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堤監督作「アレク氏2120」主人公はSPECホルダー。山寺は“聴く映画”を熱弁

会見に登壇した窪塚洋介、梶裕貴、山寺宏一

19日に開催されたAmazon オーディオブック「Audible」発表会のなかで、「池袋ウエストゲートパーク」や「TRICK」、「SPEC」などを手掛けた堤幸彦監督による“聴く映画”「アレク氏2120」の制作記者会見が行なわれ、同作に出演した声優の梶裕貴や山寺宏一、俳優の窪塚洋介などが登壇。「今までにないもの、見たことがないものに仕上がった」と魅力を語った。

キービジュアル

本作は、ナレーターや声優が朗読した本をアプリで聴ける「Audible」内で配信される音声作品。全12話で構成され、1~3話の配信がスタートしている。月額1,500円(税込)のAudible会員は追加料金なしで聴くことができ、非会員でも6,000円(税込)で購入できる。

配役相関図

Echo大好きな普通の大学生、西門慧(梶裕貴)のAlexaに、2120年の未来からやってきたAI刑事(デカ)のアレク氏(山寺宏一)がタイムトラベルして棲みついてしまう。アレク氏は同じく2120年からやってきているAI犯罪者のASKR(窪塚洋介)を捕まえるため、手助けするように慧に協力を頼む、というストーリー。三石琴乃や尾上松也、伊藤歩、波岡一喜、竹中直人なども出演する。

【Audibleオリジナル】11月19日公開!アレク氏2120 Behind the Scenes

制作会見には梶、山寺、窪塚の3名に加え、西門らに協力する女刑事、高樹聡子を演じた三石が声のみで登場。オファーを受けたときの心境や、収録の様子、作品の魅力などを語った。

なお、堤監督は多忙とのことで、トークセッションには参加できず、フォトセッションにのみ参加。本作については「今まで40年間くらい、いろいろなストーリーをカメラを通じて撮ってきましたが、今回は聴く方の頭の中に、今までカメラで表現していたことをどれだけ描けるか、ということで、今後また仕事を続けていく上の第一歩のような気がしています」とコメントを寄せた。

主人公を演じた梶は「堤監督作品がもともと好きで拝見させていただいていましたし、以前朗読劇など別のお芝居でご一緒させていただいたことがありました」とオファーを受けたときの心境をふり返る。

「今回、本当にがっつりと、ひとりの主人公としてドラマに関わらせていただいて、本当に楽しかったですね。僕たちは普段から声の仕事を専門にやらせていただいていますが、今回の“聴く映画”で、かなりのボリューム感を持って堤ワールドを体感できて、本当に楽しかったですし、うれしかったです」

山寺は、堤監督からオファーを受け、「20世紀少年を始め、いろいろと堤監督にはお世話になっています。映画に声だけ出演したこともあります。そんな堤監督からオファーが来たときは、本当にうれしくて。しかも音声によるエンターテインメント。『こういうものを待っていました!』と意気込んで、やらせていただきました」と心境を明かした。

窪塚は「監督が大阪に来たときに、ふたりでお酒を飲んでいるときにオファーを受けました」と当時をふり返る。

「そのときは、ちょっと食い気味に(出演すると)即答しましたね。普段、映画などはどんなに親しい監督であっても、台本を読ませていただいてから返事するようにしていましたが、(アレク氏2120が)聴く映画で、堤監督にとっても新しい挑戦だと聞いて、気分が盛り上がってしまい、食い気味に快諾させていただきました」

三石も「私も即決でした」と窪塚に同意。「オファーを頂いたとき、『え、あの堤幸彦監督!? トリックの堤監督!?』みたいな気持ちになって即決でした。それからは台本が手元に来るのが待ち遠しくて仕方がなかったですね」と当時の心境をふり返った。

「人の想像力を舐めるな!」。山寺、“聴く映画”の可能性を熱弁

本作は映像がなく、音だけで届ける作品のため、ドラマや映画の撮影、アニメのアフレコなどとは違った苦労があったといい、梶は「エンタメ映画であり、アクション映画でもあるので、叫ぶシーンが多く、身体のコンディションを保つのが大変でしたね」と明かした。

「あと(主人公の慧は)仏教系の大学に通っているという設定で、般若心経を唱えるシーンがありました。それを教えてもらいながら唱えつつ、慧くんの心境や、置かれている状況によって、リズムやボリューム、ニュアンスを変えるので、そこに変化をつけるのが難しかったですね」

「この般若心経が『アレク氏2120』の大事な要素になってくるので、集中して頑張りました」

山寺が演じたアレク氏は「語尾がおかしい」とのことで、「“おじゃる”とか、語尾が無茶苦茶なんです。台本を頂いてから、とにかくずっと語尾の練習だけしていました」という。

「いろいろな方言も混ざってくるんですよ。関西弁が出て、九州弁が出たと思ったら、また急に“おじゃる”に戻ったり。楽しかったですけどね。あとアレク氏が少し故障する場面では、(台本に)『…』が続いていて、これをどう表現すればいいんだと。セルフでやりきったので、ぜひ聴いていただければと思います」

ちなみに、山寺が演じたアレク氏のイントネーションはAmazonの音声アシスタント「Alexa」と同じとのこと。

窪塚が演じるASKRはAIのため、「普段より(声の)トーンを落として演じました。普段使わない声なので、少し苦労しましたね」と収録をふり返った。

最後に梶は「ようやくアレク氏2120をお披露目できて、嬉しく思っています。脚本が本当に面白くて、尊敬する先輩方との時間は本当に素敵なものでした」とコメントすると、「先ほど般若心経がキーになると言いましたが、実は慧くんは『SPECホルダー』なんです」と明かした。

「いち視聴者として『SPEC』を拝見していたので、その世界の一部になれたのは夢のような話。どんな能力なのかは、今後の展開を聴いていただければと思います。そして、このアレク氏2120の続きが生まれるような日を心待ちにしておりますし、ほかの作品でもAudibleの文化が根づいてくれればと思います」

山寺は「映像化不可能と言われる作品でも、音声化はできる。人の想像力、舐めんなよ!ってことが言いたいんです(笑)」と“聴く映画”の可能性を熱弁。「この作品はバディものでもあり、SF要素もあり、AIもあり、いろいろと楽しく、面白い作品。奥に深いものもある極上のエンターテインメントだと思う。ながら聴きでも、イヤフォンで没入しても、思い思いに楽しんでほしい」と続けた。

窪塚は「新しい可能性、世界を感じられます。聴いて頂ければ「こういうジャンルがあったのか」と、新しい未来に向かっていくきっかけになると思っています」とコメント。三石は「2~3話とつながったときの疾走感がすごい。聞き所も満載。高樹聡子のキラキラしたセリフにも、ご注目いただければと思います」と語った。

フォトセッションには堤幸彦監督(右端)も姿を見せた