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「シン・仮面ライダー」池松壮亮主演。庵野監督「世界に向けた作品とは考えてない」

本郷猛役の池松壮亮(左)と緑川ルリ子役の浜辺美波(中央)、脚本・監督の庵野秀明氏(右)
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

9月30日、「シン・仮面ライダー対庵野秀明展」合同記者会見が国立新美術館で開催され、2023年3月公開予定の映画「シン・仮面ライダー」の主人公、本郷猛(仮面ライダー)役を池松壮亮が演じると発表された。緑川ルリ子役は浜辺美波が演じる。

池松壮亮が演じる本郷猛(仮面ライダー)と浜辺美波が演じる緑川ルリ子
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

主人公のキャスティングについて、庵野監督は「池松くんはオーディションに来てくれて、そのオーディション(の演技)がよかった。僕の中では藤岡弘、さんが演じる本郷猛のイメージが強すぎて、別の方向性を目指さなきゃいけないときにマッチした」とコメント。

緑川ルリ子役の浜辺については、「ヒロインをどうしようと考えているとき、ちょうど東宝のカレンダーを観て『この子にしよう』と決めました。そのあと主演されている『賭ケグルイ』を観て、正解だったなと思いました」と明かした。

庵野監督「まずは仮面ライダーが好きな人に向けて」作品作り

会見冒頭、松葉杖をついて登場した池松壮亮
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

本郷役を演じる池松は、松葉杖をついて会見に登場。「この映画はこれから撮影なんですが、アクション練習を詰めていたところ(足を怪我してしまって)、1週間は足をつくなということで……。『主人公がちょっとだけ改造手術に失敗したものの撮影には支障がない』と思っていただければ」と笑みをこぼしながら説明。役作りについて問われると「怪我に気をつけることですね……冗談です(笑)」とユーモアもみせた。

「ちょうど1年前にお話を頂いたのですが、庵野さんが仮面ライダーの新作を準備していると聞いてワクワクしましたけど、軽々しく受けていいものではないなと思いつつ、これだけ素晴らしい挑戦に参加して、力を出せればと思っています」(池松)。

(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

緑川役を演じる浜辺は「私自身、仮面ライダーという存在が小さい頃から大好きで、心の希望になる存在だったので、そのお話に関われるということと、そのお話を庵野さんが原点を描くということで、そこにヒロインとして出演できることは驚きでしかありませんでしたし、現場に入るのに緊張しています」と語った。

「ヒロインとして選ばれた経緯をまったく聞いていなかったので、まさかカレンダーからだったとは。自分が思っていないところで出会いがあるのだなと感謝しかありません。よかった8月(のカレンダー担当)で(笑)」

庵野監督は、公開された仮面ライダーや、ライダーが操るサイクロン号のデザインについて言及。「デザイナーは今回3人やってくれました。ひとりは出渕裕という、こういったデザインの大先輩。もうひとりエヴァンゲリオンで一緒にやっていた山下いくとと、うちの会社にいる前田真宏。前田はウルトラマンとガメラ、ゴジラのデザインをやって、今回仮面ライダーも手掛ける稀有な人です。彼ら3人と手分けしてやっています」と明かした。

アンベールされたサイクロン号
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

「(会見でお披露目された)サイクロン号は山下くんが(デザインを)やってくれています。プロモーション映像に出ている“乗用”サイクロン号も山下くん。デザインとなると、どうしても50年前のイメージが離れなくて。そのラインを踏襲しつつ、現代風にしたいというイメージを具現化してくれました」

「ライダーと怪人のデザインも、前田と出渕さんが“今風”にまとめてくれて。とくにライダー(のデザイン)は二転三転したんですけど、最終的には50年前のイメージに戻るんだなと」

庵野秀明監督
(C)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

庵野監督作品は、日本のみならず世界中からも注目を集めるが、監督自身は本作について「あまり世界に向けた作品とは考えていないので。東映さん、すいません」と思いを明かした。

「まずは日本の仮面ライダーが好きな人たちに向けて。その次には仮面ライダーをあまり知らないけど面白そうだなと観てくれる人、そして話題になったらとりあえず観てみるという人に面白いと思ってもらえるものにしたい。そのうえで世界の人に面白いと感じてもらえるものを目指したいと思いますけど、まずは“近場”から」

そのほか、作品に登場する怪人については「プロモーション映像でも分かるように、蜘蛛(男)が出ますが、あとは内緒です。23年春の公開でまだ先が長いので、ぼちぼちと情報が出ていくと思います。あとバッタも出ます」と冗談交じりに語った。

最後に、本作への意気込みを問われると、池松は「これから撮影が始まります。いい作品になるよう、みなさまに注目していただけるよう頑張ります。この国の夢といいますか、そういったものを引き継ぐ覚悟で、50年ぶりになにか新しいものを生み出していければと思います」と回答。

浜辺は「私自身、シン・仮面ライダーという作品でヒロインを務めさせていただけることは何年前の自分に伝えても驚くこと。それに対する感謝を忘れず、庵野監督、そして仮面ライダーにしがみついて、毎日乗り越えて、いい作品にしたいと思います」と思いを明かした。

最後に庵野監督は「今朝の新聞で東映さんがやらかしてくれました(庵野監督が仮面ライダーのコスチュームを着た広告が掲載された)。あれだと“僕の考えた仮面ライダー”を作るような印象を、自分自身が持ってしまいました。そうではなくて、観客のみなさんが面白いと思ってくれる、『これはいい!』と思ってもらえる作品にしていきたい。僕と同じ世代で育った人に『こういう仮面ライダーもいいな』と思ってもらえるような作品を作っていきたいと思っています」と意気込んだ。

「そこに加えて、当時(仮面ライダー)2号が好きだった僕よりちょっと下の世代や、平成、令和の仮面ライダーが好きな人、そういった人たちに楽しんでもらって面白いと思ってもらえる作品にしたいですね。“ニチアサ”でやっている仮面ライダーとは違う、新しいラインをまとめて作れたらなと思っています」

会見では冒頭にプロモーション映像も公開された。この模様はシン・仮面ライダーの公式Twitter(@Shin_KR)で生配信。アーカイブ配信も行なわれている。

『シン・仮面ライダー』プロモーション映像 A
『シン・仮面ライダー』プロモーション映像 B