2018年12月18日 07:50
筆者は自宅で原稿を書くときはMac mini(2014)、外出先ではMacBook Pro(2016)という体勢で仕事をしてきた。だがmacOS Mojaveにアップデートしてからというもの、Mac miniのレスポンスが大幅に下がり、原稿を書くにも支障が出る遅さとなってしまった。具体的には、日本語変換が遅い。ATOKでも標準の日本語変換でも同様である。他のタスクはそこそこ使えるだけにもったいないと思い、クリーンインストールなどしてみたが、状況は変わらない。
4年前のエントリー機なので仕方がないと機材更新も考えたが、今年発売のMac miniは、ビジネスでそこそこ満足のスペックまでカスタマイズしていくと、割といいお値段になる。まあちょっと様子を見るか、ということで、普段はカバンの中に入れっぱなしのMacBook Proを、自宅原稿書き用マシンと兼用にすることとなった。
ストレージ容量は256GBだが、モバイルだからそれで済んでいたわけで、メインマシンともなると参照したいファイルが多く、これでは心もとない。Mac miniには数TBのHDDを繋いで仕事をこなしてきたのだが、ノートにズラズラと外付けHDDを繋いでおくと、持ち出す時に面倒だ。macOSは、外付けストレージを簡単に抜き差しできるようになっていない。
しばらくはDropboxの同期フォルダを増やしたり減らしたりして調整してきたが、いつもストレージ容量を気にしながら仕事するのも精神衛生上よろしくないので、どうにか手段を考えることにした。
ファイルをクラウドに追い払う
手っ取り早いのは、クラウドに預けて仮想ファイル化してしまうことだ。AppleのiCloud Driveは、ローカルのファイルをクラウドにアップすることで、ストレージ容量を節約することができる。ただしこれができるフォルダはデスクトップか「書類」フォルダに限られる。
元々デスクトップを散らかすのが嫌いな性分なのに加え、「書類」フォルダはインストールしたアプリが勝手にフォルダを作っていくので、自分自身で管理するのには向いていない。価格的には2TBで1,300円と妥当な線なのだが、ここには家族分のiOSのバックアップやiPhoneで撮った写真などが大量にアップされてくるので、やがて容量の取り合いになるだろう。またWindowsマシンと同期したいときに不便でもある。
そう考えると、いつも使っているDropboxで同様の機能を使うのが手っ取り早い。個人向け有料プランには「Plus」と「Professional」があるが、現在利用しているPlusプランには、こうした仮想同期システムがない。一方Professionalにはある。価格は2倍の月額$16.58(年払い)だが、思い切って契約することにした。
プラン移行すると、Dropboxの設定に「スマートシンク」という項目ができる。スマートシンクは、ローカルにファイルがあるように見えるが、実態はクラウドにしかないという同期方法だ。写真はサムネイル情報だけは残るので、中身のブラウジングには問題ない。
新しくファイルが作られた場合、この仮想ファイルにするか、実ファイルを残したままでこれまで通りDropboxと同期するのかの挙動を選択できる。すでに存在するファイルやフォルダに対しては、ファイルを右クリックするとスマートシンクの設定ができる。
参照はするが、ネットがあるところでしか開かないようなファイルは、スマートシンク化しておけばよい。ただし中国出張は要注意だ。ネットは繋がっても、Dropboxに繋がらないネットワークが結構あるからだ。
しかしこの機能により、ローカルで探せるファイルやフォルダはデスクトップ機と遜色ない状態で、実ファイル容量はうまく削減できた。特に写真データは、容量削減効果が大きい。
これからパソコン仕事は、ネットに繋がらない場所で作業するようなことは少なくなるだろう。スマホの新しい通信プランは、2年前に比べて使える「ギガ数」が4倍程度に増えたはずだ。
ネットさえあればあまりローカルのストレージ容量を気にしなくていいというのは、Chromebookと同じ考え方である。だがあれは、感覚的にタイミングが早すぎた。未来に行き過ぎたのだ。
今がちょうどあのコンセプトの良さが理解できるタイミングになった、ということである。
小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」
本稿はメールマガジン「小寺・西田の『金曜ランチビュッフェ』」からの転載です。
コラムニスト小寺信良と、ジャーナリスト西田宗千佳がお送りする、業界俯瞰型メールマガジン。
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2018年12月14日 Vol.201 <年末だけど心機一転号>
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