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マイクロソフト株式会社は9日、Xbox 360のシステムアップデータを公開した。 「春のシステムアップデート」と銘打った大規模アップデートで、Windows Liveメッセンジャー対応やダウンロード用の低消費電力駆動モードなどの機能追加が図られている。 AV機能についても、新たにMPEG-4 AVC(H.264)の再生に対応。15Mbpsまでのファイル再生が可能となるなどの改善が図られた。強化されたXbox 360のAV機能を検証した。 ■ PS3用の1080p H.264ファイルの多くが再生可能に AV機能で最大の強化点といえるのが、H.264対応。本体HDDのほか、接続したUSBメモリやHDD、ネットワーク上のPCなどのH.264ファイルの再生が可能となった。 ビットレートは最大15Mbpsで、プロファイルもBaseline、Main、High profileをサポート。Blu-rayやHD DVDでは15Mbpsを超えるファイルも存在するが、大抵のH.264コンテンツに対応できそうだ。
まずは、PLAYSTATION NetworkやP-TVで配信しているフルHD/1,920×1,080ドットのファイルをUSBメモリにコピーして、Xbox 360から再生を試みた。「スパイダーマン 3」や「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」の予告編、山崎真実やミスマガジンのグラビアなどの1080pコンテンツの多くが再生可能で、スキップ機能などの特殊再生機能も利用できた。 ただし、PS3用に米国で配信された「Black Hawk Down(BHD)」は再生できなかった。BHDのビットレートをPS3の情報表示機能で確認すると、平均10Mbps以下ながら、瞬間的に30Mbps弱まで跳ね上がることがある。おそらく、ピークビットレートが高すぎるために対応できないということだろう。 スパイダーマン3など、他のコンテンツでも瞬間的に15Mbpsを若干超える時があるが、20Mbpsに届くことは無いので、再生できるようだ。Xbox 360用コンテンツを用意する場合は、15Mbpsという制限をしっかり意識したほうがいいだろう。また、転送速度が遅いUSBメモリ利用時では、他のメモリで問題なく再生できたコンテンツでもコマ落ちが発生することがあった。このあたりも注意点といえそうだ。 なお、松下電器のAVCHDビデオカメラ「HDC-SD3」で撮影したAVCHDファイル(m2ts)については、Xbox 360から認識できず、拡張子を.mp4に変更しても再生できなかった。バッファロー「PC-MV9H/U2」で録画したSD解像度のH.264ファイル(Baseline Profile)や、PSP用のH.264ファイルをテストしたところ、問題なく再生できた。また、MPEG-4も8MbpsまでのSimple Profileに対応。PSP用のMPEG-4ファイル(.mp4)などが再生できた。 ■ 「里山」HD DVDのノイズは未解決
また、Xbox 360のH.264対応で気になる点が、Xbox 360 HD DVDプレイヤー利用時のH.264のデコードについて。というのも、ポニーキャニオンが発売しているHD DVDタイトル「映像詩 里山 命めぐる水辺」など、一部のH.264採用作品で再生時にノイズが発生するなどの問題が発生していたためだ。 「里山」については、「マイクロソフトがXbox 360 HD DVD プレイヤーに対するアップデートプログラムを配布して対応する」と予告されていたため、期待していたのだが、残念ながらノイズは完全には解消されていなかった。 不具合は「緑色の大きなブロック状のノイズが発生してしまう」、というもので、アップデータの適用前よりは改善されたようにも感じるが、それでもかなりの量のノイズが確認できる。今後、早急にアップデートが行なわれることを期待したい。
【2006年12月22日】HD DVD「里山」がXbox 360 HD DVDで再生できない問題 -Xbox 360のアップデートで対応 http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061222/pony.htm ■ スキップ機能強化。うれしいフォルダ表示対応
そのほか、ビデオ再生機能も強化された。新たに早送りスキップ、巻き戻しスキップ機能が、次のチャプタへのスキップ/バックに割り当てられた。また、ビデオファイルの場合は、自動的に10個のチャプタを設定し、チャプタスキップ/バックとして活用できる。 再生中のビデオの現在位置を示すプログレスバーも表示可能となり、設定されたチャプタもバー上で確認できるようになった。 さらに、動画再生時のアスペクト比切り替えも可能で、「自動」のほか、レターボックス/ズーム/全画面表示(引き伸ばし)/実際の解像度(ソース解像度)の各モードがなどが選択可能。さらに、アスペクト比や最後に視聴したポイントの情報は各動画ごとに記録されるようになるなど、細かな使い勝手が向上している。
USBメモリ/HDDやPC上のビデオコンテンツの表示モードとして、フォルダ表示モードも搭載。検索性が大幅に向上しているのも、うれしい改善だ。Windows Media DRMで保護されたPC上のコンテンツをネットワークを介してXbox 360から再生可能する際のレジューム対応なども図られている。 なお、Liveメッセンジャー対応やマーケットプレイスの強化などの詳細については僚誌GAME Watchを参照されたい。 H.264対応を始めとし、大幅な強化が図られたXbox 360。ゲームだけでなく、AVプラットフォームとしても進化を続けていることが確認できる。ただし、HD DVDのH.264デコード強化などの問題も残っており、さらなるアップデートに期待したい。 □マイクロソフトのホームページ ( 2007年5月9日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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