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NHK、“コンテンツ起点”の新経営計画。受信料・支払率は現状維持

NHK(日本放送協会)は9日、2024-2026年度の経営計画を公表した。「コンテンツ戦略 6つの柱」を掲げ、放送・デジタル共にコンテンツ起点で考える体制を構築することで視聴者・国民の公共的価値の実現を目指す。受信料については、世界的インフレと厳しい財政状況のなかでも1割値下げした料額を堅持し、支払率は現在の水準77%を維持する。

経営計画は、同協会の具体的な経営や行動目標を示したもので、放送法で3年以上5年以下の期間ごとに公表することが規定されている。新たな経営計画では「情報空間の参照点」を提供すること、「信頼できる多元性確保」に貢献することを軸とし、公共放送の役割を果たしていくという。

その実現のために「コンテンツ戦略 6つの柱」を設定。災害時などの緊急報道やフェイクニュース対策、世界的課題の解決、教育コンテンツの開発、映像資産を最大限活用した教養・エンターテインメントの発信、ユニバーサルサービスの強化など、それぞれに目標を持ち、視聴者・国民の公共的価値を実現する。

NHK経営計画(2024-2026年度)より

次の3カ年においても、経営改革を引き続き推進。コンテンツの質・量を確保した上で、総量の見直し・設備投資の大幅削減を実施し収支を改善。2027年度までに1,000億の支出削減を目指す。メディアの整理・削減も行ない、2024年度の衛星放送2波化、2026年度のラジオ放送2波化を行なう。

受信料については、収支均衡・値下げした料額を堅持し、料金体系の変更は実施しない。また受信料の公平負担の徹底を図るため、視聴者との接点(デジタル・書面・対面・外部団体等)を開発・拡大。契約の申し出や支払いの利便性など、NHKへの理解を高める時代に即した“新たな営業アプローチ”を推進するという。支払い率は現在の水準である77%を維持する。

なお2024年度の収支予算は、事業収入が6,021億、支出が6,591億円となり、赤字分の570億円は還元目的積立金で補てんする。

NHK経営計画(2024-2026年度)より

ネット配信の“必須業務”化は法整備後、24年度内に準備

ネット配信サービス「NHKプラス」やNHKのニュースサイトなどの業務内容を示す「2024年度インターネット活用業務実施計画」も、同日合わせて公表された。

NHKプラスに関しては、従来通りすべての放送時間で同時配信を提供。総合は1日24時間、Eテレは19時間程度を見込む。地方向け番組の提供も継続し、18時台のニュース番組はNHKプラスで配信。さらなる拡充に向け、設備の整備を行なう。また衛星放送のおすすめ番組も提供を開始。衛星放送で放送した一部番組を提供し、4K映像を含め、衛星放送の魅力を伝える計画。

今年7月から開催されるパリ五輪は、特設サイトで競技映像を提供予定。NHKプラスでは地上波のすべての競技中継と関連番組配信する。

なお、昨年8月に総務省の有識者会議から提言されたネット配信の“必須業務化”に関しては、改正放送法が国会で成立した場合、2024年度内に準備を行なう、とした。