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静電型スピーカーのマーティン・ローガン、PDNが日本発売。ペア2,000万円「Neolith」等

PDNは27日、総輸入代理店契約を締結し、4月から順次発売を開始する静電型スピーカーのマーティン・ローガンと、カナダから初上陸となるパラダイムのスピーカーを国内で披露した。マーティン・ローガンの最上位「Neolith(ネオリス)」は、ペア販売で1台1,000万円の受注生産。ペア販売で1台40万円の「ElectroMotion ESL X」などもラインナップする。

左がマーティン・ローガンの「Neolith」

ここではマーティン・ローガンの製品ラインナップを紹介。パラダイムについては、別記事でレポートする。マーティンローガン製品のラインナップと価格は以下の通り。

【Masterpiece series】

  • Neolith(ハイブリッド・ESLスピーカー)
    10,000,000円(1台/ペア販売/受注生産品)
  • Renaissance ESL 15A(ハイブリッド・ESLスピーカー)
    2,500,000円(1台/ペア販売)
  • Classic ESL 9(ハイブリッド・ESLスピーカー)
    650,000円(1台/ペア販売)

【ElectroMotion series】

  • ElectroMotion ESL X(ハイブリッド・ESLスピーカー)
    400,000円(1台/ペア販売)

【Motion series】

  • Motion 60XT(4ドライバー・3ウェイ・フロア型)
    300,000円(1台/ペア販売)
  • Motion 35XT(2ドライバー・2ウェイ・ブックシェルフ)
    150,000円(1台/ペア販売)
4月から順次登場するラインナップ

マーティン・ローガンは、1983年にゲイル・マーティン・サンダースとロン・ローガン・サザーランドの二人によって設立された世界最大の静電型スピーカーブランド。世界特許であるESL(エレクトロスタティックラウドスピーカー)技術を用いて、「自然で、超低歪みの音は、音楽再生における理想のトランスデューサーとして、世界中の音楽愛好家を魅了してきた」という。

独創的なフォルムも特徴。熟練した職人が丁寧に作り上げており、「“Truth in Sound”をコンセプトに、静電型スピーカーの原理的、技術的利点を活かした音は言うまでもなく、その存在感においても唯一無二の価値を提供し続けるブランド」としている。

ESLの特徴はその構造にあり、表面に小さな穴を開け、緩やかにカーブした金属パネル(ステーター)と超軽量ポリエステルフィルム(振動板)で構成される。振動板をサンドイッチする形の固定子が、アンプから来る信号に応じて、瞬間的に反対の電荷を帯電。これにより、挟まれたプラス電荷の薄膜振動板が前と後ろに交互に引き寄せられ、前後に移動、音を発生させる。

独自のXStat CLS(Curvilinear Line Source)静電パネルを使っており、振動板全面を均一にドライブ。振動板自体も軽量であるため、超低歪みかつハイスピードな音を実現。カーブ形状により、理想的な音の放射も可能で、「スピーカーの存在を忘れてしまうほど自然で、広大なサウンドステージを再現する」という。

また、重低音はダイナミック型のユニットでドライブするが、音楽で重要な部分の帯域は静電型パネル1つで再生し、クロスオーバーが無いため、歪や色付けの無いサウンドが再生できるとする。

最上位モデル「Neolith」

全長約190cm、重量175kgの超大型スピーカーで、同社の音のフィロソフィーである「Truth in Sound」を体現したモデルと位置づけられている。

左が最上位モデル「Neolith」

高域ユニットには、同社で最大となる122×56cm(放射面積6,832cm2)の大型静電パネルを搭載。独自の水平曲面形状、双極性の放射パターンにより、超低歪み・高速応答を実現している。

「Neolith」の側面

本体のベース部には、アルミニウム振動板と4層巻ボイスコイルを採用した38cmウーファーと、カーボンファイバー振動板、銅製角型ボイスコイルを採用した30cmミッドバスウーファーを対向配置。余計な振動を排除し、パワフルかつ正確な低音再生が可能という。WBTのスピーカーターミナルを備え、バイアンプ接続にも対応可能。

