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DDFA + aptX Adaptiveの超低遅延小型スピーカー。オンキヨーのカスタムIEMが進化

国内外から多くのブランドが出展する、国内最大級のイヤフォン&ヘッドフォン体感イベント「ポタフェス AUTUMN/WINTER TOUR 2019 東京・秋葉原(通称:ポタフェス)」が開幕。期間は12月14日、15日で、会場は秋葉原にあるベルサール秋葉原の地下1階、1階、2階。入場は無料。ここではオンキヨー・パイオニアやQualcommなどのブースをレポートする。

オンキヨー・パイオニア

オンキヨー・パイオニアブースは、オンキヨーブランドの新カスタムIEMとして、自社で開発したマグネシウム振動板を採用したBAを搭載した「シリーズM」と、現行モデルを踏襲しながらデザインやコネクタなどのカスタマイズ性を拡大させた「シリーズJ」の2つの新シリーズを紹介している。2020年2月から発売予定で、価格は以下の通り。

オンキヨーブランドの新カスタムIEM
  • IE-M1 79,800円
  • IE-M2 99,800円
  • IE-M3 139,800円
  • IE-J1 69,800円
  • IE-J2 89,800円
  • IE-J3 129,800円

シリーズMのマグネシウム振動板を採用したBAは、特殊表面処理技術によって、マグネシウム素材内部までセラミック層を浸透させることで更なる高剛性を実現。BA用振動板としては世界最薄を実現したという。これにより、高音域再生を伸長させるだけでなく、マグネシウムが持つ高吸振性を最大限引き出し、音源再生を阻害する金属固有の鳴りを抑制。より滑らかで自然な聴き疲れしない音を再生できるという。

さらに、コンデンサーやダンパーなどオーディオグレードのパーツを採用。BAドライバ毎の帯域をハンドリングすることで、マグネシウム振動板のサウンドキャラクターを活かし、全帯域つながりのよいバランスも実現したという。

シリーズJは、高解像度な中高音と豊かな低域が楽しめるBAドライバモデル。BAを独自のフローティング機構で実装することで、不要振動と共振を低減。低域から高域まで輪郭を高めた明瞭な音を再生できるとする。

また、両シリーズのカスタマイズ要素も大幅追加 。イヤホンの形状そのものを選択可能になり、「C型クール:独自フォルムで耳の形状によくなじむスリムデザイン」、「D型フルシェル:所有する満足を感じる一般的なカスタムIEMの形状」が選べるようになる。

いずれの形状も日本人の耳を知り尽くしたシバントス補聴器の「匠」技術者が、ユーザーそれぞれに専用に設計する。

さらに、新たな世界観のカラーを3種類(8色)加えた全20色から選べるカラーバリエーションも用意。

コネクタも選べるようになり、高音質 挿抜耐性、防塵防水仕様のT2コネクタか、汎用性の高いMMCXが選べるようになった。また、純正付属イヤホンケーブルとしてestron製イヤホンケーブル(IP67)を採用している。

T2コネクタも選択できるようになった

Qualcomm

Qualcommのブースでは、シーイヤーが開発した小さなスピーカーが展示されている。このスピーカーは、QualcommのオーディオSoC「QCC5125」と、フルデジタルアンプDDFAチップの「CSRA6640」を搭載したもので、モデル名は「pavé2」。2020年の発売を予定。価格は未定だが、2万円を切るくらいのイメージだという。

シーイヤーが開発した小さなスピーカー「pavé2」

Bluetooth受信が可能なコンパクトなスピーカーだが、DDFAの採用により、最大15W+15Wの出力を実現。筐体の左右に向けて、大型ユニットを配置している。このユニットとDDFA、さらに新開発の音場制御技術「cear Field ver. 4.0」を組み合わせる事で、スピーカーのサイズを超えた、広い音場再生を、1台で実現。実際に体験すると、確かにスピーカーより離れた空間から音が聴こえるように感じる。

さらに、高い接続安定性、低遅延、高音質なaptX Adaptiveコーデックもサポート。その低遅延ぶりをアピールするため、ピアノアプリを入れたスマホとBluetoothで接続。ピアノをタップすると、ほとんど遅延なく音が出る体験ができた。

