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NHKの“テレビ見ない人”向け配信。「一定の理解と支持得た」

NHKは2日、テレビを見ない・ほとんど見ない人を対象に、文字情報や映像をネットで提供する“社会実証”の結果を公表。NHKのニュースサイトや動画コンテンツ、フェイクアラート機能、災害マップなどのサービスに対し対象者から高い評価が得られたこと、さらに対象がテレビ利用の少ない層であるにも関わらず、NHKがサービス提供することの必然性について一定の理解と支持が得られた、と評価した。

既報の通り、NHKの社会実証は、総務省からの要請を受け、放送番組等のネット配信の意義やサービスニーズの検証を目的に、テレビ非保有者に向けて放送番組等を配信する実験のこと。2日に公表された結果は、2022年4月~5月にかけて実施された第一期社会実証の対象者の反応を取りまとめたものになる。

第一期の社会実証では、全体の20%程度を占める“テレビを全く/ほとんど見ない”人(視聴時間が1日あたり1時間程度・1時間未満)が対象。情報空間に必要と想定される、下記3つの機能を備えたサービスを提供し、NHKに求められる役割を検証・評価した。

  • 正しく理解が深まり、気付く
    フィルターバブルから抜け出せるように、情報の偏りや注意すべき情報、公平で信頼できる情報に気付いてもらう機能
  • 知識が広がり、つながる
    過去の膨大な情報を活用し、新たな気付きや異なる考え方、判断の材料を提供する機能
  • 簡単に、必要な情報が見つかる
    自分の学びにつながる情報が簡単に手に入る機能
社会実証(第一期)のサービス。NHK インターネットでの社会実証(第一期)結果報告より
検証の概要

NHKが定めた機能の1つである「正しく理解が深まり、気付く」では、“留意が必要なニュースに対しアラートマークを表示”する「フェイクアラート」に対して、72%がフェイクニュースを解決するうえで自身に有用と回答。また“意見の分断等を視覚的に示す”という点でも、74.9%が社会的分断を解決するうえで自身に有用と回答する結果が得られた。

「知識が広がり、つながる」では、ニュースサイトNHK NEWS WEBや動画配信NHK+で行なった“主要なニュースに関連したニュースや番組を多角的な視点でまとめて示す”について、77.3%が信頼できる情報・幅広い情報を見つけるのが難しいなどの問題を解決するために社会にとって有用、と回答。

“話題のテーマに関連する番組を幅広く・分野を超えて提供する”という点でも、75.6%が、通常のレコメンデーションで生じる知識の幅が狭まる・情報への理解が浅くなるという問題を解決するうえで社会に有用と回答した。

「簡単に、必要な情報が見つかる」では、災害関連のニュースを、地図上でプロットする「災害マップ」について、81.2%が社会に有用と回答。また適切な編集方針で主要ニュースを並べ、一望できるようにする「一望・連続再生」についても、64.1%が簡単に必要な情報を見つけたり、社会の全体像を掴んだりするためには、社会にとって有用と回答したという。

NHKでは、これら結果を踏まえ、「社会実証の結果、3つの機能の価値や、それを体現したサービスが提供した事項に対して高い評価を得た」と分析。加えて「本社会実証の対象者は、テレビ視聴が少ない層であったにもかかわらず、上記の機能をNHKが提供することの必然性についても、一定の理解と支持が得られた」と評価した。

社会実証の評価

さらに「上記の機能をNHKが果たすことが、情報空間の課題解決や、望ましい情報空間の実現につながると考えられる。よって、放送で担ってきたことと同一の社会的な意義について、NHKがインターネット上で果たすことの妥当性が一定程度示されたと言えるのではないか」と結論付けている。