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NHKネット配信は「受信契約の対象。相応の費用負担をお願いする」

NHK資料「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合(第3回)説明資料」より

日本放送協会(NHK)は、総務省の会合において、将来NHKインターネットサービスの必須業務化が改正放送法で決まった場合の基本的な考え方を説明。負担のあり方について、「必須業務として実施する以上、インターネットでの提供についても、受信契約の対象として相応の費用負担(受信料)をお願いすることになる」との考えを示した。NHKプラスのような動画サービスだけでなく、NHK NEWS WEBなどの報道サイト等も対象となる。なお、テレビ受信料を支払っている場合は、追加の負担なくネットサービスを利用できる。

1月31日に行なわれた、第3回「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合」で示されたもの。

同会合は2023年11月から月1ペースで開かれており、NHKのネット活用業務が必須業務化された場合の競争評価の仕組み、具体的な業務範囲等を関係者らで議論すると共に、NHKによる原案の策定に向けた検討を促す目的で設置された。構成員は有識者、NHK、日本新聞協会、日本民間放送連盟、総務省で、2024年夏ごろの意見取りまとめを予定している。

総務省資料「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合の概要」より

第3回会合では、NHKが「必須業務化の基本的な考え方」「コンテンツの具体例」「多元性の確保と負担のあり方」を説明した。

まず、NHK自らの究極の使命は、放送法第1条に記された「放送が健全な民主主義の発達に資する」ことであり、そして「その使命・役割を果たすべく『情報空間の参照点』を提供し、『信頼できる多元性確保』へ貢献していく」ことを改めて説明。

その上で、今後ネット活用業務が必須業務化となった場合、NHKに求められることとして、「視聴者・国民において、放送経由でも、ネット経由でも、同等の、変わらない、同一の価値、同一の受益をもたらすこと」、「ネットでのみ受信している場合にも、テレビで受信している場合と相応の費用負担をお願いすること」の2点を列挙。「放送と同じ効用、価値をインターネットで届ける以上、受益・負担もそれぞれ放送と変わらない、という考えだ」とした。

そして、「放送を目的としないネットオリジナルのコンテンツを取材・制作することはないこと、放送と同じ受益を果たすためには放送そのままではなく、ネットの特性にあわせてコンテンツを提供していく必要があること、テレビで受信料を支払っている方との間で不公平が生じない形でコンテンツを提供することも重要だ」とコメント。

「放送とインターネットでは、番組やコンテンツに触れる環境や対応が当然異なる。この違いに留意し、適切な方法でコンテンツを提供することで、同一の価値、同一の受益を果たすことが重要であると考えている」と語った。

NHK資料「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合(第3回)説明資料」より

NHKが現状検討している必須業務の基本は、NHKプラスのような「放送の同時配信・見逃し」と、NHK NEWS WEBのような「報道サイト」を見込む。

その上で、ネットの特性に合わせたコンテンツ提供例としては、放送番組と必要な情報を選択・再確認できたり、時系列や地図表示によって文脈や全体像を把握できる「災害情報マップ」や、通年で教育番組や学習のエッセンスを簡潔にまとめたクリップを提供している学校教育サイト「NHK for School」などを想定しているという。

NHK資料「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合(第3回)説明資料」より

負担のあり方については、「必須業務として実施する以上、インターネットでの提供についても、受信契約の対象として相応の費用負担(受信料)をお願いすることになる」と説明。

そして、「その際は、テレビを設置し、NHKの放送を受信できる環境にある方に契約をお願いする従来の受信料制度との整合が重要と考えている」、「いわゆるペイウォールのような、料金を支払う事で初めて利用できるかたちとは異なる方法で実施する想定」と話した。

スマートフォンやPCなどの通信端末を取得・保有しているだけでテレビ設置した場合と同等に考えるのではなく、あくまで、「視聴する意思が外形的に明らかになるような何らかの積極的な行為が費用負担の要件」としながら、費用負担の方法の詳細については「技術的な課題も含め、現在様々な方法を検討中。時期が来たら、改めて説明をしたい」と述べた。

受信料を支払わないまま、NHKのネットサービスが見れてしまうようなフリーライドについても対策を行なう。「技術的な安全性も考慮しながら進める」ことを前提に、例としては、受信契約の確認や現状のCASメッセージ同様の表示などを検討しているという。

NHK資料「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合(第3回)説明資料」より

最後に、「負担をあり方をめぐる考えと照らしあわせても、収支を勘案してインターネットによる事業に取り組む民間放送事業者と新聞社と大きく異なる前提でサービスを提供するものではない、というのがNHKの基本姿勢」、「必須業務化によって目指したいのは、取材体制をしっかり持った新聞社、民間放送事業者と共に『信頼できる多元性確保』へ貢献すること。そしてそのためには適切な競争評価を実施することが必要だと考えている」と話した。

第4回会合は、2月29日に行なわれる予定。