下部には38cmウーファーと、30cmミッドバスウーファーを対向配置している

筐体のフレームには非共鳴フェノール樹脂を採用。音の濁りの原因となる静電パネルやウーファーの振動を徹底して排除し、光沢塗装を施している。ソフトレザーで包まれたウーファーキャビネットはハンドメイドで作られている。

再生周波数帯域は23Hz~22kHz、クロスオーバー周波数は60、250-400Hz。推奨アンプ出力は20~1,300W/ch。感度は90dB/2.83V/meter、インピーダンスは4Ω、0.43Ω@20kHz。

外形寸法は76.9×87×189.9cm(幅×奥行き×高さ)で、重量は175kg。

Masterpiece series

前述のNeolithを含めた、「Renaissance ESL 15A」と「Classic ESL 9」の3機種は「Masterpiece series」と位置づけられている。

Masterpiece series。左からRenaissance ESL 15A、EXPRESSION ESL 13A、IMPRESSION ESL 11A、Classic ESL 9。日本ではまだ取り扱わないモデルも参考展示された

航空宇宙機器グレードのアルミニウム合金で作ったAirFrameブレードを介し、静電パネルとスピーカーキャビネットを強固に接合。側面が広いブレードと独自の水平曲面形状により、電気的および音響的な完全分離を実現し、振動や共振によって発生する信号干渉による音の歪みを低減したという。

専用マイクを使ってリスニングルームの低周波音の出力を測定、最適な応答曲線と比較して、低周波数曲線を理想的なカーブに補正する「アンセム・ルーム・コレクション」(ARC)技術も採用。

Renaissance ESL 15Aの30.5cm径ウーファー向けには、PoweredForce Forwardベーステクノロジーと、クラスDアンプを搭載。独自のクロスオーバー位相制御技術を使い、壁面反射を実質的に排除。より壁面に近づけた設置を可能にしているほか、24ビットbit Vojtko DSPエンジンを使ったクラスDアンプにより、「小型エンクロージャーでも大音量かつ正確な低音再生を可能にした」という。

Renaissance ESL 15Aの再生周波数帯域は22Hz~21kHz、クロスオーバー周波数は300Hz。推奨アンプ出力は20~700W/ch。感度は92dB/2.83V/meter、インピーダンスは4Ω、0.5Ω@20kHz。

外形寸法は40×63.3×177.3cm(幅×奥行き×高さ)で、重量は63.5kg。

Classic ESL 9の再生周波数帯域は34Hz~23kHz、クロスオーバー周波数は380Hz。推奨アンプ出力は20~400W/ch。感度は90dB/2.83V/meter、インピーダンスは4Ω、0.8Ω@20kHz。

外形寸法は26.4×64.6×152cm(幅×奥行き×高さ)で、重量は35.4kg。

ESLのアンプ部分

ElectroMotion series

ElectroMotion ESL Xというモデルを用意。「マーティン・ローガンの静電型スピーカーの魅力を、よりカジュアルにスタイリッシュなデザインで楽しんでもらうことをコンセプトに設計されたハイパフォーマンスモデル」と位置づけられている。

左からIMPRESSION ESL 11A、Classic ESL 9、ElectroMotion ESL X

専用設計の大型XStat CLS静電パネル採用。静電パネルスピーカーは、原理的に前面と背面で等しく音を放射するが、その位相は逆位相となる。さらに比較的大きいサイズの静電パネルの場合、側面の出力が従来のラウドスピーカーと比べて非常に低くなり、音や音像の濁りの原因となる側壁反射を最小限に低減。「背面の反射音は音に深みを与え、自然かつ広大なサウンドステージを再現する」という。

中高域を担当する静電パネルと、低音用の20cmウーファー×2基を搭載。自然なつながりを実現するため、ウーファーの振動板には硬質・軽量なものを採用。さらに平行面を持たないスピーカーキャビネットにより、内部の定在波を解消。歪みのないクリアな低音再生を実現したという。

