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夢の“映画館付き住宅”150型4Kシアターのある暮らしを先行体験した
2018年10月19日 17:22
賃貸住宅の共用施設として本格的な映画館を導入したという、新しい“ソーシャルアパートメント”が誕生する。埼玉県和光市にある「FILMS(フィルムス)和光」で、10月20日のオープン直前に内部を先行体験。気になるシアタールームなどを見てきた。
“ソーシャルアパートメント”とは、従来型のワンルームマンションや、シェアハウスとは異なり、賃貸マンション内にデザイン性の高いキッチンやラウンジなどの共用スペースを備え、住人間の自発的なコミュニティ形成を促進させる“隣人交流型賃貸住宅”だという。
展開するグローバルエージェンツによれば「シェアハウスとの違いは、プライベート空間をしっかり確保しており、共用部分を通らなくても自分の部屋に帰れる。一般的な住宅と、シェアハウスのいいとこどり」とのこと。これまでの例でも、楽器を演奏できる部屋や、フィットネスができる部屋など、様々な個性のある住宅として展開している。
10月20日にオープンする「FILMS和光」は、その40棟目にあたり、ソーシャルアパートメントで初めて“映画館を再現した”という。「従来の共用施設としてのシアタールームや視聴覚室とは一線を画す本格的なシアター。隣人同士で共有する時間の中で、一人では探せない作品に出会える」という。所在地は埼玉県和光市丸山台2丁目11番13号で、東京メトロ有楽町線/副都心線の始発駅であり、東武東上線も通る和光市駅から徒歩約9分。
プライベートの空間である個室と、共用設備であるシアターやラウンジなどがあり、賃料は個室によって異なるが、2年プランの一例は、水道光熱費や管理費を含めて月額79,300円(賃料68,000円の部屋の場合)。
最大の特徴であるシアタールームには150型スクリーンを備え、20席以上を用意。一般的なソファではなく、映画館などへ納入されているシネマチェアを直接工場から仕入れたという。プロジェクターはエプソン製で、4K相当(HDからアップコンバート可能)のレーザー光源搭載モデル「EH-LS10000」。音響は7.1chでAVアンプはインストーラー向けのIntegraを導入。JBL製スピーカーを配置している。シアター導入にあたり、音響機器などを販売するナイスカンパニーが監修した。
再生機器はPlayStation 4 Proのほか、Apple TV 4Kを用意。大画面でのゲームや、手持ちのスマートフォン/ノートパソコンなどで再生した動画を鑑賞することも想定している。インターネットは光回線で、建物内はWi-Fiが完備。映像配信サービスなどの利用を想定してシアタールームにも専用にWi-Fiルーターを用意している。
入口には二重の扉を使用して外からの騒音も入らないように配慮。鉄扉に革張りするなど、映画館を意識したこだわりのデザインとなっている。シアタールーム以外にも、映画で使われたセリフが壁面や柱などに描かれている。「ダークナイト」でジョーカーが発した「Why so serious?(その、しかめっ面は何だ?)」や、「タクシードライバー」の「Don't worry so much. Relax,Killer. You're gonna be all right. I know. I've seen a lot of people.(あまり思い詰めずに気軽にやる。色んな奴を見てきたがそれが一番だ。)」など、映画ファンの心をくすぐる内装となっている。
この建物はもともと住友商事の寮(1992年築)をリノベーションしたとのことで、シアタールームは管理人室だったところを改修。壁を取り払ってスペースを確保している。座席は列によって段差が設けられ、前に人が座ってもしっかり画面が見えるようになっている。
シアタールームの外には黒板があり、そこに「10時からスパイダーマンを上映」などと書き込んでおけば、興味のある入居者が集まって一緒に鑑賞するというスタイルだ。なお、同社のソーシャルアパートメントは、入居者だけでなく家族や友人なども共用施設を使用可能とのことで、無料で上映する私的利用の範囲であればOKとのこと。特定の人だけで占有はせず、交流しながら観るというスタイルだ。
注目のシアタールームで、実際にショートフィルムを鑑賞した。家庭ではなかなか導入しづらい大型スクリーンと暗室で、迫力のある映像を体感し、作品に没頭できた。防音仕様のため、一般的な住居では難しい大音量も出せるのがうれしい。上映機器だけでなく、快適な椅子も重要なポイント。ゆったりした座り心地で、映画館に来たような気分になり、鑑賞に向けて気分が盛り上がってくる。DVDやモノクロなどの懐かしめの作品を観ても、テレビやスマホなどで観る観るのとは全く違う体験ができた。
共用設備で仕事や写真撮影、ヨガも
シアター以外の共用部分も充実しており、ラウンジにはPS4やNintendo Switchなども遊べる60型液晶テレビ「AQUOS 4T-C60AJ1」を備えたスペースを用意。この部屋にはビリヤード台などもある。
また、仕事や読書などができるワークスペースも用意。自室では集中できない場合なども、この部屋で作業ができる。さらに、写真撮影ができる専用スペースまで用意。多灯ライティングもできて、メルカリなどに出品する際の写真をよりきれいに撮れる。
個室は13.4m2で、8畳程度としている。最大の部屋は約10畳。個室は全て南向きで、日当たりや風通しは同等だという。ドラム式洗濯機を備えたランドリールームやシャワールームもあり、これらは男性用が3階と5階、女性用が2階と4階にある。
10月20日のオープンを控え、123室あるうちの64室は既に申込を受けており、世代は20代後半から30代前半の社会人が中心だが、40代の入居者もいるとのこと。男女比は55:45。違う世代の人との交流で、新たな作品に出会えるということもありそうだ。現時点で、入居者の15%は、カメラマンやWebデザイナーなど、クリエイティブな仕事に携わっているとのこと。シェアハウスとは違う交流を求めて、新しい仕組みの住まいを選ぶ人も少なくないようだ。
賃料の約8万円(部屋によって異なる)には、ハウスキーパーによる共用部設備の清掃(週6日)などの費用も含まれており、和光市の一般的なワンルーム(6~7畳)に比べて1.1~1.2倍とのこと。普通の賃貸では難しいシアタールームはもちろん、他の共用設備から見てもその価値はありそうだ。何より、いつも映画に浸っていたい人にとって、他にはない選択といえるだろう。