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テレ東、自社スタジオ制作番組の6割を“バーチャルプロダクション”へ。'25年4月までに
2023年11月10日 18:00
テレビ東京ホールディングスは、仮想のデジタル映像とリアル映像を組み合わせる事で、コストを抑えながら多彩な映像表現を可能にするバーチャルプロダクション(VP)の本格導入を、他の放送局に先駆けて進めており、来春から順次、自社スタジオをVP化。まずは経済ニュースの「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「Newsモーニングサテライト」のVP制作がスタートする。
2025年4月までに、テレビ東京の自社スタジオを使って制作する番組の6割にVPを導入していく予定。
これに向けて、3DCGやゲーム開発などを手がけるD・A・Gに出資し、資本業務提携。出資比率は2割で、テレビ東京HDから役員も派遣し、持分法適用会社になるという。D・A・Gへの出資を含め、VP関連への投資額は最大で17億円。
制作プロセスやスタジオ運用の効率化を実現するとともに、テレビ東京のコンテンツ制作力とD・A・G社の3DCG技術の相乗効果で、「進化を続けるVPを使った魅力的な映像コンテンツを提供していく」とのこと。
バーチャルプロダクションは、グリーンバックや大型LEDディスプレイを背景に使い、3DCGなどで作った仮想背景と、位置情報センサーを取り付けたカメラで撮影したリアルな映像を合成する技術。
音楽番組でも導入しており、今年6月に放送した「テレ東音楽祭」では、ステージの背景に巨大なLEDディスプレイを設置。そこに3DCGで作った工場から立ち上る炎を映すことで、アーティストがその場所でリアルに演奏しているかのようなシーンを演出した。
効率化によるメリットもあり、背景セットを3DCG化することで、美術セットの制作費を削減。番組ごとのスタジオセット(背景の美術セットなど)の切り替え作業には、大道具・小道具を入れ替えたりするため数時間かかるが、VPでは背景の3DCGを切り替えるだけなので、短時間でのセットチェンジが可能。スタジオの稼働率を大幅に引き上げられ、利用状況に応じて一部のスタジオを外部に貸し出すことも検討するという。
10月からは、一部のレギュラー番組にVPを導入。例えば、3DCGで巨大なサッカースタジアムを作り、スタジオのリアルな人物と合成して、あたかもその場にいるような臨場感のある映像表現を実現。
ドラマでも活用する。2023年3月にテレビ東京で放送したドラマ「ひとひらの初恋」では、全てのシーンの背景を大型LEDディスプレイを使ったVPで制作している。
