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音楽が聴こえる歯ブラシ実現。感触も伝わる没入ディスプレイ、どこでもVTuber
2019年10月15日 21:51
幕張メッセで10月18日まで開催中の「CEATEC 2019」。歯を磨くと音楽が聴こえる歯ブラシ「Possi」や、JVCケンウッドのプロジェクター技術を使った曲面ディスプレイシステム、簡単にVTuberのキャラクターになれるサービスなど、各社のユニークな展示を紹介する。
音楽の聴こえる歯ブラシが3月出荷へ
京セラのブースに展示されている「Possi」は、歯ブラシを歯に当てると音楽が聴こえるもので、歯磨きを嫌がる子供も楽しく使えるという。既報の通り、ソニーのクラウドファンディングfirst flightで7月3日よりプロジェクトがスタート。2,100万円を越える資金を集め、1,344人の支援者に2020年3月ごろに製品が届けられる。クラウドファンディングの受付は終了しているが、一般販売も検討しているという。
歯ブラシのヘッド部分に、電気信号を振動(音)に変換する京セラの小型圧電セラミック素子を搭載。それを、ボディに搭載したCRIミドルウェアのデジタル駆動アンプ「D-AmpDriver」を使い、ヘッド部分のみが振動する。単5電池2個で動作する。
これにより、ブラシが歯に当たると歯ブラシのヘッド部分から歯に振動が伝わり、音楽などを楽しめる。骨伝導イヤフォンなどと同様に、ヘッド部分が歯や口腔内に触れている間のみ、本人に音楽が聴こえる仕組み。
音声入力はステレオミニ端子で、スマートフォンなどの音楽や映像を楽しみながら利用可能。歯磨きを嫌がる子供も、おとなしく、飽きずに歯を磨かせてくれるという。
歯ブラシ部分はライオン、持ち手のデザインはソニーが開発。下に置いても歯ブラシが接地面に付かないような形状となっている。
京セラブースで注目されていたのは、世界初という「糖質ダイエットモニタ」。ジャイロセンサーを使った特許技術の「橈骨(とうこつ)動脈脈波センサー」により、従来になかったという脈波解析による糖代謝推定を実現。センサー部分を手首に押し当てて8秒で簡単に測定してスマホで結果を確認でき、食事による健康管理や、糖質制限ダイエット、糖尿病予備軍チェックなどに役立てられるという。2020年度の商品化を目指している。
遠隔で釣りができる没入型ディスプレイシステム
ANAホールディングスのブースでは、JVCケンウッドのD-ILAプロジェクターなどを使った「シリンドリカル・ディスプレイシステム」を展示。大分県にある釣り堀と会場がつながり、映像を観ながら遠隔操作で釣り体験ができるというデモを行なっている。
JVCケンウッドがD-ILAプロジェクター開発で培ってきた高画質技術と、広視野角で映像を投写できるシリンドリカル(一方向に曲率をもつ形状の)スクリーンを採用。高解像度/高コントラストの映像を実現している。
大分の釣り堀には「釣りアバターロボット」が設置。現実の物体や周辺環境との接触情報を双方向で伝送して力触覚を再現するリアルハプティクス技術により、釣り具の振動が、CEATEC会場にある釣り竿に伝送され、リアルな釣り体験が楽しめるという。
今回の展示には、JVCケンウッドのほかにも、慶応義塾大学や、シマノ、NTT西日本、NTTスマートコネクトなどが協力。NTTのロスレス圧縮技術を用いた音声配信なども活用されている。
既存設備で8K映像配信、音のVR、どこでもVTuberなど
ソシオネクストは、既存設備で8K動画配信を実現するという8Kエンコーダーやプレーヤーを展示。新横浜で撮影した映像を現地でリアルタイムエンコードして、東京にあるサーバーを介してCEATEC会場で再生するというデモを行なっている。専用回線を用意しなくても、NTTのフレッツ光回線で8K映像も伝送できることを紹介していた。
同社は音響ソフトウェアForteArtも紹介。軽量な組み込みソフトでBluetoothオーディオを高音質化できるというもので、中国BekenのBluetoothレシーバーLSIに同技術が搭載され、今後出荷予定。このLSIがワイヤレスヘッドフォンに搭載されると、スマホアプリなどで好みの音質に調整可能になる。
KDDIブースでは、5GやVR/AR技術などを用いた様々な展示を実施。「音のVR」は、自分を囲む円形のスクリーンに投写された映像を観ながら、特定の方向の音だけを聴くことができるもの。タブレットを手に持って体の向きを変えると、正面の音がフォーカスされる。アイドルのライブやスポーツイベントなどで、好きなメンバー/選手を中心に映像や音を楽しむといった活用ができるという。
DNP(大日本印刷)のブースでは、オリジナルキャラクター「ファンズちゃん」を使った技術やサービスを紹介。同社が販売代理を行なっているバルスの「どこでもVTuber」は、赤外線カメラを使って簡単にバーチャルキャラクターとして映像配信ができるサービス。独自のキャラクター制御により、VR機器やコントローラーなどを使わなくても自然でスムーズな動作表現ができるという。
このほか、VRヘッドマウントディスプレイやコントローラーを使ってバーチャルキャラクターに扮しながら店舗などの接客ができる「バーチャル接客」も展開。離れた場所からキャラクターを介して商品やサービスなどを紹介できるというもので、秋葉原のソフマップや、長崎ハウステンボスの変なホテルにおいて実際に採用されている。
透明スクリーンは、透明なアクリル板を使った画面にプロジェクターを投写して、空間にキャラクターが浮かぶような映像を実現できるもので、DNP独自技術により、高い透明性(ヘイズ約1.0%)と高輝度(700cd/m2)を実現。ショーウィンドウなどの演出に活用できるという。40型と80型を展開している。