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庵野監督“シン・”次回作は「決まっていない」。「シン・仮面ライダー」舞台挨拶

4月9日に「シン・仮面ライダー」大ヒット御礼舞台挨拶が行なわれた
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

公開中の映画「シン・仮面ライダー」の大ヒット御礼舞台挨拶が4月9日に実施され、脚本・監督を務める庵野秀明氏が登壇。この日はMCとして進行を務めつつ「今日は僕個人として心救われました」とファンに感謝を述べた。

舞台挨拶で司会進行を務めた庵野秀明監督
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

舞台挨拶では、「本日、司会進行を務めます、庵野秀明と申します、よろしくお願いします、キャストの皆さんどうぞ」と、庵野監督の掛け声でキャストが登壇。本郷猛/仮面ライダー役の池松壮亮と、緑川ルリ子役の浜辺美波、一文字隼人/仮面ライダー第2号役の柄本佑に加え、緑川イチロー/チョウオーグ/仮面ライダー第0号というキーパーソンを演じた森山未來が姿を見せた。

庵野監督が明かすリテイク最多シーン。「池松君のスケジュールがある限り撮り直し」

本郷猛/仮面ライダー役の池松壮亮
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

池松は「これまで見てくれた方、何度も足を運んでくださっている方が僕のまわりにもたくさんいました。たくさん愛していただき、ありがとうございます」とコメント。

浜辺も「私のところにもこれまでとは違った深い感想が届いており、私自身も励まされております」、柄本は「今日は時間も限られるので短く伝えます。もっと見に来ても大丈夫ですよ(笑)」、森山は「他の3名と比べると、僕はそんなに現場にたくさん参加できたわけではなかったのですが、本当に濃厚な時間を過ごさせていただいたと思っております、仮面ライダーは老若男女、色んな方々に愛されていると思うのですが、こうしてまた愛していただけるのは素晴らしいことだと思います」と挨拶した。

緑川イチロー/チョウオーグ/仮面ライダー第0号役の森山未來
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

さっそく庵野監督から「現場どうでした?」と質問を受けた森山は「2週間ぐらいの撮影期間だったのですが、とても濃かったです。そしてスーツが、めちゃめちゃ汗はかくけど、皮膚呼吸できない感じで、すぐに身体が冷えていくのが大変だったです」と回答。

庵野監督は「マスクもギリギリで、見える部分も少ないし、呼吸も難しかったと思う。本当にどうもありがとうございました」と感謝を伝えると、柄本が「衣装合わせの時に、監督が第2号のスーツのラインを1ミリ細くしたり、2ミリ太くしたりで、全然印象が違うっていうのをやられていたのですが、僕には全然わからなくて。でも出来上がったものを見ると非常にスタイリッシュになっており、これは格好良いものを目指していった形ですか?」と“逆質問”。

これに庵野監督は「50年前に元があるので、なるべくその印象を近づけたく、最後に登場するスーツもその幅にかなり拘りました。そこが肝なので」と回答。森山からの「オリジナルに対するリスペクトと、どういう風に更新するかのバランスって監督から見てどうでした?」との質問に、庵野監督は「現場でも考えながら、ラッシュが上がった後に編集しながらも、どれだけ残して、どこまで削るかというのをずっとやっていました。50年前にも近づきすぎても面白くないし、離れすぎても面白くないし、初めて見た人があまり違和感を感じないよう、どうやって混ぜようかというのを最後の最後まで苦労しました」と試行錯誤したことを明かした。

続けて、森山が「仮面ライダーが立った瞬間に鳴る音が良いですよね」と語ると、庵野監督は「あの音は、他の音を新たに入れようとしたのですが、オリジナルの音に勝てなかったです」と制作時のエピソードを披露。

柄本も「あの音がかかると、ちょっと高揚感ありますよね。初号試写もこの劇場で見たのですが、1番最初のライダー登場のとこ、本当に格好良かったです!」と返すと池松も、「あそこの音楽の残し方とアップデートの仕方は、格好良いと思いました」とコメント。

これに対し、庵野監督は「最初のマスクを被ったカットには拘ったので、光線の当たり具合も含め、なるべく原典と同じにしようと思いました。撮影してラッシュを見て違ったらその都度撮り直していたので、リテイクが1番多いのがあのカットかもしれません。池松君のスケジュールがある限り撮り直していました」と語った。

