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アカデミー賞、'24年から作品賞に新基準。マイノリティの積極起用求める

アカデミー賞公式サイトより
(c)2019 Academy of Motion Picture Arts and Sciences

米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーは現地時間の8日、2024年から作品賞の選考に新たな基準を設けると発表した。主要キャストに黒人やヒスパニック系といったマイノリティを起用することや、制作陣の主要ポストに女性やLGBTQ+、障がい者を起用することなど、新設された4つの基準のうち、2つを満たさなければ作品賞の対象外となる。

なお、この新基準が適応されるのは作品賞のみ。そのほかの部門の選考基準については、従来のものから変更はない。また作品賞選考についても、アニメーション部門やドキュメンタリー部門、インターナショナル部門など一部カテゴリについては、個別に審査するという。

新基準は、アカデミー賞が掲げるより公平で包括的なコミュニティを目指す「ACADEMY APERTURE 2025」の一環として設けられたもの。作品賞選考にかかる作品は、2022年の第94回アカデミー賞から、新基準に関するフォームの提出が求められるが、正式に効力を発揮するのは2024年の第96回アカデミー賞から。

新たな基準はA~Dまでの4項目あり、このうち2項目を満たさなければならない。また各項目内にも複数の基準が定められている。

基準Aは作品のキャスティングやテーマに関するもの。全3項目が用意されており、このうちひとつでも満たすことができればクリアとみなされる。

具体的には主演・助演俳優のうち、最低1人はアジア系かヒスパニック、黒人、ネイティブアメリカン、中東出身者など白人以外を起用することや、それ以外の出演者のうち最低30%は女性か人種/民族的マイノリティ、LGBTQ+、障がいを持つ人々などを起用すること、作品のテーマ/メインストーリーとして、女性や人種/民族的マイノリティ、LGBTQ+、障がいを持つ人を取り上げることの3項目が用意されている。

基準Bは製作チームに関するもので、基準Aと同じく全3項目のうち、ひとつでも条件を満たせばクリアとみなされる。ここでは、ディレクターやプロデューサー、脚本、キャスティングディレクターなど製作チームの指揮を執るポジションのうち、少なくとも2名は女性か人種/民族的マイノリティ、LGBTQ+、障がいを持つ人を起用すること、1名はアジア系など人種的マイノリティを起用することが求められる。

また基準Bでは、技術系スタッフにも最低6名は人種/民族的マイノリティを起用すること、製作スタッフ全体の30%は女性や人種/民族的マイノリティ、LGBTQ+、障がいを持つ人などで構成されることなどが条件とされている。

そのほか基準Cでは有給インターンシップや人材育成、基準Dではマーケティングや宣伝に関わる部門で、女性や人種/民族的マイノリティ、LGBTQ+、障がいを持つ人を起用することなどが求められている。

新基準に関する発表のなかで、アカデミーのデビッド・ルービン会長とドーン・ハドソンCEOは「映画の制作陣と観客の両方に、多様性ある世界を反映させるために、間口を広げる必要がある。そして我々は、多様性ある世界を実現させるために重要な役割を担っている」とコメントしている。