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デノン、最上位機のフリーエッジ・ドライバ採用で約6.5万円のヘッドフォン「AH-D5200」

 デノンは、ハイエンドモデル「AH-D7200」の技術をふんだんに取り入れながら、価格を抑えたヘッドフォン「AH-D5200」を4月上旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は65,000円前後。

ゼブラウッドを採用したヘッドフォン「AH-D5200」

 フラッグシップヘッドフォン「AH-D7200」(実売約10万円)の技術やパーツ、構造を取り入れ、「上位モデルに迫るハイパフォーマンスを備えながらも、振動板、マグネット、ヘッドバンド、付属ケーブルを見直すことにより価格を大幅に抑えることに成功した」という。

 ハウジングは密閉型。ユニットは50mm径のフリーエッジ・ドライバーを採用。AH-D7200にも採用されていた技術で、スピーカーのドライバーと同様に、振動板の外周に柔らかいエッジを備え、振動板全体を平行に動かすフリーエッジ構造により、振動板全域にわたる均一なピストンモーションを可能にした。

ユニットは50mm径のフリーエッジ・ドライバー

 振動板の素材は、ファイバーとパルプを混ぜたものだが、細かさや配合具合などはAH-D7200の振動板とは異なる。磁気回路にはネオジウム・マグネットを採用。インピーダンスは24Ω、感度は103dB/mW。最大入力は1,800mW。再生周波数帯域は5Hz~40kHz。

 ハウジングには、シマウマのような縞模様が特徴のゼブラウッドを採用。高い硬度が特徴で、「圧倒的な透明感とディテールの緻密な描写を可能にした」という。

シマウマのような縞模様が特徴のゼブラウッドをハウジングに使っている

 イヤーパッドには、一般的な人工皮革の約2倍の耐久性があるという人工皮革を独自開発。三次元縫製により、頭部のカーブにフィットし、圧力が均等にかかる理想的な形状に仕上げたという。側圧を最適化する形状記憶フォームと合わせ、「ストレスなく耳を包み込む装着感と気密性を実現した」とのこと。

 ハンガー部には軽量かつ堅牢なアルミダイキャストを採用。音響的なパフォーマンスを高めると同時に、デザイン面でも「美しい輝きが所有する満足感を高める」という。

 ケーブルは着脱式で、モノラルミニプラグの両出し。4N OFC(99.99%無酸素銅)を導体に採用。手触りが良く、強度にも優れる布巻きを施している。プラグ部は、削り出しのアルミスリーブ。ケーブルの長さは3m。ケーブルを省いた重量は385g。入力端子は3.5mmステレオミニで、6.3mm標準プラグアダプタやキャリングポーチも同梱する。

ケーブルは着脱式で、モノラルミニプラグの両出し

ファーストインプレッション

 AH-D7200を聴いた時は、非常にナチュラルな再生音と、レンジの広さ、そして過度ではなく、ほんのりと感じられるウッドハウジングの艶やかさに感動したが、AH-D5200はまた違った方向性のサウンドが楽しめる。

 レンジの広さ、色付けの少なさ、ナチュラルな再生音という面では、D7200譲りのクオリティをD5200も備えている。そして、ハウジングの木材により高い硬度のゼブラウッドを使った事で、全体的に音がシャープで、トランジェントの良いハイスピードなサウンドになっている。

 ウッドハウジングを使った製品なので「木の響き」や「ホッとする音」をイメージする人が多いと思うが、D5200はある意味、モニタースピーカーに近い色付けの少ないサウンドだ。ハイレゾ楽曲の情報量を、そのまま楽しみたいというニーズにもマッチするだろう。

 そして“だからといって、無味乾燥で、味気のないカサカサした音ではない”ところが、D5200の特徴だ。ともすると、女性ボーカルのサ行など、高域をキツく感じてしまうのではと心配になるほどシャープな音なのだが、実際にそうした楽曲を再生しても、キツくはならず、高域にほんの少し、艶やかさとホッとする穏やかさを感じる。これはウッドハウジングの効果だろう。モニターライクでありながら、リスニング用途にも使える、両方の面で非常に高い再生能力を備えたヘッドフォンだ。