コンパクトかつ低遅延なスピーカーとして、パソコンやタブレットとの連携に加え、スマートフォンで“音ゲー”を楽しむ人にも注目の製品と言えるだろう。

ピアノアプリを入れたスマホとBluetoothで接続。ピアノをタップすると、ほとんど遅延なく音が出る体験ができた

同じくQualcommブースでは、ヒアラブルデバイス「Zeeny」を手掛けるネインが、音声UI技術などを活用し、働く場面で手が離せない、目が離せないフィールドワーカーに音で直感的に情報を伝えるソリューションを提案している。

マイク付きの片耳デバイスとスマートフォンを連携させ、装着者にスマホから音声で情報を提供。作業の指示やコミュニケーションだけでなく、一定時間毎に休憩を促すようなシステムも構築できるという。

また、完全ワイヤレスイヤフォン型のデバイスに搭載した各種センサーを活用。装着者がどちらを向いているか? 何歩歩いたか? といった情報を収集。GPSが取得できない場所での作業を支援したり、耳穴の振動から、装着者の声を集音。ボイラー室など、外部の音がうるさい環境下でも、装着者の声を別の場所に届けるようなシステムも実現できるという。光センサーによる脈拍の計測も可能だ。

さらに、コンシューマー向けにより軽量化し、価格も抑えた「Zeeny」の新モデルを開発中。その試作機も展示されている。

Technics

Technicsブースでは、新生Technicsで初となるイヤフォン「EAH-TZ700」が注目を集めている。11月15日に発売されたばかりで、価格は12万円。

業界初という、磁性流体を用いた新開発のダイナミック型「プレシジョンモーションドライバー」が最大の特徴。ボイスコイル部の磁気ギャップに磁性流体を充填し、磁性流体表面をボイスコイルが滑るように動作させることで振動板を正確にストローク。「インサイドホンドライバーとしてこれまでと次元の違う超低歪再生を実現した」という。

TAGO STUDIO

TAGO STUDIOのブースでは、モニターヘッドフォン「T3-01」と、アイドルマスター シンデレラガールズとのコラボモデル試作機を展示中。ハウジングにペガサスマークが確認できる。ヘッドバンドにもロゴ入りだ。

バリュートレード

AVIOTブランドの完全ワイヤレスイヤフォン「TE-D01d」をアップグレードしたハイスペックモデル「TE-D01d mk2」が展示されている。12月21日発売で、予約受付は既にスタートしている。価格は12,650円(税込)。メインビジュアルにTHE YELLOW MONKEYを起用しており、ブースではコラボ動画も流れている。

TE-D01dに寄せられたユーザーからの意見・要望を「最大限取り入れながら、価格に転嫁する事なく、徹底的に機能、音質そして質感をブラッシュアップした」という新モデル。Qi規格に準拠したワイヤレス充電機能や大容量バッテリーによる長時間再生。要望の多かったというアンビエントマイク(外音取り込み)機能を新たに投入。

ユニットの振動板には、AVIOTが厳選した内部損失が多く固有の癖が少ない超薄型PUフィルムに、歪みや“刺さり”感がなくハイスピードな中高域を実現するために、高純度チタニウム振動板を組み合わせている。 磁気回路には磁束密度の高いネオジウムマグネットを採用。

先代モデルの内蔵アンテナの設計を見直して更に改良。接続安定性を一段と向上させた。QualcommのTrueWirelessStereoPlusにも対応する。BluetoothのコーデックはSBC、AAC、aptXに対応。充電ケースの端子はUSB-Cになっている。

充電ケースの端子はUSB-C

宮地商会M.I.D.

