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ソナス・ファベール、全てを刷新した新スピーカー「Olympica NOVA」

左からOlympica Nova III、V、I(Stand Olympica NOVA装着時)

ノアは、ソナス・ファベールの新しいスピーカーシリーズ「Olympica NOVA(オリンピカ・ノヴァ)」3機種を6月5日より発売する。ラインナップと価格(ペア)は、フロアスタンド型で3ウェイ5スピーカーのOlympica Nova Vが195万円、3ウェイ4スピーカーのOlympica Nova IIIが140万円、ブックシェルフ型で2ウェイ2スピーカーのOlympica Nova Iが78万円。

2013年に発売した「Olympicaシリーズ」の全てをリ・デザイン。NOVA はラテン語で「新しい」を意味し、初代オリンピカのデザインやサウンド・コンセプトを継承しながら、積み上げてきた経験や感性、技術を結実させたとしている。

キャビネット側面は、上位コレクション「Homage Tradition(オマージュ・トラディション)」や「Aida II(アイーダ)」などにも採用されているプライウッド構造を継承。厚みの違うシート状の木材を使い、木目の角度を交互に90度変えて8層に積層させ、プレス機で加圧しながら曲面を造形したという。

側板表面はウォルナット突板半光沢仕上げとし、そのウォルナット突板同士の接合部にはクリア・メイプルをダンピング素材として挟み込み使用。ウォルナットの木目に白いラインを施したようなデザインアクセントを持たせながら、異種木材の組み合わせによって木の響きを活かしつつ不要振動を排除するソナス・ファベールならではの木工加工技術を盛り込んだとする。また、キャビネット内部には補強リブを入念配置することで振動を減衰させドライバー・ユニット全体のパワーを万全に受け止めるという。

フロント・バッフルはキャビネット部と同じ突板仕上げにデザインを一新。ソナス・ファベール伝統のレザー張りバッフルは「ツイーター」「ミッド・レンジ(ミッド・ウーファー)」専用のバッフルとして採用、全て職人による手作業で組み上げられている。またレザーを張ることにより、美的配慮だけでなくバッフルの共振を制御する音質面への効果を発揮するとしている。

ドライバー・ユニットを装着する独立バッフルには金属フレームを採用。複雑な音楽信号や大きな音量であっても歪の少ない正確な駆動をすることで、各ドライバー・ユニットのパフォーマンスを最大限に活かし、キャビネットの個性も十二分に引き出せるという。

キャビネットは、左右非対称型デザインの「エンハンスド・ライラ・シェイプ」を継承。内部並行面をなくすことでキャビネット内の定在波の発生を抑制し、内部共振を大幅に低減するとしている。

バスレフポートをキャビネット斜め後方に垂直方向の直線的ポートとして配し、内部並行面のないキャビネット形状と最適な吸音材配置をすることで、ドライバー・ユニットの背圧は全てキャビネット内で渦を巻くような螺旋の動きをしながらポートから排出。左右のスピーカー位置を入れ替えてポートの出口を外側、もしくは内側に向けることで、リスニングルームによって異なる様々な条件下に応じた低域のレスポンス、音楽の空間表現や定位感を最適に調整できるという。

バスレフシステム簡略図

前シリーズのOlympicaでは、ポート出口に多孔ステンレススチール・プレートのリフレクター板を設けることで、気流の反射・拡散を制御していたが、NOVAシリーズではアルミニウム押し出し成型のリフレックス・ポートを設けたStealth Ultra Reflex(ステルス・ウルトラフレックス)機構を採用。歪の原因ともなるポートから排出される気流の乱れを波状のポート出口構造で最適化しノイズを極限まで抑制し、低域の再現性を向上させたという。

CNC加工したアルミニウムプレートを取り付け、キャビネットの上下を挟み込む独自構造「エキソ・スケルトン・クランプ」では、キャビネットをダンピングさせ振動成分を抑制するとともに、天然木ならではの豊かな鳴りと適度に引き締まった低音を再生。脚部には新規設計のスチール製のスパイクを採用した。木製キャビネットの音響特性を引き出すため、悪影響を及ぼす床面からの不要な共振や振動成分をキャビネットに滞留させず、接地面に効率的に逃がすことで、淀みのないナチュラルな音楽を奏でるとしている。

ツイーターは28mm径シルク・ソフトドーム型「H28 XTR3」で、強靭なアルミニウム・ダイキャストのフレームに搭載したソフトドーム・ツイーターの頂点を部分的にダンピングさせ、ダイアフラムの逆相挙動を抑制。独自の「DAD(DampedApex Dome)テクノロジー」により、高域の透明感、伸びやかさをより発揮させるとする。磁気駆動回路にネオジム・キャップを設け、細部のダイナミクスが向上したという。

