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NHK、テレビ観ない人への社会実証。3つの役割を7サービスで示す

NHKは、テレビを全く、あるいはほとんど見ない人を中心とした社会実証を、4月22日から合計で約3,000人を対象に実施する。第一期となる今回は、放送の同時配信、大規模災害発生時の速報や緊急ニュース提供といった、これまでのNHKの放送・インターネットのコンテンツを組み合わせて伝えるほか、放送と通信が融合する時代にNHKに期待される役割・機能を3つとし、これらの役割について7つのサービスを示して実証する。

社会実証では、世代を問わず多くの人がスマホやパソコンで情報を得る時代に、公共メディアとして番組や情報をインターネットで届ける意義や役割、多様化する視聴者ニーズなどについて、数回に分けて検証する。

インターネット上では信頼性のはっきりしない大量の情報が飛び交っており、フェイクニュースやフィルターバブルなどの問題も指摘されているほか、人と人のつながりが薄れることによる個人の孤立、社会の基本的な情報が共有されにくくなることによる分断の拡大も懸念されている。

社会実証では、こうした課題に向き合うとともに、正確、公平公正で、豊かで信頼できる情報を届け、生活の安全や豊かさ、地域社会の発展などに貢献するという、これまで主に放送で果たしてきた役割について、インターネットを通じてどのように果たせるかも検証する。

第一期の今回は、NHKに期待される役割・機能を「正しく理解が深まり、気付く」、「知識が広がり、つながる」、「簡単に、必要な情報が見つかる」の3つとし、これらの役割について7つの具体的サービスを示して実証する。UIやUXなど、使い勝手の面については、第二期以降に検証していく予定。

7つのサービスイメージは次のとおり。この7つのサービスはひとつのサイトやアプリにすべて盛り込まれるわけではなく、専用のサイトやアプリを使うもの、専用サイトで利用イメージを示すものなど、いくつか別々のサイトなどから提供する。具体的には、1と2はアプリ・サイトを作成し、実際のサービスに近い感覚で実証を行ない、3~6は、それとは別にサービスイメージを個々に提示し実証。7はイメージ動画を作成して実証する。

  • 1:主要ニュースについて、NHKの豊富なアーカイブを活用し類似ニュースの“まとめ”とは違う多角的視点を提示
  • 2:話題となっているコンテンツについて、通常のレコメンドの範囲とは違う幅やジャンルの多角的視点を提示
  • 3:最新ニュースについて、SNSでの盛り上がりを分析し、分断やスパムを検知し、信頼性の課題等をアラート
  • 4:災害報道の情報を蓄積して、地図上に可視化し、危険予測・判断材料を提供
  • 5:あるニュースのテーマについて、各都道府県の差異を地図などで同時に提示し、日本の多様性を提示
  • 6:多くの動画ニュースが一目でわかると共に、重要度や新着順などに応じて適切に自動編集、連続再生する機能
  • 7:動画や画像アーカイブを位置情報を連携させて活用することで、日本各地の風土や多様性を提示する機能

社会実証第一期の期間は4月22日から5月7日の予定。対象者は上述の1~2が1,500人、3~6が1,200人(300人×4)、7が300人。

今回の社会実証について「ネット受信料の布石ではないか」、「受信料を支払っている人には不公平感がある」といった指摘が出ていることについて、NHKの前田晃伸会長は、4月7日の定例会見で「あくまで実証であり、実態を知らないと施策がだせませんので、まず実態を知ろうということです。テレビを見ない方がどういう手段で情報を入手しているのかを調べないとどうにもならないと思いますので、そこが先です。ご指摘のように『何かをやるためにこれをやる』というものではありません。特定の意図を持っているわけではありません」と述べている。

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