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ソニー6年ぶりのCEATEC出展。高画質医療モニターやBlu-ray技術応用の細胞分析装置

ソニーは、幕張メッセで10月15日~18日に開催中の「CEATEC 2019」に出展。家電ではなく医療分野の製品やソリューションの展示となっており、テレビなどのディスプレイや放送、Blu-rayなどで培われた様々な技術も活用されていることを紹介している。ソニーのCEATEC出展は6年ぶり。

CEATEC出展は6年ぶりとなるソニー

展示のテーマは「Sony’s Technologies x Medical/Life Science(ソニーのテクノロジー×メディカル/ライフサイエンス)」。重要な領域の一つと位置付けるメディカル分野でシェアを拡大している現状などを今回のCEATECで紹介しながら、今後発売予定の新製品を披露している。

手術部位を撮影する術野カメラに、ソニー独自の裏面照射型画素構造のCMOSイメージセンサーや画像処理技術を活用。4Kの高精細な映像や高感度で暗所でもノイズが目立ちにくい映像を実現した。

裏面照射CMOS活用の術野カメラ
細かな部分まで撮影でき、高画質なデジタルズームも可能なため、対象に近づけなくても鮮明に表示可能としている

手術室に使われるモニターなどで自然な3D表現を可能にするため、3D映像撮影に適した並列光学機構や、その機構を小型化する技術を開発。立体感を自然に再現するためのノウハウなども含めた技術が、4K 3D手術用顕微鏡システムに搭載されている。

4K外科手術用内視鏡システムや、4K 3D手術用顕微鏡システムなどは、ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズと、オリンパスとの医療事業合弁会社であるソニー・オリンパスメディカルソリューションズが技術開発を担当。「Innovation by Sony & Olympus」のロゴが製品に付与されている。

「Innovation by Sony & Olympus」ロゴ入りの製品
3Dモニターのデモ
モニターで確認しながら、手術をイメージした細かな作業が体験できるコーナー

液晶モニターは、4K放送規格に使われる映像信号のITU-R BT.2020をカバー。広色域の再現を実現している。特に赤色の再現性が高く、微細組織や血管などの識別や、手術中の正確な判断をサポートするという。

医療用の4K液晶モニター
内視鏡映像向けに最適化した有機EL(左)。右は液晶

このほかにも、放送業務用分野で培った独自の高効率な映像伝送技術LLVCを応用。病院内のデータを低遅延かつ高画質でIP伝送可能にした。手術室内外の映像を一元化し、多用途に活用できるIPベースのプラットフォームNUCLeUS(ニュークリアス)などに応用している。

細胞分析装置の新製品「スペクトル型セルアナライザー」は、波長の異なる最大7つのレーザーと、188chの光検出器により、高精度な分析を実現。1秒間に数万個に及ぶ細胞の大きさや個数、細胞表面や内部の情報を解析でき、免疫細胞やがん細胞の解析などへの活用を見込む。型番は「ID7000」で、発売は2020年夏ごろ。

スペクトル型セルアナライザー ID7000(製品版は写真よりもサイズが大きくなる予定)
今回の展示では、内部の動きをAR映像で見られる

細胞を光学的に分析する細胞分析装置として2012年に発売したセルソーター「SH800」は、Blu-ray Disc技術を活用。ソニーが培ってきたレーザー光学技術や光ディスク技術を応用することで、細胞情報の検出、分取機能の自動化を実現した点などが特徴。

セルソーター「SH800」
写真の器具の細い経路を細胞が通る
ライフサイエンス事業 細胞解析の技術紹介
ソニーのメディカル事業の取組みや技術