ツイーター「H28 XTR3」

ミッド・レンジとミッド・ウーファーは150mm径ペーパーコーン型「MW15 XTR2-04」で、同様の構造のものを使用。センターキャップは、独自の繊維素材をコーティングし、歪み制限を低減。ムービングコイルは銅クラッド・アルミニウム巻線(CCAW)で構成、特製銅合金によりムービング・マスが低減する事でダイナミクスが向上。磁界の応答性を維持しながらドライバーの可動範囲を広げ、低域再現の最適化を図ったとする。銅リングを備えたアルミニウム製フェーズプラグによりドライバー・ユニットのインパルス応答を改善しながら相互変調歪みを低減、ダンパーには高耐久なBIMAX特殊素材を使用。バスケットは強靭なアルミニウム・ダイキャストフレームにより、淀みのないナチュラルなサウンドを発揮するという。

ミッド・レンジ/ミッド・ウーファー「MW15 XTR2-04」

ウーファーは独自のサンドウィッチ構造の180mm径ペーパーコーン型「W18XTR2-12」。セルロース・パルプのシート 2 枚の間にシンタクティック・フォームを挟み込む構造は、軽量で高い応答性かつ高剛性を実現し重厚かつ引き締まった低域を再現。また、特に中・高域との音色のつながりに配慮した設計としている。ダンパーは高耐久なBIMAX特殊素材で、バスケットは強靭なアルミニウム・ダイキャストフレーム。

ウーファー「W18XTR2-12」

ネットワーク回路は「オマージュ・トラディション」や「アイーダII」に採用されている「パラクロス・トポロジー(位相幾何学)」に基づく設計。ソナス・ファベール初となる英Clality Capと共同設計したカスタムメイドのコンデンサなどを使用している。各ドライバー・ユニットの振幅/位相特性、空間/時間特性を最適化する一方、低周波数のインピーダンスを制御してアンプとのマッチングに配慮。高周波干渉を抑え、トランジェント特性を改善させることで、ノイズフィルターを押し下げる独自の設計で、ポテンシャルを存分に発揮できるという。

上段:Olympica Nova V、下段左からIII、I

Olympica Nova V

3ウェイ5スピーカーのフロアスタンド型。ツイーター「H28 XTR3」、ミッド・レンジ/ミッド・ウーファー「MW15 XTR2-04」各1基、ウーファー「W18XTR2-12」3基を搭載。周波数特性は32Hz〜35kHz。音圧レベルは90db。推奨アンプ出力は60〜400W(クリッピングなし)。クロスオーバー周波数は250Hz。インピーダンスは4Ω。

Olympica Nova V

外形寸法/重量(1本あたり)は、425×530×1,175mm(幅×奥行き×高さ/本体部、突起部含む)/46kg。スピーカー端子はバイワイヤリング対応端子(HIGH/LOW)。

Olympica Nova III

3ウェイ4スピーカーのフロアスタンド型。ツイーター「H28 XTR3」、ミッド・レンジ/ミッド・ウーファー「MW15 XTR2-04」各1基、ウーファー「W18XTR2-12」2基を搭載。周波数特性は35Hz〜35kHz。音圧レベルは90dB。推奨アンプ出力は50〜300W(クリッピングなし)。クロスオーバー周波数は250Hz。インピーダンスは4Ω。

Olympica Nova III

外形寸法/重量(1本あたり)は、380mm×460×1,105mm(同)/35kg。スピーカー端子はバイワイヤリング対応端子(HIGH/LOW)。

Olympica Nova I

2ウェイ2スピーカーのブックシェルフ型。ツイーター「H28 XTR3」、ミッド・レンジ/ミッド・ウーファ「MW15 XTR2-04」各1基搭載。周波数特性は45Hz〜35kHz。音圧レベルは87dB。推奨アンプ出力は35~250W(クリッピングなし)。クロスオーバー周波数は2.5kHz。インピーダンスは4Ω。

Olympica Nova I(Stand Olympica NOVA装着時)

外形寸法/重量(1本あたり)は、200×395×355mm(同)/10kg、Stand Olympica NOVA装着時は282×395×1,080mm(同)/17kg。スピーカー端子はバイワイヤリング対応端子(HIGH/LOW)。Iの推奨スタンドは既発売のStand Olympica NOVA(10万円/ペア)。