(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会@@

庵野監督、次作は「30数年ぶりに白紙の状態」も、続編構想あり

このあともキャストから庵野監督への逆質問が展開。まず森山から、「シン・エヴァも終わって、シン・を冠にしたヒーローシリーズも⼀段落して、この先の構想はありますか?」との質問が飛び出すと、庵野監督は「本当に次回作は決まっていないです。30数年ぶりに白紙の状態です」と回答。

追加で柄本からも「今はないとのことですが、この作品の続編の構想とかありますか?(笑)」と聞かれると「企画は、これの脚本を書いている時からあり、最初に続編が可能なものにはしておこうと思っていました。現実的には白紙ですが、構想としては残っています。続編はもうタイトルも決めていて、仮面の世界と書いて、マスカーワールドと読む、石ノ森先生の原作を読んでいる方はすぐにピンと来ると思います。プロット的には、日本政府がSHOCKERのブレインという人工知能を開発して、政治家と官僚がSHOCKERに入って色々やろうと。それを仮面ライダー第2号が戦う。政府の男と情報機関の男は、政府よりなのでどうするかなど、そういう話も考えております」と衝撃の構想を答えると、柄本は「何年後かに見られます。がんばります!」と、次回作への意気込みを見せた。

緑川ルリ子役の浜辺美波
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

次に浜辺からの「本作の魅力はたくさんありますが、どこが1番魅了されているところですか?」との質問に、庵野監督は「自分が監督しているので、全部としか言いようがないのですが、最初からやりたかったのはラストシーンでした。地元(山口県)で撮影して、最後のテイクを選んだのですが、脚本書いている時から、あそこでやろうと思っていました。大抵の映画で1番好きなのは、スタッフロールに切り替わる瞬間なので、そこには拘りました」と回答。

そして森山から「エンドロールで3曲流れましたが、選定理由はなんですか?」と問われ、「あれは自分の好きな曲を3つ入れようと思って選びました」とも明かしていた。

(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会@@

池松からは「公開4週目となりましたが、まわりの反応どうですか?」との質問が。庵野監督は「自分の周りの反応で面白いと思ったのは前の作品の時にまったくスルーだった友達が、ものすごい熱量でメールくれるんですよ。なので、3本とも違う所の人に引っかかるようになったのは、良かったと思っています。でも熱量が1番あるのは今回ですね」と答えると池松も「僕の周りでも本当に熱狂して、号泣したとか、言われます」と周りの熱狂ぶりを嬉しそうに伝えていた。

さらに柄本から「監督はお忍びで本作を見に行ったりしますか?」と聞かれると、庵野監督は「出来上がったら、もう見ないです。初号も見ていないです」と回答。

すると、浜辺が「私はトータル3回見ています! まだもうちょっと行こうと思っています。次はグッズが売っている時間に行きたいと思っています。後、劇場でめちゃめちゃ嗚咽している人いて、嬉しかったです」と“お忍び鑑賞”していることを明かした。

舞台挨拶では「仮面ライダー第0号」の特別イラストも初披露された
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

この舞台挨拶では、本作のデザインを務める前田真宏氏による「仮面ライダー第0号」特別イラストも初披露され、ここで会場のボルテージは最高潮に。

イラストを見た森山は「ありがたい、めちゃ嬉しいです!」と喜ぶと、庵野監督も「本編のデザインが投影されていて、後から書いているので正確です。上手だよね、よく描けているよね。これは中々すごいです」と絶賛した。

最後に池松より、「お伝えすることは“映画を見てください。見ていただいてありがとうございます”、ということなのですが、これからもまだまだ上映は続きます。また是非会いに来てください。これからも応援よろしくお願いします。ありがとうございました」とファンに感謝を伝える。

庵野監督も「本当に現場は大変だったので、こうして直接皆さんにお会いしてお礼を言えて良かったです。ありがとうございましたとしか言いようがないのですが、監督としては皆さんにご覧いただき、良い感想をいただいて、本当に作って良かったと思っています。今日はこうして直接お礼を言うことができて、本当に良かったです。今日は僕個人として心救われました、本日はありがとうございました」と感謝の想いを伝え、深く一礼し、イベントは幕を閉じた。