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マランツ、パラレルプッシュプル構成のピュア・アナログアンプ「MODEL 50」

MODEL 50

マランツは、プレミアムなピュアアナログ・プリメインアンプとして「MODEL 50」を11月上旬に発売する。価格は231,000円。カラーはブラックとシルバーゴールド。

同日に、HDMI ARC対応でネットワーク再生機能も備えたCDプレーヤー「CD 50n」も発表されているが、詳細は別記事でレポートする。

同日発表のCDプレーヤー「CD 50n」と組み合わせたところ

プリ部

2020年に発売された「MODEL 30/SACD 30n」を皮切りに採用が始まった、新世代のマランツを象徴する筐体デザインを採用。

シルバーゴールドモデル

マランツのHi-Fiアンプの特徴でもある、フルディスクリート構成の電流帰還型増幅回路をプリアンプ部に採用。「ハイスピードでS/Nが高く、低歪という特長を備える非常に優れた増幅回路」だという。

さらに、左右チャンネルの等長、平行配置を徹底した基板上のレイアウトを上位機種から継承。空間表現力を磨き上げた。

オリジナルの高速ディスクリート・アンプモジュール「HDAM」をさらに発展させた、低歪み型HDAMをプリ部に採用。従来モデルに対して約40%歪率を改善。

チャンネル間のクロストークとギャングエラーを極小化するために、可聴帯域外に至るまで優れた特性を備える高性能ボリュームコントロールICを採用。機械式ボリュームでは構造上避けられない左右チャンネル間のクロストークや音量差が生じないため、空間表現力を大きく向上できるという。

このボリュームコントロールICにHDAMとHDAM-SA2を組み合わせ、高性能なリニアコントロール・ボリューム回路を構成。一般的に使用される音量の範囲内ではプリアンプでの増幅を行わず、パワーアンプのみで増幅する可変ゲイン型として、「PM8006」に比べ7dBのノイズ低減を実現している。

ゼロクロス検出によるゲイン切り替えにより、ボリューム操作時にクリックノイズが発生しない。加速度検出システムにより、ゆっくり回すと小さなステップで高精度に、速く回すと素早く音量を調節できる。可変抵抗体を使用していないため、ボリュームパーツの経年劣化に伴う音質の変化も無いのが特徴。

パワーアンプ部

パワーアンプには、HDAM-SA3を用いたフルディスクリート構成の電流帰還型増幅回路を採用。ハイスピードでS/Nが高く、低歪率という特長を備える。

MODEL 50では出力段をパラレル・プッシュプルで構成することで、瞬時電流供給能力をPM8006の145%となる66Aまで引き上げ。スピーカー駆動力を大きく向上させた。

パラレル・プッシュプル構成のフルディスクリートアンプ

トランジスタから発生する熱を素早く拡散・放熱させるために、肉厚なアルミ押し出し材のヒートシンクを採用。100W+100W(4Ω)の大出力と接続するスピーカーや音量に関わらず常に安定した高品位なサウンドを両立している。

クリーンな電流を安定的に供給するために、瞬間的な大電流の要求にも耐えられるようにクラス最大級の大容量トロイダルトランスを搭載。このトランスは、PM8006比で質量が16%、直径が15%増加している。

左がMODEL 50、右がPM8006。筐体の奥行きが長くなり、レイアウトにも余裕が出来た事で、よりハイグレードなパーツが投入されている
クラス最大級の大容量トロイダルトランスを搭載

音質に悪影響を及ぼす漏洩磁束を抑えるために、垂直方向の磁束漏れを抑えるアルミ製ショートリングに水平方向の磁束漏れを抑える珪素鋼板シールドを加えた2重シールドを施した。固定用のボルトは非磁性体の真鍮を使うことで、磁界ループを遮断している。整流回路は、超低リーク電流ショットキーバリアダイオード。また、平滑回路には上級モデルで培われたノウハウをフィードバックしたマランツ専用カスタムブロックコンデンサー(18,000μF/63V×2)を使っている。

瞬時電流供給能力を向上させるために、MODEL 40nと同様のパワーアンプ用電源回路と出力段を一体化したショート・パワーライン・レイアウトを採用。大電流ラインを最短距離で結び、左右チャンネルを対称に配置することで、瞬発力と優れた空間表現力を両立している。

パワーアンプ回路への電源ラインを0.035mmの銅箔から1.0mmの銅製バスバーに置き換えることで電源ラインを低インピーダンス化し、瞬時電流供給能力を向上させている。

瞬時電流供給能力を向上させた

MMカートリッジ対応のフォノイコライザーも搭載。J-FET入力を採用し、パッシブDCサーボ回路を加えることによりACカップリングコンデンサーを排除し、信号経路の純度を向上させている。

上級機でも採用されている銅箔を用いた高音質フィルムコンデンサーなど、高品位なパーツを使用したサウンドチューニングも徹底している。

スピーカー出力にはマランツオリジナルのスピーカーターミナル「SPKT-1+」を装備。コア部は真鍮の無垢材から削り出し、表面処理はリスニングテストの結果、従来のニッケル下地 + 金メッキの2層ではなく、厚みのある1層のニッケルメッキを採用している。直径4.5mmまでのケーブルに対応、大型のスクリューで確実に固定できる。Yラグ、バナナプラグにも対応する。

入出力端子は金メッキ仕上げ。CD入力とPhono入力には、真鍮削り出しの堅牢なRCA端子を採用している。

メインシャーシに加え、1.0mm厚の鋼板を3枚重ねた4層構造のシャーシを採用することで、基板や電源トランスを強固に支持し、振動による音質への悪影響を排除。重心が低く安定したサウンドを実現した。

2.1chプリアウトも備えているため、外部パワーアンプの追加による音質向上や、サブウーファーの追加も可能。POWER AMP INに外部プリアンプを接続すれば、MODEL 50をパワーアンプとして使うこともできる。

CD 50nと組み合わせて使用する場合には、CD 50nの可変出力をPOWER AMP INに接続して、HEOSアプリや、CD 50nにHDMI接続したARC/CEC対応テレビのリモコンで音量などの操作も可能。

定格出力は70W + 70W(8Ω)、100W + 100W(4Ω)。スピーカー出力端子は2系統でA/B切り替え対応。音声入力端子はアンバランス×5、Phono(MM)×1、POWER AMP IN×1。音声出力端子は2.1chプリアウト×1、RECアウト×1、ヘッドフォン×1。消費電力220W、待機電力は0.3W。最大外形寸法は442×431×130mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は14.4kg。

背面端子部