ADVANCEDブランドの完全ワイヤレス「M5-TWS」が注目を集めている。12月20日発売で、価格は22,500円。

50,000以上の耳の形状データを基に、ハイエンド3Dプリンティングによってハウジングを設計し、手作業による研磨作業で仕上げたシェルが特徴。

超薄型カーボンレイヤーダイアフラムと高質量の純銅可動コイルで構成された、加圧高純度の6.1mm径カーボン(PHPC)ドライバーを搭載。この組み合わせによりダイアフラムの振動ストロークを最大化させ、オーディオ出力の全体的な解像度を向上しているという。

ADVANCEDブランドの完全ワイヤレス「M5-TWS」

さらに、Dekoni Audioのヘッドフォンケース「HEADPHONE SAVIOR」も紹介。価格は5,400円。水に強いフォーム生地を使った、ヘッドフォン専用キャリングケースで、収納するヘッドフォンの形状に合わせ、内部の仕切りや、底部の厚みなどをカスタマイズ可能だ。

Dekoni Audioのヘッドフォンケース「HEADPHONE SAVIOR」

COWON

テクタイトのブースでは、コウォン(COWON)のポータブルオーディオプレーヤー「PLENUE R2」を紹介。2020年1月17日発売で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は69,800円前後。内蔵ストレージは128GBで、256GBまで対応のmicroSDカードスロットも備える。

384kHz/32bit対応でヘッドフォンアンプ内蔵のシーラス・ロジック製DAC「CS43131」を2基備え、2.5mmバランスで最大4.0Vrms出力が可能。11.2MHzまでのDSDネイティブ再生と、PCM 384kHz/32bitまでの再生に対応。ワイヤレス接続時も音場効果が適用されるJetEffect Bluetoothや、JetEffect 7 & BBE+10バンドEQ Filterなどの音質調整機能も備える。BluetoothのコーデックはSBCとaptXをサポートする。

2.5mmバランス出力のほか、光デジタル/ステレオミニ出力を装備。インターフェイスはUSB Type-C。連続再生時間はMP3で20時間、ハイレゾで18.5時間。

スタックス

スタックスブースでは、同社のイヤースピーカーを駆動するドライバーユニットの新製品として、12月3日に発売されたばかりの真空管方式「SRM-700T」、半導体方式「SRM-700S」の2製品が登場。価格は各298,000円。2方式の聴き比べが可能だ。

真空管方式の「SRM-700T」は、初段にカスタムのローノイズのDUAL FETを採用、二段目はGT管の「6SN7」を搭載。6FQ7の原形となった真空管で、シンプルでパワーに余裕のある動作を実現するという。負荷抵抗には高品質で、インダクタンス成分が少ないVISHAY製の無誘導巻線抵抗を使用した、ハイブリッド型ドライバーユニット。サウンドとしては「クリアでスルーレートの高い真空管サウンドはさらに深められ、温かみと広がりのある再現に磨きがかかった」という。

半導体方式「SRM-700S」は、初段にカスタムのローノイズDUAL FET、二段目増幅段にもスタックスのドライバー史上初となる、J-FETを採用したオール半導体式のドライバーユニット。半導体方式「SRM-700S」低ノイズで増幅に優れたJ-FETと、大電流エミッタフォロワー回路の出力により、「イヤースピーカーの性能を余すことなく引き出す」という。

ディーアンドエム

デンマークのDALIが手掛けたヘッドフォン「iO6」と「iO4」や、Bowers & Wilkinsの新ヘッドフォン&新イヤフォンが体験できるディーアンドエムホールディングスのブース。

B&Wのオンイヤータイプ「PX5」

B&Wの製品は、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドフォン2機種と、ネックバンド型イヤフォン2機種。価格はいずれもオープンプライス。ヘッドフォンの実売は、アラウンドイヤータイプの「PX7」が6万円前後、オンイヤータイプの「PX5」が5万円前後。

イヤフォンは、ノイズキャンセリング(NC)機能を搭載した上位機「PI4」が5万円前後、NC機能非搭載の「PI3」が3万円前後だ。

ヘッドフォン2機種とネックバンドのPI4には、環境適応型のノイズキャンセリング機能を搭載。3種類のモードを搭載しており、各モードをユーザーが専用アプリで選択できる。

また、4モデルすべて、Bluetoothのコーデックとして、SBC、AAC、aptX Classic、aptX HDに対応。それに加え、aptX Adaptiveも全モデルがサポートしている。

さらに、デノンのヘッドフォン「AH-D1200」の特別バージョンとして、e☆イヤホン秋葉原店のくわわさんモデル「AH-D1200/KWW」も展示中。ワインレッドの落ち着いたカラーで来場者の注目を集めている。現在のところ製品化の予定はないという。