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エソテリック、独自伝送や専用MOSFET、AK4497初搭載など「Grandioso」のSACD/プリメイン

 エソテリックは、ハイエンド「Grandioso」シリーズのSACDプレーヤー「Grandioso K1」と、プリメインアンプ「Grandioso F1」を10月10日に発売する。価格はどちらも200万円。

SACDプレーヤー「Grandioso K1」

SACDプレーヤー「Grandioso K1」

 DAC部に、旭化成エレクトロニクスの「AK4497」を世界初搭載。新日本無線のハイエンドオペアンプ「MUSES 03」を組み合せており、チャンネルあたり差動8回路のパラレル/ディファレンシャル回路構成で、「圧倒的なリニアリティと低歪み化を実現した」という。

 DAC部向けには、電源トランスも左右独立させ、チャンネルごとに8つの電源レギュレーターを各回路の直近に配置。クリーンで安定性の高い電源供給能力を獲得したという。デジタル回路とアナログ回路のアイソレーションも徹底している。

 32bit DACデバイスを複数個組み合わせ、35bitの高解像度でPCM信号をアナログ信号へ変換する「35bit D/Aプロセッシング・アルゴリズム」も採用。24bitの2,048倍という高解像度で処理する事で、ハイビットデータの階調を活かし、演算誤差を最小にとどめ、忠実なアナログ変換ができるという。

 デジタル入力として、USB、同軸デジタル、光デジタルも各1系統用意。USB DACとしても動作する。USB接続時は、PCM 384kHz/32bit、DSD 11.2MHzまでサポート。アシンクロナス伝送に対応し、DSDはネイティブ再生が可能。光と同軸デジタル入力は192kHz/24bitまでのPCMと、DSD 2.8MHzまでのDoP入力に対応する。

 クロック回路には、NDKと共同開発したGrandiosoカスタムVCXO(電圧制御型水晶発振器)を採用。大型の水晶片を内蔵し、低位相雑音が極めて少なく、「最高峰モデルに相応しい優れた中心精度(±0.5ppm)を誇り、特別に選別したデバイスのみを使っている」という。BNCの外部クロック入力も備えている。

 ドライブメカは、ディスク回転にターンテーブルを使用し、面振れをメカニカルに補正して読み取り精度を向上させる「VRDS-NEO VMK-3.5-20S」を採用。スピンドルの軸受けに、選別した高精度ボールベアリングをペアで採用。

 ミクロン精度のジュラルミン・ターンテーブル、20mm厚スチール製ターンテーブル用ブリッジも搭載。メカユニット単体で5.2kg、リジッドベースも含めると12kgを実現。高磁束密度型マグネット駆動のコアレス3相ブラシレス・スピンドルモーター、「P-0」の思想を発展させたスレッド送り制御、レーザー光が常にディスクに垂直に照射される軸摺動型ピックアップなどのメカニズムにも磨きをかけた。

 ラインドライバーとしての極限の性能を追求。電流出力能力が高く、応答速度を表すスルーレートが2,000V/μsの高性能素子を採用。このバッファ回路をチャンネルあたり2回路搭載。XLR出力の場合はディファレンシャル(差動)、RCA出力の場合はパラレル(並列)駆動させて、瞬間的な電流供給能力を高めている。バッファ回路の安定化電源としては、EDLC、スーパーキャパシターアレイを採用。チャンネルあたり合計125,000μFの容量を備えている。

 通常のXLR×1、RCA×1の出力端子に加え、ES-LINK Analogを新たに採用。ハイスピードで強力な電流供給能力を誇るHCLDバッファ回路の高性能を生かした電流伝送方式により、信号経路のインピーダンスの影響を受けにくく、信号をピュアに力強く伝送できるという。対応機器と接続する事で、「システムのポテンシャルを最大限に発揮するアナログオーディオ伝送の理想的な方式」としている。この入力には、後述するプリメインアンプ「Grandioso F1」が対応。なお、ES-LINK AnalogはXLRとの切り替え使用となる。

 筐体内で、ドライブ部はセンターに配置。5mm厚のスチール製ボトムシャーシに固定して、独自のピンポイントフットで4点支持。回転メカニズムの振動を効果的に抑制した。シャーシ内部はダブルデッキ(2階建て)構造で、主にオーディオ基板を上層、電源回路やトランス類を下層に配置。磁束漏れや振動などの影響を防ぎ、電源供給の配線を最短化している。外形寸法は445×448×162mm(幅×奥行き×高さ)。

プリメインアンプ「Grandioso F1」

 出力30W×2ch(8Ω)、60W×2ch(4Ω)のプリメインアンプ。音質の優れたディスクリートパーツは年々入手が困難になっているが、エソテリックでは新日本無線とコラボし、厳しい音質基準と性能を満たすという自社専用MOSFETデバイスを約2年かけて開発。「ESOTERIC MODEL200」として完成させ、F1に投入している。

プリメインアンプ「Grandioso F1」

 次世代のパワーデバイスと評価されるハイテク素材「シリコンカーバイド」(SiC)を使った、パワーアンプ出力段専用MOSFETで、一般的なシリコンデバイスと比較して、低容量・低損失。瞬間最大150A、連続78Aという電流許容特性を備えている。「立ち上がりの早い大電流を自在に制御できるため、低域の駆動能力に優れ、力強い音楽再生を支える」という。トランジェントレスポンス(過渡応答特性)も大幅に改善。高域も付帯音が極めて少ないとする。

 この「ESOTERIC MODEL200」シリコンカーバイドMOSFETは、新規設計のパラレル・プッシュプルClass Aパワーアンプ回路に採用。パワーアンプの前段をバランス化。低インピーダンスでクリーンな増幅が可能という。

 プリ部もフルバランス構成。プリからパワー最終段までも、全段L/R独立のデュアルモノーラル構成を徹底。 「一体型アンプとしては、過去最大級の物量を投入した」という回路構成で、音質とチャンネルセパレーションを高めている。

 バランス構成とデュアルモノ、2つを高品位に両立させる独自の「ESOTERIC-QVCS」ボリュームコントロール方式を搭載。L/R、正/負ごとに独立させた合計4回路のラダー抵抗切替型ボリュームを電子制御で一括コントロール。信号のL/R、正/負の独立が保たれ、チャンネルセパレーションと位相特性に優れたクリアな音質を実現した。

 電源には、コアサイズ1,000VAの大型カスタム・トロイダル電源トランスを採用。「音の良いアンプはトランスが良い」という確固たる信念のもと、素材からコアサイズ、マウント方法に至るまで、エソテリックのノウハウを集結したカスタム仕様だという。

 ブロックコンデンサもチャンネルあたり10,000μF×4本のデュアルモノ構成。配線は極太ケーブルをボルトで接続し、低インピーダンス化を徹底。「一般的なセパレートパワーアンプさえ凌駕する贅沢な電源部」だという。

 筐体は、各回路ブロックを専用コンパートメント化し、立体配置する「3Dオプティマイズド・シャーシ」採用。各回路の相互干渉を抑え、最短経路で配線。肉厚アルミニウムによるシャーシ外装も採用。セパレートモデルと同一の設計を踏襲することで、一体型アンプでは異例のヘビーコンストラクションになった。外形寸法は445×470×191mm(幅×奥行き×高さ)。

 オプションボードを追加できるスロットも装備。DSD 11.2MHz、PCM 384kHz/32bit対応DACの「OP-DAC1」を搭載できる。

 入力端子として、ES-LINK Analog/XLR×1系統、RCA×3系統、Phono(MM/MC切替)専用RCA×1系統、XLR×2系統を装備。スピーカーターミナルは1系統。