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NHKネット配信「必須業務化」提言。受信料は「スマホ購入のみで費用負担求めるべきではない」

総務省は29日、NHKのネット活用業務などについて議論する公共放送ワーキンググループ第13回を開催。その中で、NHK地上波放送のネットでの同時・見逃し配信を、NHKの“必須業務”とする事や、テレビを持たずにネットを通じてNHKの番組を視聴する人についても、相応の費用負担を求める事などを盛り込んだ取りまとめ案が作られた。

一方で、スマホやPCなどの通信端末を取得・保有しただけで「NHK放送を受信できる受信設備を設置した者」と同等とし、費用負担を求める事は「視聴者の理解を得ることができないため、適当ではない」とし、「受信設備を設置した者」と“同等と評価される行為を行なった者”に対して費用負担を求めることを基本とする。

この“同等と評価される行為”の具体的内容は、スマホを購入しただけでは対象とならず、例えば、NHKの放送番組を視聴する意思が外形的に明らかになるような、「アプリのダウンロード、IDやパスワードの取得・入力、定期間の試用・利用約款への同意などの行為も含めて解釈していくことが必要との指摘も踏まえ、今後、総務省において制度化の検討を進める中で、これらの積極的な行為が費用負担の要件であることを、視聴者にとってわかりやすい形で明確化を図っていくべき」とした。

また、現在のテレビなどの受信設備の設置に伴う受信契約は世帯単位だが、スマホやPCなどの場合、契約を個人単位とするのかなど、単位に関する課題については、「インターネットの普及等に伴う視聴実態を勘案しつつ、引き続き検討すべき」としている。

公共放送ワーキンググループ取りまとめ(案)概要より

急速に進む視聴者の“テレビ離れ”に、スピーディーに対応するため、要の制度整備を早急に進めるという。また、地上波テレビ放送以外の、衛星放送、国際放送、地上波ラジオ放送の同時・見逃しネット配信については、「今後、ワーキンググループにおいて速やかに検討し、年内を目途に結論を得る」とのこと。

必須業務として実施するインターネット活用業務の具体的な範囲・提供条件については、今後、法制化に向けて、NHKが原案を策定するに当たり、総務省において、NHKに加え、民間放送事業者、新聞社・通信社等の関係者が参加する場を設け、NHKが検討に着手することを促すなどして、「関係者の声を十分に反映するように努める」という。

取りまとめ案では、NHKについて「視聴者のコンテンツ視聴スタイルが急速に変化する中、NHKは、メディアの多元性を確保する上で重要な役割を果たす放送の二元体制の枠組みの下で、放送という手段に加え、インターネットを通じて放送番組を視聴者に提供する役割を主体的に担うべき」と指摘。「NHKと民間放送との並存と競争を旨とする二元体制の趣旨を踏まえ、公正競争に関するNHKの配慮義務を法定することについて、今後の法制化の過程で検討すべき」としている。