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9月1日から「スカパー! パーフェクトチョイス160」のPPVにて先行オンエアされているアニメ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」。その上映イベント「攻殻機動隊 S.A.C. オールナイト~公安9課24時」が9月9日に東京・テアトル新宿にて行なわれた。 「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」(以下SSS)は、テレビアニメシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の続編として製作された約108分の長編。9月1日から「スカパー! パーフェクトチョイス160」のPPVにて先行オンエアされているが、視聴環境の無いファンは、バンダイビジュアルが11月24日にリリースするDVD版(10,290円/BCBA-2606)を待つしかないという状態だった。 そこで、Solid State Societyを含め、テレビシリーズの中から厳選したエピソードも同時に劇場で上映。スタッフによるトークショーも行なうというオールナイトイベントが行なわれることになった。24時に開演し、翌朝まで行なわれたハードなスケジュールだが、DVD発売前に本編が観賞できるというだけでなく、HDマスターを使った大画面、5.1chサラウンドでの上映ということで、画質/音質の面でも注目のイベントとなった。
上映前の舞台挨拶では、監督・脚本の神山健治氏、総作画監督・キャラクターデザインの後藤隆幸氏、脚本の菅正太郎氏、櫻井圭記氏、3D監督の遠藤誠氏、撮影監督の田中宏侍氏が登壇。さらに、飛び入りのサプライズ・ゲストとして、バトー役の大塚明夫さんも登場。集まった観客から歓声が巻き起こった。
総作画監督とキャラクターデザインを担当した後藤氏は、劇場で上映されることについて「テレビサイズを前提に作っているので、大きなスクリーンで見られるのは恥ずかしい」と笑う。また、長編ならではの苦労については「作業開始から何カ月も経つと、慣れや、その時々のテンションなどで、描いた絵が変化していってしまう。それを一定に保つよう注意した。長編だからといってテレビシリーズと絵柄は変えていないので、これまでと同じ気持ちで楽しんでください」と語った。 3D監督の遠藤氏は「新作では3Dのシーンが多く、だいたい半分くらいは3DCGが登場しています。その量を時間内に作り上げることが大変だった。これまでと同様に、2Dと3Dの融合にこだわっているので、その点にも注目してください」と見所を紹介。
脚本の菅氏はテレビシリーズと長編の違いについて、「長いテレビシリーズだからこそ描けた内容や、実現できたテンションもある。だが、今回のSSSでもこれまでのシリーズに負けないテンションを実現するために、今までにないアプローチを行なった」と説明。 同じく脚本担当の櫻井氏も「今回、CMが無い長編を作ってみて、テレビシリーズではCMが入ることで物語にアクセントが生まれていたんだという事を実感した」と語る。見所については「まだ新作にタチコマが出てくるかどうかはわからないので、そこらへんを気にして観てください」と笑った。
ちななみに、櫻井氏の手には京都大学ベンチャー・ロボガレージの高橋智隆氏が手掛けたタチコマ・ロボが。残念ながら動く姿を見ることはできなかったが、櫻井氏の「皆さんからの、“何かして欲しいな”という視線を感じるのですが、今日は持つ役ということで」という言葉に場内は爆笑に包まれた。
撮影監督の田中氏は、劇場での上映について「今までのテレビ放送やDVDでは、観る人の視聴環境がそれぞれ違うので、こちら側が意図した映像で観てもらうことが難しかった。今回の上映では事前に画質面もチェックしているので、普段はつぶれやすい暗部の表現に注目して欲しい。作品の中の雰囲気も、より伝わると期待している」とクオリティ面の見所を語った。 「家が近所なので、遊びに来ました」と言いながら登場したのは、バトー役の声優・大塚さん。「1枚、1枚描くのが本当に大変でした。飛び入りなのでギャラは発生していません」など、爆笑コメントの連発で会場を大いに盛り上げた。
バトーを演じるのは約2年ぶりとのことだが、「普通はどんな風に演じていたのか忘れちゃうんだけど、バトーはスッと入れる。切っても切れない関係」とのこと。新作についても「いつも通り面白いので、安心して観てください」とアピールした。
最後に神山監督は、今回のイベントに関して「制作中は、劇場で公開することは想定していなかった。今日は奇跡的に実現したイベント。スタッフにも、来てくれた皆さんにも非常に感謝しています」と喜びを語る。
SSSについては「52本のテレビシリーズを作ってきましたが、映画を作ったことがない僕らに2時間近い一本の作品が作れるのかという“長尺への挑戦”がミソだった。SSSはテレビシリーズを終えた僕らに、上から与えられた1つのプレゼントだと感じている。僕らが108分をどう料理したのか、その目撃者になって欲しい」と話した。
■ DVDで何度も視聴したい新作
劇場での上映は映像もさることながら、やはり一般家庭では難しい大音量が魅力。緊迫したアクションシーンの迫力も存分に楽しむことができた。 物語は草薙素子が去って2年が経過した公安9課からスタート。新米だったトグサが組織を率いる立場になっており、メンバーも大幅に増員されている。そんな新生公安9課の前に現れるのは、「傀儡廻(くぐつまわし)」と呼ばれる凄腕のハッカー。神山監督が「観客の皆さんの頭に挑戦するつもりで作っている」と語るだけあり、謎が謎を呼ぶスリリングな展開が特徴だ。
また、草薙がいなくなってしまったことで覇気を失ってしまったバトーなど、草薙とバトーの関係と、その行く末にも注目。サブキャラクターではスナイパーであるサイトーの手に汗握る狙撃シーンも必見だ。一度観ただけで全てを把握するのは難しいので、DVDで何度も視聴したい作品と言えるだろう。
□テアトル新宿のホームページ
(2006年9月12日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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