バイアンプ接続に対応したオリジナルのスピーカー端子を搭載。スパイクも付属しており、厚めのカーペットでも本体をしっかり固定でき、低音再生のパフォーマンスを高められるという。スパイクを使用したくない場合の為に、ゴム製のキャップも付属する。

ElectroMotion ESL Xの再生周波数帯域は41Hz~22kHz、クロスオーバー周波数は400Hz。推奨アンプ出力は20~400W/ch。感度は91dB/2.83V/meter、インピーダンスは6Ω、1.6Ω@20kHz。

外形寸法は23.8×52.6×150.3cm(幅×奥行き×高さ)で、重量は23.6kg。

Motion series

静電パネルの技術を応用し、薄型静電フィルムを使った「Folded Motion XTツイーター」を開発。それと、伝統的なHi-Fiスピーカー技術を融合させたシリーズ。

Folded Motion XTツイーター

「Folded Motion XTツイーター」には、電極と超軽量高分子フィルムから構成される振動板が使われているが、その形状を蛇腹にする事で、「通常の1インチドームツイーターよりもはるかに少ない移動距離で、歪みを飛躍的に抑えながら超高速応答を実現」するという。

中低域向けユニットには、ツイーターの特性と合わせ、軽量で応答速度に優れたアルミニウム振動板を採用。非共鳴・非対称バスレフポートや、高硬度ダストキャップを採用することでコーンの分割振動を抑え、「驚くほど深く、正確な低音再生を実現した」とする。

オリジナルのスピーカー端子をはじめ、ネットワーク回路にはカスタム品の空芯コイル、低DCR鋼積層インダクターなど、ヒアリングで厳選した音質パーツを使っている。

左端がMotion 60XT

Motion 60XTは、4ドライバー・3ウェイのフロア型。3.2×6.1cmのFolded Motion XTツイーターと、16.5cmのミッドレンジ、20.3cm×2のウーファーで構成する。再生周波数帯域は35Hz~25kHz、クロスオーバー周波数は400Hz、2.2kHz。推奨アンプ出力は20~400W/ch。感度は94dB/2.83V/meter、インピーダンスは4Ω。外形寸法は29×36.6×121.8cm(幅×奥行き×高さ)で、重量は30kg。

左がMotion 35XT

Motion 35XTは、2ドライバー・2ウェイのブックシェルフ。3.2×6.1cmのFolded Motion XTツイーターと、11.4×7cmのウーファーで構成。20.3cm×2のウーファーで構成する。再生周波数帯域は50Hz~25kHz、クロスオーバー周波数は2.2kHz。推奨アンプ出力は20~250W/ch。感度は92dB/2.83V/meter、インピーダンスは4Ω。外形寸法は19.2×30×34.3cm(幅×奥行き×高さ)で、重量は8.4kg。

「ストリーミングオーディオ、新しい時代のオーディオにも取り組んでいきたい」

PDNの佐藤卓会長は、「PDNは、AVの専門店さんを対象に、高付加価値で高機能な製品を提供するために設立された。今回、マーティン・ローガンとパラダイムの扱いを始めるが、先々はストリーミングオーディオ、新しい時代のオーディオにも取り組んでいきたい」という。

PDNの佐藤卓会長

また、マーティン・ローガンとパラダイムの魅力については、「近年、日本で北米ブランドの影が薄く、ヨーロッパブランドが中心になっている。マーティン・ローガンとパラダイムはどちらも規模が大きな会社であり、最新の手法で開発、最新の音響工学なども投入されている。生産を自動化しつつも、手作りの部分も残しており、これもオーディオにとっては大事な事。ブランド選定の背景にはそういう要素もある」と説明。

なお、どちらのブランドも35年あまりの歴史があるが、2005年に現在の親会社である投資グループのシュアビューに買収されている。しかし、登記上は現在でも別会社で、アメリカとカナダそれぞれに、独自の技術部門、営業部門を抱えて活動している。

また、マーティン・ローガンは以前、ステラが日本で取り扱っていたが、PDNが正式に活動を開始した時点で引き継ぎ、修理などもPDNで受け付ける形になるという。