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LGの輝度大幅進化「新OLED」と「透明OLED」見てきた
2023年1月8日 08:00
LGは、CES 2023で新ディスプレイ技術を複数発表した。
特に注目は、OLEDテレビ向けの新パネルである「第3世代有機ELパネル」だろう。パナソニックも、同じパネルを採用した「MZ2000」を製品化している。
LG、ピーク輝度2,100nitの第3世代有機ELパネル。視野角も30%向上
パナ、最上位有機EL「MZ2000」発表。マイクロレンズアレイで輝度150%向上
CESのプレスカンファレンスでは、「透明OLED」も発表になっている。
これらをLGブースで確認できたので、ほんの少しだが、インプレッションをお届けしたい。
輝度が大幅進化した「第3世代OLED」
詳細は前述の記事でご確認いただきたいが、LG・第3世代OLEDパネルの最大の特徴は「輝度の突き上げがさらに良くなった」ことにある。彼らは「METAテクノロジー」と呼称しているが、前の世代に比べて最大30%輝度が向上し、最大で約2,100nitsに達する。
ショーフロアは画質を云々する環境とは言えないので、その実力が正確にどのくらいか、と説明するのは難しい。
だが、目に入ってきた印象でいえば、確かに「グッと白が明るい」。
その辺は、同じパネルを使っている、パナソニックの「MZ2000」を目の前にしたときの方が強く感じた。OLEDならではのコントラストの強さ・黒の締まりはそのままに、高輝度な液晶に近い自然な明るさが体感できた。
写真で差を把握するのは難しいと思うが、この時期にLGだけでなくパナソニックも最新世代のパネルを使ったテレビ製品を発表できている、ということから、“国内市場でLGのOLEDを使ってきたメーカー”から、時期的にはさほどずれることなく採用製品が出てくるのでは……と期待したい。
OLEDというと、昨年サムスンがQD-OLEDを出してLGと「テレビ向けOLED対決」になった。だが今年、サムスンの方はいまひとつテレビ向けのアピールは弱い。
今年、LGは「テレビ向けOLEDパネル10周年」ということでかなり力を入れている。10周年記念 + ライバルであるサムスンへの対抗、として出してきたのが「METAテクノロジー」、ということになるだろうか。
なお、METAテクノロジーのコアは「マイクロアレイレンズ」。これまでは内部反射で有効活用できていなかった光をうまく外へと導くことで、無駄なく高い輝度を実現しているという。
「透明OLEDテレビ」の実力は……
もう一つ、ディスプレイの新技術として注目されたのが「透明OLEDテレビ」である「OLED T」だ。
透明なOLED自体は以前からあって、サイネージなどで活用が検討されているが、今回LGは「テレビ商品」としてアピールしている。
ご覧のように、普通のテレビのように見えるが、透明にして使うこともできる……という感じである。
とはいえ、これが夢のような製品かというと、そうでもないようには感じた。
まず、透過度が意外と低い。スペックは未公表だったが、少し暗い環境ではかなり向こうが見づらい。
また、「透明」だから当然なのだが、透過させずにテレビ的に使う場合、本体の裏に黒い「幕」を出して使う形になっていた。なので、前掲のプレゼン映像のように「夢のようなディスプレイ」になっているわけではない。
「透明ディスプレイ」についてはライバルも多い。JDIは液晶方式による透明ディスプレイをCESで展示している。比較すると用途や方向性が違うのもわかる。
JDIの透明ディスプレイについては別途記事を予定しているので、後日そちらを併読していただければと思う。
今年の新基軸は「ワイヤレス」、一方で顧客の注目は「ゲーミング」か
LGはテレビ製品で「新しいデザイン」のものをアピールすることが多い。過去には「巻取り式」のOLEDなどがあったが、今年は「ワイヤレス」訴求だった。
4K HDR・120Hzに対応した97型OLEDテレビ「M3」を発表、ブースの中央などでアピールした。ワイヤレスであることは特に珍しいわけではないが「4K HDR・120Hz」であることがポイントだ。
LG、「Zero Connect」で4K/120Hz映像無線伝送する97型有機EL
「巻取り式」に比べギミック的でもなく、驚きは正直薄い。しかし、97型という巨大なディスプレイをOLEDで訴求する方法としてはわかりやすく、現実的でもある。
一方で、来場者の食いつきという点では、テレビ以上にPC、特にゲーミングディスプレイへの興味が強いように感じられた。また、日本でも発売を控えている「LG OLED Flex」もゲームと絡めてフィーチャーされていた。この辺り、テレビと個人向けディスプレイのビジネスが混ざり合い、交差している印象が強くなってきている。