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火星で小型ヘリ初飛行へ。NASAが4月8日以降に実施
2021年3月25日 18:00
NASA(アメリカ航空宇宙局)は現地時間の3月23日、火星探査車「Perseverance」に搭載している小型ヘリコプター「Ingenuity」の初飛行を、4月8日以降に実施すると明らかにした。初フライトの模様は、火星探査車Perseveranceに搭載されているカメラなどで撮影され、地球に送信される予定。
「Ingenuity」は重さ4ポンド(1.8kg)、高さ19インチ(0.49メートル)、太陽光発電機能などを備えた小型ヘリコプター。コンピューターやナビゲーション用センサー、カラー撮影用と白黒撮影用のカメラを各1基ずつ搭載し、火星探査車の底部に格納されている。
火星の重力は地球の1/3ほど、大気密度も地球の1%ほどの濃さしかなく、日中の太陽光充電量は地球の半分、夜間は気温がマイナス90度まで低下し、保護されていない電子パーツが凍結・破損する恐れもあるなど、火星でのヘリコプター飛行は地球上での飛行より、遥かに難しいという。
火星探査車に搭載しながら、地球とは異なる火星の環境でも飛行できるよう、Ingenuityは小型軽量に設計されており、極寒の夜を超えられるように、限られた充電量でも動作するヒーターなどが内蔵されている。
現在、Ingenuityを載せた火星探査車Perseveranceは、ヘリコプターが発着できる広さ(10×10メートル)の“飛行場”まで移動中。目的地に到着後は火星時間で6日間(地球時間で6日と4時間)をかけて発射シーケンスを実施する。
Ingenuityは、充電や着陸脚の展開などのシーケンスを経て、すべての準備が整ったあと、火星での初フライトを実施。ローターを2,537rpmまで回転させ、1秒あたりに3フィート(1メートル)ずつ高度を上げて、最終的には地表から10フィート(3メートル)上空を最大30秒ほどホバリングする。
初フライトの模様は、火星探査車Perseveranceに搭載されているナビゲーションカメラやマストに備えられたカメラなどで撮影され、地球に送信される予定。その後、数日をかけてIngenuity内のデータや搭載されたカメラたちの映像が地球に送信される見込みとなっている。