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NHK“テレビない人へのネット配信”社会実証二期。「放送と同様の効用をもたらす」

災害マップサービスのイメージ

NHKは23日、今年2月に実施した、テレビを全く、あるいはほとんど見ない人向けの「インターネット社会実証(第二期)」の結果を発表。災害マップや、ニュースや番組の配信をサムネイル一覧で提示する「一望・連続再生」サービスを提供したところ、「放送と同様の効用をもたらすことが確認された」と分析した。

この社会実証は、世代を問わず多くの人がスマホやパソコンで情報を得る時代に、公共メディアとして番組や情報をインターネットで届ける意義や役割、多様化する視聴者ニーズなどについて、数回に分けて検証するもの。

第二期は2月10日~2月24日に、テレビを持っていない人や、日常的に利用していない人、計約1,400人を対象に実施。各サービスを体験・視聴してもらった後で、アンケート調査を実施した。

災害マップ

「災害マップ」は、「過去に起きた災害」について追体験してもらうことで、「もしも」の時に避難の“行動変容”を促せるか検証するもの。2020年7月に熊本県の球磨川流域を中心に発生した豪雨災害を例に、NHKが取材・裏付けをした被害状況の映像などを地図上で時系列に可視化して提示した。

すると、住んでいる地域で「過去に起きた災害」について追体験する災害マップのサービスを利用したら、今後避難指示が出たときに、避難の気持ちが強まると回答した人は91.6%。今後サービスが一般に提供されるようになった場合、88.5%が利用意向を示したという。

災害マップについてNHKは、「将来の“もしも”の時にこれまでよりも避難の気持ちが強まるとの高い評価が得られた。将来の災害時に、ネットサービスで、避難の“行動変容”を促せることが確認できた」とまとめている。

一望・連続再生

一望・連続再生のイメージ

ニュースや番組のネット配信について、「規範的な役割・機能については第一期で評価をいただきましたが、実際には興味が向かわず使ってもらえない、一方でアテンションエコノミーに則ってしまっては意味がない」という課題があったという。

そこで、多様なニュースや番組をサムネイルで一覧で提示する「一望・連続再生」を用意。日頃のニュースやコンテンツへのアクセス習慣に沿って、対象を6つの分類に分け、「総覧視聴」「番組リスト・ニュースリスト」「検索」と一覧のコンテンツ提示の様々な手法により、放送が担ってきた多様性を提供する機能を具体的に示した。

「総覧視聴」では、「(総覧視聴A)NHKが選んだ主要ニュースと番組」と「(総覧視聴B)自分が設定した地域ニュースと興味ジャンルの番組」を用意。「番組リスト・ニュースリスト」と「検索」では、リストの分野やジャンル、検索のキーワードとは直接関連しないコンテンツをリストの内容や検索結果に混ぜてあわせて提示した。

その結果、総覧視聴では、日頃の情報取得の習慣の6つの分類のうち、思いがけないコンテンツなどに触れたと広がりを実感したと回答した人は総覧視聴Aが56.0%から69.7%と、いずれも総覧視聴B(50.5~63.0%)よりも多く、NHKが選んだ主要ニュースと番組の提示が広がり実感が高いことが確認された。

NHKでは、「日頃の習慣で、自分の興味・関心のあるコンテンツだけで満足する人などでも、そうでない人でも、NHKが選んだ主要ニュースや多様なジャンルの番組の提示に、思いがけないコンテンツなどに触れられた、利用したいとの評価が一定程度得られた。アテンションエコノミーに則らないで、興味が向かい使ってもらえる意向が確認でき、NHKならではのバランスの確立をできる見通し」とコメント。

災害マップ、一望・連続再生のどちらも、「放送の効用を企図したサービスで、同様の効用をもたらすことが確認されたと言えるのではないか」としている。