'08年の液晶TV世界生産台数が鈍化、前年比134%に
-富士キメラ総研調査。中南米地域の需要は3倍
4月13日発表
株式会社富士キメラ総研は13日、液晶テレビやデジタルカメラなどエレクトロニクス製品54品目の世界地域別の生産/需要動向をまとめた報告書「2009 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」を発表した。
全体の傾向としては、米国発の金融危機による不況の影響で需要が落ち込み、価格下落が収益を圧迫。M&Aなど競争力の強化を目的とした再編が加速していると指摘している。生産拠点では中国一極集中のリスクを分散させる観点からASEAN各国での工場建設/拡張が活発化し、特にベトナム、インド、東欧の重要性が増しているという。
■ 液晶テレビ生産トップは中国。需要は欧州
液晶テレビは、近年は年率50%以上のペースで伸び続け、'08年も前半は好調だったが、景気悪化による需要減と、BRICs諸国での売れ行きが鈍化したことも受け、前年比34%増の1億600万台にとどまった。価格下落による需要増も大幅な伸びにはつながらず、'09年の成長率は'08年を下回る見込み。
中期的には、世界各国でのデジタル放送への移行やブラウン管テレビからの買い替え需要により、年率2桁成長を続けると予測。'14~'15年には薄型テレビの普及が一巡し、以降は年率2~3%台の成長になると見ている。
地域別の生産実績では前年に続き中国がトップで、全体の36%。続いて欧州が23%、中南米が18%、アジアが14%となった。日本は8%だったが、販売価格の下落から、今後は自社の海外工場での生産や、台湾などOEMメーカーへの委託が増えると見ている。
一方、需要が最も多かったのは欧州で、全体の35%だった。需要の伸びが著しかったのは中国、アジア、中南米などの新興地域で、中でも中南米は'07年比3倍となった。欧米/日本では不況により需要が回復するには時間がかかると見られ、BRICsなどはブラウン管からの買い替え需要についても26型以下の安価な製品が中心になるとしている。
■ 白色LEDやBlu-rayドライブは今後も成長の見込み
AV機器において、不況の影響で特に生産量が落ち込んだのはミニコンポやデジタルオーディオプレーヤー、DVDプレーヤー/レコーダなどの製品。カーオーディオは夏には過去最高ペースで生産されていたため'08年トータルでは微増となったが、'08年10月以降の大幅な減産により'09年は前年比2桁減を予測している。
そのほかのジャンルでは、ネットブックの'08年生産が前年比30倍の1,500万台。'14年の予測は5,000万台としている。デジタル一眼レフカメラは'08年が前年比120%の900万台で、'14年予測は1,920万台。
ユニット製品/部品では、白色LEDがテレビやPC用ディスプレイ、ノートPCといった大型のバックライト用途と、自動車関連、照明での需要拡大を見込む。また、ディスプレイデバイスでは大型TFTが薄型テレビの低価格化による販売増を受け、引き続きプラスになると予測。光学ディスクドライブでは、Blu-ray Discドライブが他の方式が縮小する中でもプラス成長を続けるとしている。
(2009年 4月 13日)
[AV Watch編集部 中林暁]