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“8K大画面上映”が本格展開開始。映画館などへネット配信する共通基盤も

 現在のテレビ放送などハイビジョン映像の16倍となる、8Kスーパーハイビジョン(SHV)で、リオ オリンピックや大相撲などのコンテンツが楽しめる「大画面パブリックビューイングイベント」の本格展開が開始する。11月12日~15日には、九州のNHK大分放送局で開催され、そのうち大相撲は九州場所初日の13日から中継される。東京では「NHKみんなのひろば ふれあいホール」にて、11月25日~27日に実施する。いずれも入場無料だが、東京での上映イベントには申込みが必要。

8Kパブリックビューイングを東京や大分などで実施

 大分での上映はNHK大分放送局の「スタジオホールキャンバス」で行ない、300型スクリーンにプロジェクタで投写。22.2chの立体音響と合わせて楽しめる。時間は、12日が14時から、13~15日の3日間は10時から。入退場は自由にできるが、席数は約120席となる。

 コンテンツは、大相撲九州場所をライブで福岡から中継する「プログラムA」が120分で、13~15日の16時から開始。また、リオデジャネイロオリンピックのハイライト(11分)や、青森ねぶた祭(7分)、第66回 NHK紅白歌合戦(10分)などの「プログラムB」と、「小澤征爾のベートーベン『交響曲第2番』」(約40分)や「長岡花火」(3分)、「きゃりーぱみゅぱみゅ」(6分)などの「プログラムC」を用意。プログラムBとCは、期間中は交互に上映する。

 東京では、11月25日、26日、27日の3日間、NHKみんなの広場 ふれあいホール(渋谷区)で開催。大相撲九州場所のライブ中継を、27日の千秋楽まで行なうほか、「N響 巨匠ブロムシュテットのチャイコフスキー 交響曲第5番」(50分)や、「アンナ・ネトレプコ IN 東京~イタリア・オペラの夕べ」(100分)のコンテンツを用意。実施日によって上映時間は異なる。

 東京でのイベントには申込みが必要で、NHKのイベントページにて受け付ける。応募締切は11月10日午後11時59分。

 各イベントの時間などの詳細は、NHKのスーパーハイビジョンの特設サイトで案内されている。

これまでのパブリックビューイングイベント(スーパーボウル/NHKふれあいホール)
NHK杯フィギュア/仙台

'20年に向け、共通のネット配信基盤。公共施設などで8K視聴

 今回のパブリックビューイングは、NHKと映像配信高度化機構が共同で取り組むもので、政府による「2020年に向けた社会全体のICT化推進に関する懇談会」のアクションプランの一つ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックで4K/8Kパブリックビューイングを日本中で行なうため、全国各地の上映施設の普及支援を進める。

 映像配信高度化機構は、テレビ局や機器メーカーなど17社が参加して'16年5月に設立。今回のパブリックビューイングのように、4K/8Kなどの次世代コンテンツを観られる機会を増やすことを目的に、全国の施設へネット配信するための仕組みやフォーマット作りを進めている。将来的には、地域の公共施設などを含めた様々な場所で、有料または無料で多くの高精細なコンテンツが視聴できる環境づくりに取り組む。さらに、配信プラットフォームなどの仕組みそのものを輸出するといった、海外への展開も視野に入れているという。

映像配信高度化機構の事業ロードマップ

 国内の映画館や美術館、博物館、プラネタリウム、音楽ホールなどでは既に4Kや8Kの普及が始まっており、佐賀市「バルーンミュージアム」において、全国で2番目の8K専門シアターの「8Kスーパーハイビジョンシアター」が10月から稼働する(1番目は、福岡県太宰府市の九州国立博物館)など、全国で導入が進められているという。

 当初の目標は、2020年までに全国100カ所で4K/8K上映できる形を整えること。今回の会場である大分は、その1年前の2019年ラグビーワールドカップ(W杯)開催都市でもあり、W杯では、都市部に“ファンゾーン”として、大画面でパブリックビューイングが楽しめる設備を用意しなければならないことが決まっている。そのため、4K/8K上映のための本サービスを、前倒してW杯に本サービスを開始するという動きも始まっているという。

 具体的なコンテンツとしては、スポーツや、音楽、世界遺産/文化財、産業(医療/教育)などを想定。これらを「4K/8K映像音声の利活用プラットフォーム」によって、大型イベントホールや競技会場、ライブハウス、映画館、モール、音楽ホールなどへ、専用回線の利用などでストリーミング配信する方法などを検討。

映像配信サービスの利活用イメージ

 大分での上映以降も、パブリックビューイングは、全国で1カ月に1回のペースで実施予定で、これに合わせて上映設備の拡充を図る。パブリックビューイングのイベントは、新たな施設の導入を検討する地方自治体などに対して、実際の導入事例をプレゼンテーションする視察の場としても活用される。

 2020年のオリンピック終了後も、地方自治体などが持つ4K8K上映施設を有効活用し、美術館や博物館、科学館、水族館などに向けて配信する仕組みを計画。地域の人が手軽に利用できるようにするため、施設側にコストがかからないように、公衆回線などを使ったダウンロードで提供する方法を中心に検討する。