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AK史上初、“DACモジュール交換できる”「A&futura SE180」

「A&futura SE180」

アユートは、Astell&Kern史上初となる、“DACモジュールを交換できる”ポータブルオーディオプレーヤー「A&futura SE180」を5月21日に発売する。価格は209,980円。カラーはMoon Silver。同日に、専用DACモジュール「SEM2」を49,980円、リアルレザーケース「SE180 Case」も14,980円で発売する。

「一般的なHi-Fi製品には見られない楽しさをユーザーに伝えたい」との考えで開発されたもので、最大の特徴が、DACモジュールを差し替えることで、ユーザーがサウンドをカスタマイズできる事。AKブランドでは昨年、ESSとAKMの2種類のDACを内蔵し、切り替えられる「A&futura SE200」が発売されているが、それをさらに発展させ、DACモジュールとして交換可能にしたのがSE180となる。

DACモジュールを引き抜いて交換できる

DACモジュールを交換する事で、モジュール毎に異なるDACとアンプの構成、チューニング、出力端子を使うことができる。

モジュールは本体上部から引き抜いて交換する。「ダブルロック機構」を採用しており、1つ目のロック機構で本体とモジュールを取り付け、2つ目のロックで本体とモジュールがしっかりと固定されたことが確認できるようになっている。このダブルロック機構により、オーディオ部分の確実な接続を実現。外部から衝撃を受けた際の接続不良も防止するため、本体内部にバネで支えられたコネクターを採用。強固な接続を徹底。各パーツ間に滑らかなラインを描き、「2つのパーツが混在していることを感じさせないデザイン」も追求した。

SE180に標準で付属するモジュール「SEM1」には、8ch DACのESS製「ES9038PRO」をシングル構成で搭載。広いダイナミックレンジとシャープなディテールを実現すると共に、PCMで最大384kHz/32bit、DSD 11.2MHzまでのネイティブ再生が可能。出力端子は3.5mm 3極アンバランス×1、2.5mm 4極バランス×1、4.4mm 5極バランス×1を備えている。

標準で付属するモジュール「SEM1」

交換用DACモジュールとして同時発売される「SEM2」には、旭化成エレクトロニクスの「AK4497EQ」をLR独立させたデュアル構成で搭載。標準付属の「SEM1」(ES9038PRO×1)とは異なるサウンドとオーディオ性能が楽しめる。SEM2を接続した場合は、PCMで最大768kHz/32bit、DSD 22.4MHzまでのネイティブ再生が可能。出力端子は同じで、3.5mm 3極アンバランス×1、2.5mm 4極バランス×1、4.4mm 5極バランス×1を備えている。

「SEM2」

DACモジュールには、Astell&Kernが開発した、主要回路を一体化したサウンドソリューション「TERATON ALPHA(テラトン・アルファ)」が組み込まれている。効果的なパワーノイズ除去、効率的な電源管理、歪を最小限まで抑えた増幅などにより、オーディオ出力インターフェースから元の音に近いオーディオ再生を実現するという。

本体とオールインワンモジュールを物理的に分離することで、本体から発生する可能性のある電源ノイズやRFノイズを完全に遮断する効果もある。ノイズが音楽再生の妨げにならない独立した構造を実現したという。

次世代のアンプテクノロジーも採用。オペアンプの選定から回路設計、基板レイアウト、チューニングに至るまで一新させ、出力を上げながらSN比を向上させるという課題をクリア。SE180では、SN比129dBを実現。ノーマルゲインとハイゲインの切り替えも可能。

5型フルHDディスプレイを搭載。Androidスマートフォンと同等の操作性を実現するとして、AKのプレーヤー初となるナビゲーションバーを搭載。ワンタッチで簡単にナビゲートでき、どの画面からでも音楽再生情報を確認、操作できる。新しいワンスワイプ機能により、スワイプで前の画面に戻る事も可能。

音楽ファイルの転送も便利になった。新機能「AK File Drop」により、同じネットワーク上にあるPCやスマートフォン、FTPプログラムなどを使用して、ワイヤレスで自由にファイル転送できる。音楽ファイルの管理がワイヤレスで行なえる。

Bluetooth5.0を搭載し、コーデックはSBC/AAC/aptX HD/LDACに対応。新機能として、「BTSink」を搭載。スマートフォンなどの外部機器からの音楽を、BT Sinkを使い、SE180で受信し、SE180から再生できる。

ストレージは、内蔵メモリが256GB。microSDカードスロットも備え、最大1TBのカードに対応する。USB Type-Cによる急速充電、高速データ転送に対応。USB-DAC機能も用意する。

DLNAを使ったネットワークオーディオ再生「AK Connect」にも対応。MQAフォーマット音源も再生できる。

モジュールを装着した状態での外形寸法は、137×77×19.9mm(縦×横×厚さ)。重量は約280g。SEM1の再生時間は約10.5時間で、重量は100g。

「A&futura SE180 Case」は、プレーヤー全体を包み込むフルガードタイプのケース。Minerva製のベジタブルタンニングレザーを採用し、使い込むほどに艶が出るという。カラーはBlack、Navy。

A&futura SE180 Case

ファーストインプレッション

気になる標準付属のDACモジュール「SEM1」と、交換用DACモジュール「SEM2」の比較試聴をしてみたので、印象を簡単にお伝えしよう。

前述の通りSEM1には8ch DACのESS製「ES9038PRO」をシングル構成で搭載。SEM2には、旭化成エレクトロニクスの「AK4497EQ」をLR独立させたデュアル構成で搭載する。

サウンドはDACチップだけで決まるものではないが、SEM1とSEM2を付け替えると、明らかに音が違う。ESSを採用したSEM1では、清涼感のある、凛とした音場が出現。その音場で、情報量の多い繊細な描写が展開。シャープで現代的なサウンドで、やや冷たい印象も受けるが、打ち込み系楽曲のソリッドさや、シンプルな女性ボーカルの細やかな表現は一級品だ。

旭化成エレクトロニクスのDACを使ったSEM2を取り付けると、音がアナログ寄りになり、低域の押し出しが強く、熱気のようなものを感じるサウンドになる。SEM1の硬質な描写とは異なり、どこかホッとするような、あたたかい質感描写で、アコースティックギターやボーカルの声の自然さなどを感じる。

それでいて、“音が古臭い”とか“ナローだ”というわけではない。アナログライクなあたたかさがありながら、情報量は多く、パワフルな低域の中にも細かな音の描写が見える。スイングしたくなるようなジャズや、ロックのライブ録音など、情熱的なサウンドにはSEM2を選びたい。