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外出自粛でNetflixの会員数15%増、全世界で1億8,300万人突破

Netflixは米国時間の4月21日、2020年第1四半期(1月~3月)の決算を発表。新型コロナウイルスの影響による各国での外出自粛の影響を受け、有料メンバー数が前年比15%増となる1,570万人増加し、全世界の有料メンバー数が1億8,300万人を超えた事を明らかにした。「他のホームエンターテイメントサービスと並び、視聴時間及び会員数が共に増加した」という。

第1四半期で増加した有料メンバーのうち、1,340万人は北米外の国と地域が占める。その内、アジア太平洋地域では360万の有料メンバー増となった。

Netflixでは、「創業以降、この20年において、現在の状況がかつてないほど人々にとって不確かで不安なものであることは言うまでもない。Netflixでは運営上の混乱を最小限に抑えながら遠隔作業でサービスを提供し続けられること、また、外出自粛を余儀なくされた方々に対して有意義なサービスを提供できる立場にいることを幸運に思っている」とコメントしている。

なお、制作現場の停止や映像業界に対する救済基金の設立によるコストなどで、営業利益率は16.6%となり、当初予測の18%を下回った。急激なドル高の影響により米国外における売上高は従来予測を下回ったが、「概ねガイダンス通りに落ち着いた」という。

作品制作の停止により現金支出に遅れがみられ、結果としてキャッシュフローが一時的に黒字化。各国の状況を鑑み、制作が再開され次第、現金支出は再び増加する見込みだという。

一方で、韓国とアイスランドを除き、日本を含む世界各国で制作現場の停止が継続。「特に注視される課題」として、イタリアなどにおける都市封鎖やロックダウンにより声優が従来の設備で収録を実施できない状況があり、一部の言語において吹き替え収録が困難になっているという。

このような状況下だが、「米国・ロサンゼルスを拠点とするアニメーションチームは、混乱を最小限に抑えながら外出自粛の要請から2週間以内に遠隔での作業を開始した」とのこと。ポストプロダクションにおいては、200以上のプロジェクトをスタッフが自宅から遠隔で作業を継続しているという。

Netflixは、全話一斉配信、オリジナル作品の最大30言語への多言語化を特長とし、制作自体はかなり先に配信予定の作品まで着手している。そのため、「本年配信予定の作品群は、映画・シリーズいずれも撮影が済んでおり、遠隔でポストプロダクション作業が進行中のプロジェクトが大半」だという。

例えば「ザ・クラウン」シーズン4も、撮影は終了。当初の予定通り今年後半に配信する。また「フェイフェイと月の冒険(原題:Over the Moon)」も同様に本年後半に配信予定。「今後も作品の全世界、全話一斉配信をサービスの原則とするとともに、新たな作品を定期的かつ継続的に公開する」としており、現在の状況を受けて公開日の大幅な前倒しや後ろ倒しはせず、「作品が完成したら速やかに配信する方針」とのこと。ただし、一部の数作品については遠隔での吹き替え収録が困難である状況を受け、「配信日を予定より遅らさざるを得ず変更した」という。「全体的に配信作品を俯瞰すると、今後新たに公開する作品は数多く、配信権を調達したライセンス作品も充実させる」とのこと。

また、「最も甚大な影響を受けている制作現場のスタッフや関係者の生活を一時的に救済し、映像業界を支えること」を目的として、1億5,000万ドルを救済基金を設立。「私たちの作品を支える関係者の生活と安全を守り、この危機的状況を乗り越えられるよう支援を続ける」としている。

第1四半期に配信した作品で、配信後4週間で多く再生された作品は以下の通り。

  • Netflixオリジナル「ペーパー・ハウス」:6,500万世帯が再生
  • Netflix オリジナル「オザークへようこそ」シーズン3:2,900万世帯が再生
  • Netflix オリジナルドキュメンタリー「タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!」:6,400万世帯が再生
  • Netflix映画「スペンサー・コンフィデンシャル」:8,500万世帯が再生
  • Netflixオリジナル「ラブ・イズ・ブラインド ~外見なんて関係ない?!~」:3,000万世帯が再生

第2四半期にはスティーヴ・カレル主演のコメディ映画「スペース・フォース」や、ドキュメンタリー「マイケル・ジョーダン: ラストダンス」、ライアン・マーフィーによる「ハリウッド」を公開。

また、今週に日本発のオリジナルアニメシリーズ「攻殻機動隊 SAC_2045」や、クリス・ヘムズワース主演映画「タイラー・レイク -命の奪還-」などを全世界で独占配信する。

攻殻機動隊 SAC_2045
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会
Netflix Q1 2020 Earnings Interview