているが、「導入するCATV事業者のサービスに合わせたミドルウェアの開発が必要」とのこと。デコード映像にノイズが混じることもあり「今後も開発を進めつつ、CATV事業者への提案を行ない、年内には市場に出したい」という。
パイオニアのブースでは、新EPGやHDMI端子を備えたデジタル放送対応STB「BD-V370」など、STBシリーズを採用実績と合わせて展示。ラインナップの豊富さをアピールしている。
さらに、6月上旬から販売を開始した50型のフルHDプラズマモニター「PDP-5000EX」も展示。価格は1,050,000円。プラズマテレビ「ピュアビジョン」シリーズの高画質技術を投入しており、 「新フルHD P.U.R.E. Black Panel」を採用している。 また、同じく50型のPDPモニター「PDP-504CMX」に組み込んで参考展示していたのは、IPベースのVODサービスに対応するための拡張ボード。小型ボードでPDP-504CMXの背面に内蔵可能。Ethernetを備え、MPEG-4 AVC(H.264)とWMVのデコードに対応。HDMIや光デジタル音声出力も備えている。「IPを使ったVODに対応したプラズマテレビとしてデモを行なっているが、業務用に使うのか、コンシューマ用のテレビとして今後開発するのかなど、具体的な方向性はまだ決まっていない」という。
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■ そのほか 日本アンテナのブースでは、薄型で棒状の地上デジタル対応アンテナを参考出展している。独自の技術により薄型でも高利得を実現したというモデルで、壁に直接固定して使用。アンテナ架台は不要。アパートやマンションの外観を損ねないほか、上面の面積が小さいため、雪がつもりにくいなどの利点もあるという。外形寸法は240×60×610mm(幅×奥行き×高さ)。 動作利得は7.7~9.2dB以上。インピーダンスは75Ω。半値幅は70~84、前後比は13dB以上。数値はいずれも参考値。
古河電気工業のブースでは、ワンセグとフルセグ(12セグ)の両方に対応したギャップフィラー装置を紹介している。ギャップフィラーとは、トンネルや地下道など、電波の届かない場所で放送を受信するための再送信装置。
新商品は光ファイバーと無線技術を組み合わせたもので、放送を光ファイバーで各OFDM光受信器へ送信、そこからOFDM送信アンテナに接続し、無線送信する。広範囲をカヴァーするためには送信アンテナを利用するが、限定エリア向けの再送信にはOFDM光受信器とLCX(漏洩同軸ケーブル)を組み合わせるなど、再送信エリアに合ったシステムが構築できる、トータルソリューションとして各製品を取り揃えている。 また、CATVのネットワークを使ってデータ通信を行なうための標準規格(DOCSIS/ドクシス:Data Over Cable Service Interface Specifications)のインターフェイスを複数用意し、それらを同時に使って通信速度を高速化させる「チャネルボンディング」対応機器も展示されている。
シスコシステムズでは、「Cisco Widebandテクノロジー」と名付け、最大24DSポートを束ねて960Mbpsの通信が実現できるという。2006年10月の発売を予定しており、ケーブルモデムとして最初にリリースを予定しているモデル「WCM 300」では最大8波を同時受信して320Mbpsを実現できるという。デモでは4波を使った160Mbps程度の通信を行なっており、18MbpsのHD映像を複数同時に伝送。前述のHD対応IP STB「IP-330HD」を利用してデコードしていた。
□ケーブルテレビ 2006のホームページ
(2006年6月14日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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