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ヤマハ、耳の形状やピース装着具合に合わせ音質を自動補正「EP-E70A」

ネックバンドイヤフォン「EP-E70A」

ヤマハは、「Empower Lifestyle」シリーズのネックバンドイヤフォン「EP-E70A」を、9月30日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は29,800円前後。アクティブノイズキャンセリング機能や、ユーザーの耳穴の形状、イヤーピースの装着具合に合わせ、最高の音質で再生するという「リスニングオプティマイザー」を搭載するのが特徴。カラーはブラックとホワイト。

「EP-E70A」

また、昨年発表していたが、発売が延期になっていた完全ワイヤレスイヤフォンの上位モデル「TW-E7A」(オープンプライス/店頭予想価格は24,000円前)の発売日も、9月30日に決定している。ヤマハ独自の「リスニングケア」機能を搭載し、充電ケースはワイヤレス充電Qi(チー)に対応している。

完全ワイヤレスイヤフォンの上位モデル「TW-E7A」

EP-E70A

ネックバンドタイプのBluetoothイヤフォン。ヤマハの完全ワイヤレスイヤフォンにも採用されている「リスニングケア」を、さらに進化させた「リスニングケア(アドバンスド)」を新たに搭載する。

人間の耳は音量によって聴こえ方が異なり、特に小さなボリュームの時ほど低域と高域が聴きづらくなる。また、様々な環境音によってもコンテンツの音が聴き取りにくくなる。「リスニングケア」は、そういった音の聴こえ方の違いに着目し、音量毎に最適なバランスになるように補正することで、音量アップによる耳への負担を抑え、自然で聴きやすい音を再現するというもの。

例えば、小音量でも低音が聴き取りやすくなれば、低音が聴き取れないと感じて音量を上げていた人が、必要以上に音量を上げる必要が無くなり、耳の保護に繋がる事になる。

進化した「リスニングケア(アドバンスド)」ではさらに、音量だけでなく、再生しているコンテンツの“録音レベル”に合わせて、1msec毎の、ほぼリアルタイムに音量を算出し、音のバランスを調整。さらに自然な効果を演出するため、時間を掛けてゆっくり適用するようになっている。

また、本体に搭載したインマイクで、実際に耳に届く背景雑音を取り込み、背景雑音と信号の比率を解析。コンテンツの音量をインテリジェントに制御し、最適化する。

例えば、背景の雑音が多い時には、コンテンツの音量を少し上げて音楽を聴きとりやすくする。逆に、信号/雑音の差分が充分な時は、自動でコンテンツの音量を下げる。これにより、雑音が多いので手動でボリュームアップし、雑音が無くなってもその音量のまま聴き続けるような事がなくなり、耳への負担が抑えられる。

もう1つの新機能として「リスニングオプティマイザー」を搭載。耳の形状は、人によってことなり、同じ人物であっても右耳と左耳で形状が異なる。また、イヤフォンの場合、イヤーピースの装着状態によっても音の聴こえ方は変化する。

リスニングオプティマイザーはそこに着目。ハウジング内部にインマイクを搭載し、実際に耳の中で鳴っている音の伝達特性を常時測定。リファレンスとする伝達特性と比較し、違いがある場合には、リアルタイムにイヤフォンの左右それぞれの音を、理想的な周波数特性に自動的に補正する。これにより、「いつでも誰でもサウンドデザイナーがチューニングした理想的な音で音楽を聴くことができる」とする。

前述のリスニングケア(アドバンスド)と組み合わせる事で、最適な音量、最高の音質で音楽再生が可能という。

「アドバンスドANC(アクティブノイズキャンセリング)」機能も搭載。独自のプロセッシングによるANCで、一般的なANCがノイズ成分だけでなく、音楽信号にもキャンセリング処理をかけてしまうのに対して、アドバンスドANCでは、インマイクで拾った音を音楽信号とノイズ成分に分け、ノイズ成分にだけキャンセリング処理を施している。

これにより、音楽信号の劣化を防ぎ、本来の音楽表現を保ちながらの、高精度なNCを実現したとする。外の音を取り込むアンビエントサウンド機能も搭載する。

装着性を高めるために、ネックバンド部分の形状や硬度、重量バランスなどを考慮。長時間でも快適に使用できるという。バンド部分のボタンは、左右どちらの手でも操作しやすく、ブラインド操作ができるように配置。

イヤフォン部分には、ユニットと2つのマイクを包み込むようなデザインを採用。ティアドロップ形状や、音導管、ブッシュの角度にこだわり、装着感を高めている。パーツのカラーやテクスチャーの質感などにもこだわった。ユニットは9.2mm径のダイナミック型。

Bluetoothのコーデックは、SBC、AAC、aptX Adaptiveに対応。有線ケーブルも付属しており、有線イヤフォンとして使うこともできる。

スマホ向けにアプリ「Headphones Controller」を用意。前述の「リスニングケア(アドバンスド)」や「リスニングオプティマイザー」などの操作や、バッテリー残量の確認が可能。SiriやGoogleアシスタント機能の起動も可能。

フル充電で約18時間使用可能。10分の充電で、約1.5時間使用できる急速充電にも対応する。充電端子はUSB-C。重量は62g。

実際に聴いてみる

気になる新機能の「リスニングオプティマイザー」と「リスニングケア(アドバンスド)」を体験してみた。

まずリスニングオプティマイザーだが、当然ながらベストフィットするサイズのイヤーピースを取り付け、しっかりと耳に挿入した状態では、あまりON/OFFの違いがわからない。逆に、いつもより少し小さめのイヤーピースを装着してON/OFFすると、わずかに、低域が深く、音の輪郭がクッキリしたように感じる。低音が一気に増えてブオンブオンした音になる……というような強烈な違いではないが、逆にそこが好印象だ。

次に「リスニングケア(アドバンスド)」をONの状態にして、地下鉄に乗り込む。地下鉄の構内に入る前に外にいる時の聴こえ方と、地下鉄に乗り込んで轟音に囲まれている時の聴こえ方を比べてみると、ボーカルなど音楽の重要な要素の聴き取りやすさの変化が少ないように感じる。ただ、移動に合わせてリニアに、徐々に変わっていくので、自然過ぎて変化の量がわかりにくい。

そこで、静かな自室でスピーカーから地下鉄の騒音を大ボリュームで流し、急に騒音を止めたり、また大ボリュームで流しながら確認してみた。すると、騒音を大ボリュームにした瞬間は、騒音が耳に侵入してきて音楽が聴き取りにくくなる。だが、少し待っていると、ボーカルや楽器がグッと前に出てきて、音楽が聴き取りやすくなったのが実感できた。

全体の音質としては、高音から低音までバランスが良く、音の色付けも少ない。モニターライクで、ヤマハらしいサウンドだ。聴く音楽を選ばず、低域もしっかり出るため、迫力のある音楽も難なく再生できる。音の純度も高く、細かい音も聴き取りやすい。多彩な補正機能を備えてはいるが、音の純度は高く、質感や微細な表現がマスキングされるような事もない。実力派イヤフォンだ。