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JVCケンウッド、HUDの二重像を軽減する新技術
2021年4月9日 15:40
JVCケンウッドは、ADAS(先進運転支援システム)として普及の進むヘッドアップディスプレイ(HUD)において、従来の特殊ガラスを使わずにフロントガラスの表裏で生じる二重像を軽減する技術を開発したと発表した。
HUDは、速度やナビゲーション他、ドライバーに必要な各種情報をフロントガラスに映し出すことで、計器類に視線を移動することなく確認できる表示装置。今後の自動運転やAR(仮想現実)といった先進技術と融合することにより、ADASとしてさらなる発展が期待されている。
一方で、フロントガラスの構造上生じる二重像などの低視認性が課題となっていた。今回、JVCケンウッドでは、培った映像技術や光学技術、車載技術を活用することで、これを解決する新たな技術を開発したとしている。
従来のHUDは、ダッシュボードから画像を投射し、フロントガラスの反射を用いて画像を映し出す方式で、前方視界を妨げないようガラス面に反射膜などを追加することができないため、ガラス自身の表面反射を利用することになり、その裏面の反射が二重像の原因になっていたという。
それを防ぐために表裏面にわずかな角度をつけたくさび型特殊ガラスを用いる場合、車両の組み立てラインでの実装が不可欠なほか、フロントガラスのコストアップの要因となっていたとしている。
JVCケンウッドが新たに開発した技術では、ガラス表面反射と裏面反射の光路を最適にする設計を施すことで、フロントガラスに用いられている平行ガラスの表裏反射光の光軸を一致させる条件と、HUDとして必要な表示画像の位置、距離、画角等の条件をほぼ両立。人間の視覚特性上も違和感の少ないHUD表示を実現したとしている。
また、従来の凹面鏡に新たな光学部品を追加する手法と違い、従来のHUDと同等の光学部品構成で二重像の軽減を可能にしたという。
これにより、高価なくさび型特殊ガラスが不要となり、HUDトータルシステムとしてコストダウンを実現することから、普及価格帯車両への適用も想定。従来のフロントガラスが使用できるため、車両組み立てライン以外での装着も期待できるとする。
JVCケンウッドは、今後も本技術の開発をさらに進めることで、アフターマーケット市場および自動車メーカー、車載機器メーカーに対して本技術の提供を図るだけでなく、エンタテインメントやサイネージでの活用など車載用途以外での展開を目指すとしている。