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ヤマハ、イヤフォン/ヘッドフォン市場本格参入。完全ワイヤレス「TW-E7A」
2019年11月11日 13:13
ヤマハは、完全ワイヤレスイヤフォン「TW-E7A」「TW-E5A」「TW-E3A」と、Bluetoothイヤフォン「EP-E50A」「EP-E30A」の5モデルを12月より順次発売する。価格はすべてオープンプライスで、「TW-E7A」の店頭予想価格は24,000円前後。発売時期はTW-E7Aが2020年2月、TW-E5AとTW-E3Aが2019年の12月。BluetoothイヤフォンのEP-E50Aは2020年2月、EP-E30Aは2019年の12月。
各モデルの店頭予想価格は以下の通り。
- TW-E7A 24,000円前後
- TW-E5A 15,000円前後
- TW-E3A 10,000円前後
- EP-E50A 15,000円前後
- EP-E30A 5,000円前後
ヤマハならではの「音・音楽のリアリティー表現」にこだわったという新製品。完全ワイヤレスの「TW-E7A」とBluetoothイヤフォン「EP-E50A」にはノイズキャンセリング機能を搭載しており、QualcommのオーディオSoC「QCC5124」を使っている。
全モデルに、ヤマハ独自の「リスニングケア」機能を搭載。人間の耳は音量によって聴こえ方が異なり、特に小さなボリュームの時ほど低域と高域が聴きづらくなる。また、様々な環境音によってもコンテンツの音が聴き取りにくくなる。「リスニングケア」は、そういった音の聴こえ方の違いに着目し、音量毎に最適なバランスになるように補正することで、音量アップによる耳への負担を抑え、自然で聴きやすい音を再現するというもの。
例えば、小音量でも低音が聴き取りやすくなれば、低音が聴き取れないと感じて音量を上げていた人が、必要以上に音量を上げる必要が無くなり、耳の保護に繋がる事になる。
全モデルに、ヤマハの楽器をモチーフにした曲線的な美しいデザインを採用。「長い間使い続けても飽きのこない、シンプルかつ質感高く仕上げた」という。
チューニングの方向性は、「どの音量で聴いても音の情報量をしっかり保ちながら、ボーカルや楽器などの1音1音がクリアに聴こえるようにしたうえ、開放的に鳴らすことで、音・音楽の躍動感を表現する」という。
全モデル、専用アプリ「Headphones Controller」に対応。前述の「リスニングケア」機能をオン/オフできるほか、オートパワーオフの設定、バッテリー残量の確認などもアプリから行なえる。Siri/Google Assistantにも対応。音楽を聴く基本操作などを、音声で操作できる。
完全ワイヤレスの3機種
完全ワイヤレスの3機種TW-E7A/TW-E5A/TW-E3Aは、Qualcommの「TrueWireless Stereo Plus(TWS+)」に対応。スマートフォンなどの送信側が、左右のイヤフォンに直接音声データを伝送でき、従来の完全ワイヤレスと比べ音切れしにくく、快適かつ長時間のリスニングが可能という。ただし、スマホ側がTWS+に対応している必要がある。
マイクを内蔵し、外の音を取り込む「アンビエントサウンド」機能も搭載する。
イヤフォン部の流線形のフォルムは、耳にフィット。耳の形に合わせてサイズが選べるイヤーフィン付きシリコンスリーブを用意。装着性をアップさせ、音・音楽がより聴きやすくなるほか、耳から落ちにくくなるという。
ハウジングはいずれも密閉型。ユニットの口径は、W-E7AとTW-E5Aが6.2mm、TW-E3Aは6mm。Bluetoothのコーデックは、SBC、AAC、aptXに対応する。再生周波数帯域は20Hz~20kHz。
サウンドは「躍動感の表現に加え、締まりのある低域再生や、1音1音の密度感を高めることでアーティストや制作者の意図や想いをありのままに表現する」という。
完全ワイヤレスモデルはさらに、JIS防水保護等級IPX5相当の生活防水に対応。突然の雨や汗、水しぶきなどに耐えられる。
充電時間は2時間、再生時間は最大28時間。E7Aでノイズキャンセリング機能を使った場合は最大20時間。付属の充電ケースで、3回の充電が可能。
E7Aの充電ケースはワイヤレス充電のQiに対応しているので、市販のワイヤレス充電器を使い、イヤフォン本体を充電ケースに入れたまま、充電器に置いておくだけで充電できる。
カラーバリエーションは、TW-E7Aがブラック、ホワイト。TW-E5AとTW-E3Aがブラック、ホワイト、スモーキーブルー、スモーキーピンクを用意する。
EP-E50A/E30A
EP-E50Aは9mm、E30Aは8.6mm径のユニットを搭載。コーデックはSBC、AACに対応するほかE50AはaptXもサポートする。再生周波数帯域は20Hz~20kHz。
充電時間は2時間、再生時間はE50Aが最大11時間、E30Aは最大14時間。EP-E50Aでノイズキャンセリング機能を使った場合は最大9時間。
