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「Xperia 5 III」、チューニングでスピーカー音質向上。360RA再生も

Xperia 5 III

4月に「Xperia 1 III」「Xperia 10 III」と同時に紹介動画に登場していた「Xperia 5 III」が、日本でも11月中旬以降に発売決定した。日本限定カラーのフロストブラック、フロストシルバーも用意され、グリーン、ピンクと合わせて4色展開となる(ソフトバンクはピンクを除いた3色展開)。触れる機会を得たので、実機の写真と音質を紹介する。

Xperia 1 IIIよりもコンパクトな157×68×8.2mm(縦×横×厚さ)のボディに、Xperia 1 IIIとほぼ同等のカメラ機能、バッテリーを搭載。チップセットも同じくQualcomm Snapdragon 888を搭載している。

写真はドコモ版。左からピンク、グリーン、フロストシルバー、フロストブラック
Style Cover with Stand
本体裏面
本体側面
本体側面
Xperia 1 III(右)との比較
Xperia 5 IIIの方が丸みを帯びた仕上げになっている

リアパネルの共振を減らすチューニングでスピーカー音質向上

今回、Xperia 5 IIIのオーディオ面についての解説と、短い時間だが試聴もできたので、ファーストインプレッションをお届けする。

Xperia 5 IIIのオーディオ面での進化点は、イヤフォン出力においてXperia 1 III同様のテクノロジーを搭載し、音圧が40%向上していること。低域にかかる歪を低減することで、Xperia 5 IIよりも音がクリアに聴こえるようになった。

イヤフォンジャックは本体上部に装備

実際に聴いてみると、ドラムのキックとベースの低音の中で鳴っているシンバルの音が、Xperia 5 IIIの方がよりシャープに聴こえ、様々な楽器が入り乱れているようなシーンでは、楽器ごとの音がより分離して聴こえるようになっており、解像感が上がっている。

しかしながら、差としてはそこまで大きい物ではない。Xperia 1 IIとXperia 1 IIIの時もそうだったのだが、人の聴覚では聴きわけることのできない歪を取り除く処理が施されており、その影響でわずかに解像感が上がったように感じられるのだという。なので、わかりやすい変化は、良い音質でより大音量でも楽しめるようになったという部分の方だろう。

本体スピーカーは、音圧40%向上の記載がなく、スペックを見る限りでは変化が無いように見えるが、こちらも調整が施され、音質が向上している。ハード面の変更はないものの、チューニングによって音質をXperia 1 IIIに近づける処理が施された。

スピーカーユニットは前方に音の振動を出すと同時に、後ろ側にも振動を出しているため、スマホのスピーカーで音を出すと、スマホのリアパネルがそれを受けて振動する。実際にスマホを横持ちして音を出し、音量を上げていくと、手に振動が伝わってくるのが分かるだろう。

Xperiaシリーズでは、本体を縦持ちした際の下側部分のスピーカーを、専用のエンクロージャーに入れることで、このリアパネルに伝わる振動を低減。この振動によって発される余分な音を防いでいたのだが、上位機種のXperia 1 IIIでは、その反対側、つまり、本体を縦持ちした際の上部のスピーカーにも、同じように専用のエンクロージャーを設けることで、共振によるリアパネルの振動をさらに低減し、クリアな音質を実現していた。

一方で、今回のXperia 5 IIIはボディサイズなどの都合上、Xperia 1 IIIと同じ仕組みを導入することができなかったという。そこで、ハード面は変えずにチューニングによって、リアパネル全体が最も共振してしまう帯域を減らすことで、Xperia 1 IIIの音質に寄せる改善を行なったという。

一部の帯域を減らすと聞くと、音全体のバランスが変わってしまうのではないかと思ってしまうが、前機種のXperia 5 IIと、Xperia 5 IIIを聴き比べてみても、高音や低音が目立ってるとか、中域が強くなってボーカルがだいぶ目立つようになったとかいったような、音の全体的なニュアンスにはあまり変化が感じられない。

同じような方向性の音作りで、Xperia 5 IIではぼんやりとしていたギターの響き方や、音が混ざっている印象のあったベースとドラムの低域部分などが、Xperia 5 IIIではクリアになり、楽器の音がしっかりと分かれた上で重なっているように聴こえる印象だ。

リアパネル側の振動によって発せられる音は、ぼんやりとした低音の成分が多い。その発生を最低限に抑え、スピーカーから発する低域を少し強めることで、従来は振動による解像度の低い低域だった部分を、スピーカーから発される解像度の高い低域に置き換え。結果、クリアな音を実現したという。

実際に端末を手に持った状態で音楽を再生してみると、その振動の差がわかりやすい。前機種のXperia 5 IIは、リアパネル全体が揺れているだけでなく、リアパネルのちょうど中心部分から強い振動を感じる。

この振動を低減するチューニングを行なったXperia 5 IIIでは、縦持ちした際のボディの上側から少し振動を感じる程度で、下側からの振動がほとんど感じられなかった。

これらの調整により、エンクロージャーの設置による音質のアップデートとまでは行かないものの、チューニングだけで上位機種の音に寄せることが実現できたという。

360RAのスピーカー再生も対応

Xperia 1 III同様に、立体音響「360 Reality Audio(360RA)」のスピーカーでの再生にも対応している。こちらも実際に聴いてみた。

なお、Xperia側でのデコード処理が行なえる360RA対応サービスは「TIDAL」(国内ではサービス未提供)のみなのだが、本体にプリインストールされている360RA対応楽曲を再生することでその効果を体験できる。

その対応楽曲「Akira Inoue-Total Immersion」をスピーカーで再生。同楽曲は4月にXperia 1 IIIでもスピーカー出力で試聴している。そのときは、耳の少し後ろ寄り部分からも音が聴こえ、ボーカルの位置も立ち替わっていく様子が感じられ、それまで体験したことのない聴こえ方に衝撃を受けたのだが、今回はそれと比較してややステレオっぽい印象があった。

前回の試聴で聴こえ方に慣れてしまったのかとも思ったのだが、じっくり聴いてみると、音の拡がりが耳の後ろまでは届いておらず、真横辺りで音が拡がっているような印象になっていた。これは前述したスピーカーの性能差によるもので、Xperia 5 IIIではここまでが限界だったとのこと。それでも、この独特な聴こえ方は手に取る機会があれば試して欲しい。

一方で、スマホアプリ「Sony|Headphones Connect」で両耳の写真を撮影し、ヘッドフォンでの聴こえ方を最適化することで、その真価を発揮する点は、Xperia 1 IIIと変わらない実力を持っている。ステレオ音源を立体的に変換する「360 Spatial Sound」も備え、上位機種にも引けを取らないオーディオ性能を楽しめるのがXperia 5 IIIの魅力だ。