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「シン・仮面ライダー」トリプルライダー集結の座談会
2023年5月2日 09:00
公開中の映画「シン・仮面ライダー」より、本郷猛/仮面ライダー役の池松壮亮、一文字隼人/仮面ライダー第2号役の柄本佑、チョウオーグ/仮面ライダー第0号役の森山未來のトリプルライダーによるスペシャル座談会/鼎談が、YouTubeの東宝映画チャンネルで公開された。
鼎談ではチョウオーグ/仮面ライダー第0号の動きが決定するまでの話や、話題となっているクライマックスの激闘などについて語られている。
映画のクライマックスで描かれる本郷・一文字・イチロー(チョウオーグ/仮面ライダー第0号)によるバトルシーンは、池松、柄本、森山の3人を中心に考案されたという。また脚本・監督の庵野秀明氏からは「泥仕合」という差し込み原稿(現場で追加される台本)も入ったとのこと。
池松は「『泥仕合』はキーワードになりました」と撮影を振り返ると、柄本は「その日に撮りたいとなって段取り(※本番前に行う動きの確認)が始まったら『変えたい』となって現場で調整するための待ち時間が発生し、3・4時間経って『1回持ち帰って明日にしましょう』となりました。僕は誰かがぽつぽつと喋ったり喋らなかったり、20分くらい間(ま)がある時間が割と好きです。『どうしたらいいかわからないから考える』という部分も含めて、そういった“ひねり出す”時間が作品を作ると思います。いまって、現場であそこまで悩める時間がないですから」とコメント。
森山も「『ドキュメント「シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~』で描かれたように、アクション監督の田渕景也さんとアクション稽古をしたり絵コンテやアクション映像を作って……というやり取りは撮影スタジオに入るまでずっと続いていましたね」と撮影を振り返った。
また、森山はチョウオーグ/仮面ライダー第0号の動きについて「本編では使われなかった部分が多いのですが、変身前の基本的な動き方は瞑想や、『プラーナ』というキーワードから考えていきました。プラーナはサンスクリット語で『大気中に存在しているエネルギー』といったような抽象性のある言葉ですが、プラーナを呼吸なのか、体内に取り込んで循環するという考えで動きを作れたら面白いんじゃないですか、という提案はしました」と、役作りのエピソードも披露。
「善悪」や「ヒーロー」「幸福感」「絶望」「エネルギー」「暴力」といった、さまざまなテーマを内包する本作を経て、考えを深めたものを問われると、森山は「舞台挨拶の場で庵野さんが『日本の実写作品をテコ入れしたい』とおっしゃっていて、それを『仮面ライダー』というコンテンツで考えたときに、『シン・仮面ライダー』はその一歩なのかなと思いました」と語っている。
「たとえばバットマンは昔から子どもたちが憧れるヒーローで、それがどんどん擦られ続けて時制が変わり『ジョーカー』のように敵の目線で描いたり、『ダークナイト』のようにバットマンが苦悩する存在として描かれるようになったり、色々と表現が派生してきました」
「それに対して『仮面ライダー』はどうだったかというと、もちろんテレビシリーズやそこからの映画化はずっと続いてきましたが、今回描こうとしたような『仮面ライダーがSHOCKERとして生み出された』という仮面ライダーが持つ苦悩というか、ある根幹みたいなものにはそこまで触れてこなかったんじゃないですかね。『シン・仮面ライダー』は原点回帰ともいえるし、この時代にアップデートしたという意味でもすごく良い試みだったのではないかと思います」
池松も「子ども向けのヒーローものという皮をかぶりながら、人間の普遍的なところにアプローチしていて、人間の真実に触っている。本当に見事な物語だなと改めて思いましたし、今回の仮面ライダーは様々な可能性があるなかで取捨選択してこういう形になったわけですが、仮面ライダーというキャラクターだけでなく、登場人物みんなが変化していきます」とコメント。
「仮面ライダーとは変身にまつわる物語で、変身とは人類が繰り返してきたことでもあります。大きな変化の時が訪れているこの時代に、様々な困難に対してあらゆる挑戦を克服し、どう乗り越えて変身していくのか。『仮面ライダー』から『シン・仮面ライダー』へ、さらに現代性を獲得して普遍的なところに行くというのは、まさにあるべき継承だと思います」
柄本は「庵野さんが『仮面ライダー』をやる際に僕がいいなと思ったのは、SHOCKERの描き方です。彼らは彼らで幸せを求めて探求した結果だから根っからの悪者じゃないというか、その人の持つ正義によって取捨選択されてみんな生きているという部分がすごく腑に落ちました」と語った。