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マランツ、HDMI ARCやネットワーク再生搭載で約23万円のCDプレーヤー「CD 50n」
2023年10月24日 11:00
マランツは、伝統の単品コンポの魅力と、HDMI ARCなどの最新デジタルオーディオを同居させた新たなHi-Fiラインナップとして、HDMI ARC対応でネットワーク再生機能も備えたCDプレーヤー「CD 50n」を11月上旬に発売する。価格は231,000円。カラーはブラックとシルバーゴールド。
また、同日にはCD 50nとの組み合わせも想定したプリメインアンプ「MODEL 50」(231,000円)も発表している。MODEL 50の詳細は別記事を参照のこと。
CD 50nとMODEL 50の立ち位置
CD 50nは、シンプルなCDプレーヤーにも負けない音質と、HEOSによるネットワークオーディオ機能、Bluetooth機能、USB-DAC機能も備えたデジタルオーディオプレーヤー。
さらに、マランツのオーディオプレーヤーとしては初めてHDMI ARCに対応。テレビなどと接続し、テレビ番組や映画、ゲーム機などの音声をCD 50nの高品位なDACやアナログ出力を使って再生できる。
HDMI CECにも対応し、テレビの電源連動や、テレビのリモコンを使ってのCD 50nの可変出力の音量を調整する事も可能。
MODEL 50は、上位モデル「MODEL 40」から回路構成や数多くの高音質パーツを受け継いだステレオプリメインアンプ。一方で、MODEL 40が搭載していたデジタルオーディオ回路を省き、純粋なアナログプリメインアンプとして設計されている。CD 50nとMODEL 50の組み合わせは、デジタルオーディオ回路をCD 50nに集約することで実現している。
HDAMを用いたフルディスクリート・プリアンプや可変ゲイン型ボリューム回路、パラレルプッシュプル・パワーアンプなどの回路構成もMODEL 40nから受け継いでいる。
これにより、デジタル周りをCD 50nにまかせ、純粋なアナログアンプとしてMODEL 50が存在する事で、両者を組み合わせやすくなっている。
CD 50nの詳細
2020年に発売された「MODEL 30/SACD 30n」を皮切りに採用が始まった、新世代のマランツを象徴する筐体デザインを採用。デザインだけでなく、機構設計の見直しも行ない、トップカバーやシャーシを構成する鋼板の形状や各部を固定するネジの太さや本数を最適化することにより、ビルドクオリティも大きく進化している。
CDプレーヤー部分には、自社開発のオリジナルCDメカエンジンを搭載。SACDの再生はできないが、CD-R/RWに記録されたMP3/WMAファイルの再生も可能。メカエンジン自体の振動対策に加え、シャーシの奥行きの延長や3層構造の堅牢なボトムプレート、リブ入りの高密度インシュレーターなど、入念な振動対策を施し、高精度な読み取りが可能。
DACには、ND8006やCD 60に採用しているDACチップと同シリーズながら、上位モデルとなるESS「ES9038Q2M」を採用。電流出力タイプで、外付けのI/V変換回路を用いて独自のサウンドチューニングが可能。I/V変換回路とローパスフィルター、出力バッファーは独自のHDAMとHDAM-SA2を使用したディスクリート回路を使っている。
【お詫びと訂正】記事初出時、DACの型番を「ES9028PRO」と記載しておりましたが、「ES9038Q2M」の誤りでした。お詫びして訂正します。(11月8日)
さらに、DAC内蔵のデジタルフィルターではなく、マランツオリジナルのアルゴリズムによるデジタルフィルター「Marantz Musical Digital Filtering」を搭載。フィルターの特性はパラメーターを見直し、CD 50nに最適化した。PCM信号入力時に、好みに合わせて2種類の特性を切り替えられる。
高精度なD/A変換のために、クロック回路に超低位相雑音クリスタルを搭載。44.1kHz系、48kHz系のクロック発振回路に加えて、DACの動作専用のクロック発振回路を含む3つのクロック発振回路を搭載。ジッターを最小化している。
ナロー/ミディアム/ワイドの3段階で設定できるロックレンジ設定機能も搭載。設定を狭めるとジッターが低減され、明瞭な音質になるが、狭めすぎると、再生中や異なるサンプリング周波数の曲に切り替えた場合に、音途切れやノイズが発生することがある。
DAC以降のI/V変換回路やアナログステージには、独自の高速アンプモジュール「HDAM」および「HDAM-SA2」を用いたフルディスクリート回路を採用し、ハイスピードで情報量豊かなサウンドを実現。サウンドマスターと音質担当エンジニアによる試作、試聴を繰り返して既存の音質対策パーツと新規開発のカスタムパーツからCD 50nに最適なものを厳選したという。
最大11.2MHzのDSDと、384kHz/32bit PCM入力に対応するUSB-DAC機能も搭載。デジタル・アイソレーション・システムも備えており、接続したPCやネットワーク機器から流入する高周波ノイズや、CD 50nのデジタル回路から発生する高周波ノイズによる音質への悪影響を排除するために、ICチップ上に組み込まれたトランス・コイルを介して磁気によりデータ転送を行ない、入力側と出力側を電気的に絶縁している。
さらに、HDMI ARCにも対応。対応するテレビとHDMIケーブルで接続し、192kHz/24bitまでのリニアPCM(2ch)入力が可能。テレビ放送に加え、動画配信サービス、ゲームなどをの音声をHi-Fiクオリティで楽しめる。
