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NHK技研、“曲がる”有機ELディスプレイ実現に向け新材料開発

(C)NHK

NHK放送技術研究所は5月12日、巻き取りや折り曲げができる大画面フレキシブルディスプレイの実現を目指して有機ELの研究開発を進めるなかで、世界で初めて電子注入の動作機構を解明するとともに、さらなる高性能化が可能な新規電子注入材料を、日本触媒と共同で開発した。

有機ELでは、発光層に電子を注入するため、陰極と発光層の間に存在する約2eVのエネルギー差をゼロにする必要がある。新たに開発した電子注入材料により、陰極や有機材料との化学結合を利用して、エネルギー差をゼロにできることに成功した。

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さらに従来の有機ELにおける電子輸送材料は、電子を輸送する役割よりも、エネルギー差を約1eV減らす役割が大きいことも解明。これらの発見により、新規電子注入材料を用いれば、電子輸送材料を必要とせず、発光層に直接電子を注入できるという。

この新規電子注入材料により、有機ELの長寿命化、省電力化に寄与するだけでなく、従来必要だった電子輸送材料が不要となることで有機ELの構造を簡素化できるようになる。

この研究成果は5月11日、Nature Communications誌に掲載。同研究所は「今後も大画面フレキシブルディスプレイの早期実現・実用化に向け研究開発を加速していきます」としている。