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アイリスオーヤマの4Kテレビは日本向け画質。家電強化へ“働き方改革”新拠点
2018年11月27日 17:58
アイリスオーヤマは、東京都港区に新オフィス「アイリスグループ東京本部」の稼働を11月27日から開始した。アイリスグループの事業拡大に向けた研究開発拠点として、LED照明と、22日から発売した4K対応テレビを含む家電製品の開発強化を進める。
同社は家電を最重点事業と位置付け、製品開発強化により品揃えを拡充。本社のある宮城県や、大阪などの拠点に加え、東京に研究開発拠点を新設することで、関東圏における技術者の中途採用を強化。開発のスピードアップと新規カテゴリーの商品開発を進める。東京本部は開発・設計やデザイン、営業など20の部署が入り、LED照明と家電製品の企画、設計、デザインや品質管理に加え、購買や調達、首都圏における法人向けビジネスの営業拠点の役割も担う。所在地は港区浜松町二丁目3番1号 日本生命浜松町クレアタワー19階。
アイリスのテレビは“日本人向け”を追求
同社は白物家電を中心に事業展開してきたが、2019年の黒物家電本格参入に向けて、4Kテレビ4機種を含むテレビ「LUCA」シリーズ7機種を11月22日より発売して「黒物家電」に参入。「総合家電メーカー」としての利益拡大を目指している。
4K対応テレビはHDR対応(HDR10)で、直下型LEDバックライトを搭載。「見たままの自然な色合いを忠実に再現する」という。HD映像を4Kにアップコンバートする機能も備える。HDMI端子はいずれも18Gbps対応。そのほかの主な仕様は5日掲載の記事で紹介している。販売は、ホームセンターが中心になるという。
同社テレビで訴求するポイントの一つが、独自のチューニングによる“日本人に合った画質”。かつて他社で映像事業を担当してきたという開発担当者によれば、「画質のクセを無くし、日本人の好みに合わせて高めの色温度に設定した」という。最大サイズとして65型を用意した点にもこだわったとのこと。
また、「使わない機能は省いた」というのも特徴で、その代表的なものがネット機能。YouTubeなどには対応せず、テレビ放送に特化。映像配信サービスは、HDMIスティックやSTBなどの他社製機器を使うようにすることで、テレビ本体はシンプルな構成とした。なお、12月1日開始の新4K8K衛星放送はテレビ単体では視聴できず、別売の対応チューナーなどを追加すると観られる。
“働き方改革”を体現するオフィス
新たな拠点の「アイリスグループ東京本部」は、LED照明や建築内装材、家電、オフィス家具に同社製品を採用。9つある商談室は床材、照明、家具が“オールアイリス”で、来社した人がオフィスを作る上で参考になるようにしたという。照明や家電などのショールーム的な役割も担っている。従業員数は150名だが、フリーアドレス採用で、出張者なども多く立ち寄ることから、350~400名が同時に働くことも可能だという。
長時間労働をせず、生産性を高める「働き方改革」に基づき、多様な働き方が可能になる空間作りの「ABW(アクティビティベースドワーキング)」をとり入れたオフィス環境を構築。
社内は、ワゴンを撤廃した「フリーアドレスエリア」、一人で考えを深めたり業務を遂行する「集中エリア」、メンバー同士の情報共有などに使う「スタンディングテーブルエリア」、作業効率を高める「昇降デスクエリア」、出張者や短時間の立ち寄り利用の「タッチダウンエリア」など7つのエリアに分類。デザイン性も高めることで、「優秀な人材を採用し、辞めさせない魅力的なオフィス作り」を目指したという。
照明にもこだわりがあり、LEDライトをタブレットから個別/エリアごとに調光、調色できる自社製の制御システム「ライコネックス」を採用。午前中に朝日のような明るさで体を目覚めさせ、昼は青空のような光で活動を促進、夕方は赤みがかった光にするなど、自然の光に合わせることで、自律神経を整え、良質な睡眠や日中の集中力維持などに効果があるとされる「サーカディアンリズム」に合わせた照明に制御。従業員の健康や生産性の向上などを図る。
床材は、各スペースに合わせて集中できる色や、落ち着ける色など分けて採用。床の素材を変えることでパーテーションを使わずに各スペースや通路の境界を示すようにデザインしたという。
同社グループでオフィス家具などを手掛けるアイリスチトセのマーケティング本部 大山紘平氏は、新しい東京本部が、社員同士や海外/国内拠点などをつなぐ「ハブ機能」を持つことを説明。「内装も洗練され『ここで働きたい』と思われるようなリクルーティングや、“ライブショールーム”としても活用する」としている。