カラーバリエーションはどちらのモデルも、ブラック、ホワイト、スモーキーブルー、スモーキーピンクを用意する。
「リスニングケア」で音楽を楽しみながら、耳をいたわる
ヤマハミュージックジャパン AV・流通営業部の野口直樹氏は、グローバルで1兆円規模となったヘッドフォン・イヤフォン市場について、「大きな市場だが、まだ成長している。本来、製品の量が増えると単価は下がっていくものだが、非常に変化が激しいスピードでまわっており、単価は上がっている。フルワイヤレスのイヤフォンは、1万円を切るものもあるが、1万円台半ば、2万円以上の製品も活発という珍しい市場」と分析。
そんな中に、ヤマハは再参入させていただくが、今回お客様に対して、リスニングケアなどヤマハならではの価値を提供できる機能を開発した」と説明。若い世代へと新製品をアピールし、サウンドバーやAVアンプ、Hi-Fiオーディオなどへとステップアップしてもらう未来像を描いた。
また、リスニングケア機能と関連し、須山歯研代表で、セーフリスニング事務局の須山慶太氏も登壇。須山氏は、イヤフォンで音楽を聴きながら自転車を運転しての事故や、過大な音を長時間聴く事による聴力への影響など、ポータブルオーディオの危険性について説明。
スピーカーとは異なり、イヤフォン・ヘッドフォンでは、どんな音量で聴いているのか、他の人からはわかりにくいため、大音量で聴いていても注意されにくい事、学校で耳や聴覚について学ぶ機会が無い事、大音量で聴いてもすぐに影響が出ず、20年、30年先に影響が出る事などが、ポータブルオーディオの危険性を知りつつも、対策をしていない人が多い理由として挙げた。
須山氏はさらに、WHOでも対策への議論がスタートしている事を紹介。「1週間に許容される音圧と時間は、80dBで40時間までとし、音量は以前から注意点として言われていたが、聴く時間にも配慮を求めた勧告は画期的だった」と評価。
その上で、「ボリュームをとにかく小さくした方が良いんでしょ? いっそのこと聴かない方がいいんでしょ? と、誤解している人もいる。そうではなく、本来音楽が表現されるべきバランスで聴いてほしい。そのためにはどんなことをすればいいのか。ボリューム下げると、低音や迫力、臨場感が無くなる。そこで、聴覚特性を基に、音量により音質調整を行なう。等ラウドネス曲線を使い、ボリューム絞っても、低い音がしっかり感じられるようにするといった対策は有効。リスニングケア機能だけで全てが解決するわけではないが、音楽を犠牲にしない、十分に楽しめる範囲で聴覚保護も両立していく事が大切」と語った。
WONKとのコラボが実現
このヤマハイヤフォンと、アーティスト・WONKの特別コラボレーションが実現。この企画により制作した新曲「Signal」と、その完全版ミュージックビデオが、YouTubeで公開された。
発表会にはWONKのメンバーも登場。「メンバー全員が、ヤマハの楽器などで子供の頃から触れてきた思い出深いブランド。コラボレーションできて、メチャクチャ嬉しかったです」と喜びを語った。
メンバーの荒田洸氏は、イヤフォンの音質について「リバーブなどがめっちゃキレイに聴こえ、高音もキレイに聴こえて、なおかつ耳に痛くない。その空気感・世界観が、今回の楽曲にもマッチしていて良かった」。
井上幹氏は、「歌詞の内容は、空の上の世界と、下の世界、それが入り交じるというものです。映像でもそれを表現したいと、ダンサーのいる世界、我々が演奏している世界が入り混じっていく。音楽作る側と、聴く側が混じっていくというアイデアを、監督に僕らの方から提案させていただいた」と振り返る。
撮影にはロボットアームを導入。同じアングルで何度も撮影し、その映像を重ねていく手法が採用されている。江﨑文武氏は、「同じ時間軸で音を重ね、音楽を作っていくのと似ている」と指摘。江﨑氏は、「4歳からヤマハのピアノレッスンでピアノを習い、18歳で上京するまで習っていた。今回の撮影でもヤマハのグランドピアノを使い、楽器メーカーとしてアーティストを支えてきた事にリスペクトした」という。
なお、井上氏と江﨑氏は大のイヤフォンマニアとのこと。音質について井上氏は、「私はミキシングエンジニアも担当し、いろいろなイヤフォン・ヘッドフォンを試してきたが、ワイヤレスの普及に伴い、音質が見捨てられてきたと感じていた。今回試聴したところ、良い意味で最近の流行りじゃないなと感じた。低音ガッツリ出すとかではなく、エンジニアが正しい音を聴きたい時の音に感触が近い。細部まで音楽がわかるように、細かく作り込まれていると感じる。業界標準であるヤマハのスタジオモニターの音に近い感じがする」と分析。
江﨑氏は「Qualcommの新しいチップを採用して再生時間が長くなっているとか、充電ケースの端子がUSB-Cなのも良い。ポケットに入れてもかさばらないデザインもポイント。コスパも高い」と評価した。
長塚健斗氏は、「いろいろなイヤフォンがある中で、独自性、利便性、デザイン性を兼ね備えた完成度の高いものはなかなか無い。みなさんにもこの完成度の高さを体感してほしい」と魅力をアピールした。