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NHKが8K/240HzカメラやIP伝送装置を開発、NAB出展。8K/HDRの350型上映も
2018年3月30日 19:09
NHKは、8K/240Hz単板カメラや、8KスーパーハイビジョンをIP信号で有線伝送できる装置を開発。これらを含む最新の8K制作機材や8Kコンテンツを、米国ラスベガスで4月9日~12日に開催される放送機器展示会「NAB SHOW 2018」に展示する。
8K/240Hz単板カメラ、4倍速スローモーションシステム
8K映像を1秒間に240コマ撮影できる単板カメラを開発。スポーツなど動きの速い被写体を、動きぼやけの少ない映像で撮影できる。再生を4倍に伸ばすスローモーションシステムも開発。スポーツ番組などでの活用を見込む。
8K IP伝送装置で、高画質のまま低遅延伝送
8K番組の素材を大阪-東京間など長距離伝送する装置は、これまで40Gbpsの映像を数百Mbpsまで圧縮して伝送していたため、画質の劣化が大きく、圧縮・復号に数秒程度の処理時間が必要だったことなどから、生中継番組の制作には不向きとされていた。
新開発の伝送装置は、現在商用として普及している10GbpsのIP回線を利用することを想定し、8Kの映像を8Gbps程度(約1/5)に圧縮後、IP信号化して伝送。圧縮/復号にかかる処理時間は、1映像フレーム時間を大きく下回る、数十マイクロ秒と短く、中継現場の映像を高精細な画質を維持したまま、低遅延で伝送できるようになった。
IPによる伝送では、8K映像や音声、連絡信号などの異なる信号を1本のIP回線に束ねることが可能。また、信号を中継現場と放送局の双方向でやり取りでき、柔軟に8K番組を制作できる。この装置を用いて、音響調整のスタッフを現場に派遣せずに放送局内でリモートミキシングするなど、新しい制作スタイルも実現できるという。
350型シアターで8K/HDRコンテンツ上映
アメリカ国立公園の雄大な自然を、空撮を交えて撮影した「北米イエローストーン」や、世界有数のバレエ団ロシア・マリンスキーによる「くるみ割り人形」など、HDR(High Dynamic Range)で撮影した8Kの最新コンテンツを350型のシアターで上映する。
8K再生ディスプレイや22.2chスピーカーなど
ディスプレイサイズやスピーカー構成の異なる3種類の8K再生機器を展示。70型ディスプレイと2つのスピーカーシステムを、ソシオネクストの協力で展示。また、85型ディスプレイとラインアレイスピーカー(シャープと共同開発)、98型ディスプレイと22.2chスピーカーによる視聴スタイルを体験できる。
MMT配信でテレビとタブレットの映像を同期表示
IPと親和性が高く、8K試験放送にも採⽤されている配信技術MMT(MPEG Media Transport)を用いたマルチビューサービスを紹介。テレビの放送番組と同期した複数の映像を手元のタブレットで見られる。今後、ARやVRにも応用できるという。