HDMIの音質にもこだわり、伝送されるオーディオ信号をHDMIインターフェースデバイスを通さず、直接デジタルオーディオセレクター(DIR)に入力。デジタルオーディオ回路の電源の強化や低ノイズ化、グラウンドの強化などを徹底する事で、他のデジタル入力同様の高音質を実現したという。
HDMIコントロール機能(CEC)にも対応。HDMI接続したテレビと電源ON/OFFを連動させたり、テレビのリモコンでCD 50nの可変出力の音量を調整できる。
電源供給に余裕を持たせ、常に安定した音楽再生を行なうために、大容量トロイダル型電源トランスも搭載。また漏洩磁束を抑えるべく、垂直方向の磁束漏れを抑えるアルミ製ショートリングに水平方向の磁束漏れを抑える珪素鋼板シールドを加えた2重シールドを施した。
アナログ回路電源用のブロックコンデンサーは、幾度も試作と試聴を繰り返した結果、CD 50nには、サプライヤーと共同開発した大容量3,300μF/35Vのカスタムブロックコンデンサーを採用している。
前述の通り、通常のアナログ音声出力に加え、出力信号の音量を調整できる可変出力を搭載。可変出力自体は、ND8006など従来のモデルにも搭載していたが、CD 50nでは大幅に進化。高性能ボリュームコントロールICと、HDAM-SA2型出力バッファーアンプで構成しており、「妥協のないHi-Fiグレードのサウンドクオリティを実現した」という。パワーアンプや、パワーアンプダイレクト入力を持つプリメインアンプと接続しての使用を想定している。
さらに、最大192kHz/24bitのPCMに対応する同軸デジタル入力と光デジタル入力も装備する。
「HEOS」テクノロジーによるネットワークオーディオ機能も装備。音楽ストリーミングサービスやインターネットラジオ、LAN内のNASに保存したハイレゾファイルや、USBメモリーに保存した音源や、スマートフォン、タブレット、Bluetooth機器など、多彩な音源を再生できる。
音楽ストリーミングサービスはAmazon Music HD、AWA、Spotify、SoundCloudなどに対応。HEOSのモジュールも、最新のものに進化している。
AirPlay 2やBluetoothにも対応。Bluetoothの受信に加え、Bluetooth送信機能も搭載。再生中の音声をBluetoothヘッドフォンなどにワイヤレスで伝送でき、家族が寝静まった夜に、Bluetoothヘッドフォンで音を楽しむという使い方もできる。2.4GHz/5GHzデュアルバンドWi-Fiに対応。
さらに、HDAM-SA2を用いたフルディスクリート型のヘッドフォンアンプも搭載。3段階のゲイン切り替えも行なえる。
L/R独立タイプのアナログ出力端子は余裕のある間隔で配置。大型のRCAプラグを使用したケーブルも容易に着脱できる。固定出力の端子には真鍮削り出し端子を装備。さらにアナログ出力端子と、同軸デジタル入力/出力端子には経年変化や信号の劣化を防止する金メッキ加工を施している。
メインシャーシに加え、1.0mm厚の鋼板を2枚重ねた3層構造のシャーシを採用。メカエンジンや基板、電源トランスを強固に支持し、振動による音質への悪影響を排除。重心が低く安定したサウンドを実現したとする。
声出力端子は、アナログアンバランス(FIXED)、アナログアンバランス(VARIABLE)、同軸デジタル、光デジタル、ヘッドフォンを各1系統装備。音声入力端子は、HDMI ARC、同軸デジタル、光デジタル、USB-A、USB-Bを各1系統。LAN端子なども備えている。
消費電力は35W、待機電力は0.2W(通常スタンバイ)、2W(ネットワーク制御オン)。最大外形寸法は442×424×130mm(幅×奥行き×高さ/ロッドアンテナを寝かせた場合)。重量は10.3kg。
音を聴いてみる
従来モデルのネットワークCDプレーヤー「ND8006」と、プリメイン「PM8006」を組み合わせたシステムを用意。その音を聴いた後、ネットワークCDプレーヤーを新しいCD 50nに変更して試聴。その後、プリメインアンプもPM8006からMODEL 50に変更。どちらも新製品という組み合わせを聴いた。
ネットワーク再生で、楽曲は女性ボーカルJAZZユニットのカルメン・ゴメス・インクがワンポイントマイク録音した「I'm Walking」と、「上原ひろみ/Someday」などを聴いた。
ND8006とPM8006の組み合わせで聴いた後、CDプレーヤーをCD 50nに変更すると、まず、音場が激変。奥行きが一気に広がり、音場がより立体的になり、ボーカルと楽器の立ち位置など、前後の位置関係が明確になる。左右方向にも音場が広がり、音に前方から包み込まれる感じが強くなった。
広がりだけでなく、1つ1つの音も輪郭がよりクッキリ描写されると共に、パワフルさもアップ。躍動感に溢れるサウンドになり、聴いているとつい体がリズムを刻んでしまうような、非常に魅力的な音に進化したことがわかる。
さらに、アンプも新しいMODEL 50にチェンジ。すると、音楽の重心がグッと低くなり、低域に迫力が増す。レンジだけでなく、空間の広がりもさらにアップし、音の余韻が広がり、消えていく様子がより奥まで見通せるようになる。まるで聴いている部屋が広くなったかのようだ。
スピーカーの駆動力も明らかにアップし、1つ1つの音が音圧豊かになり、胸にグッと迫ってくる。ドラムのアタックもより鋭く、強く、ビートに熱が入る。CD 50n + MODEL 50で聴くネットワーク再生は、解像度と熱さの両立が最大の持ち味だ。