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没入型シートで「小さな空間での映画館」実現。「からあげクン」も販売、ローソン・ユナイテッドシネマ新劇場
2024年4月24日 14:22
ローソン・ユナイテッドシネマは4月24日、社名変更後初の新館となるシネマコンプレックス「ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい」の開業を前に、メディア向けの説明会を開催。全スクリーン・全席に“没入型”音響体感システム「FLEXOUND Augmented Audio」を導入した意図などを説明した。
ローソンのグループ会社であるユナイテッド・シネマは、2024年3月1日付けで社名を「株式会社ローソン・ユナイテッドシネマ」に変更。社名変更後初の新館となる「ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい」を4月26日に開業する。
同劇場はみなとみらい21地区にある大型商業施設「MARK IS みなとみらい」内に、新たにオープンする複合型映画館。スクリーン数は12で、座席数は1,050(車椅子スペース含む)。
所在地は、神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目5番1号 MARK IS みなとみらい5階で、MARK IS みなとみらいは、横浜高速鉄道みなとみらい線のみなとみらい駅から直結。
劇場名の“STYLE-S”は、ローソン・ユナイテッドシネマの次世代ブランドで「特別(Special)で、とびきり(Superior)な体験をご提供すると共に、お客様の感性(Sensitivity)を刺激する空間で、洗練された(Sophisticated)音響(Sound)と、選りすぐり(Selected)の鑑賞席(Seat)で、素晴らしい(Sensational)鑑賞環境を提供する」という意味が込められている。
最大の特徴は、フィンランドで拡張音響システムの開発を手掛ける「FLEXOUND」(フレックスサウンド)の特許技術を用いた“音と振動を発生させるスピーカー”を内蔵した椅子を全スクリーン・全席に導入していること。この椅子の枕や背部から発する音と振動によって、全身で音を感じることができる。
FLEXOUNDは世界各国の映画館で導入実績を持ち、日本ではローソン・ユナイテッドシネマのみが導入。すでに東京・台場の「ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場」で稼働しているが、全スクリーン・全席への導入は世界初となる。
またアクアシティお台場でFLEXOUNDを利用する場合、プラス200円の追加料金がかかるが、STYLE-S みなとみらいでは追加料金はなく、通常の映画鑑賞料金でFLEXOUNDを楽しめる。
この通常シートとは別に、広くゆったりとした座り心地の革張りシートでより深い没入感を味わえる「音響体感プレミアムシート」も特別料金3,000円(ワンドリンク引換券付き/会員2,500円)で用意する。
オープニング特別上映作品として、スター・ウォーズの全エピソードの一挙上映や、ハリー・ポッターの全作品順時上映、「トップガン:マーヴェリック」の上映などが予定されている。
FLEXOUNDで「小さな空間でも映画館を作れる」
説明会では、ローソンの常務執行役員 エンタテインメントカンパニー プレジデント 渡辺章仁氏と、ローソン・ユナイテッドシネマの代表取締役社長 清水俊英氏が、新劇場の特徴や社名変更の背景について説明。あわせて新ロゴも披露した。
清水代表取締役社長は、「私たちは過去からラージフォーマットと言われる、4DXやIMAX、スクリーンXなどを先行して入れてきました。リーディングカンパニーとしての自負を持っており、業界全体のスクリーン数のシェア率は11.2%ですが、ラージフォーマットと言われる設備については高い数値を残しております」とコメント。今回のFLEXOUNDについても、国内で導入しているのは同社だけであることを改めて説明した。
「世の中にはいろいろな映像を見る、体験する機会が増えてきておりますので、(映画館という)リアルの空間で、よりお客さまが映像に熱中する機会、より没入感が得られるものを展開する必要性を感じております」
「(FLEXOUNDは)シートの頭の後ろの部分にスピーカーがあり、そして背中を通して振動を体感できる設備となっております。音の体感というのは、映画館ではまず劇場の左右にスピーカーがあるというのが前提ですが、FLEXOUNDは椅子自体から音が発せられることで、低音から高音まで身体に直接伝わります。また音を空気を通さず皆さんの身体で直接感じていただけます。これはやはり家庭では楽しめない映像体験です」
また、FLEXOUNDは既存の商業施設内に映画館を出店する際、スペースや防音などの面において、ほかのラージフォーマットなどと比べて優位性があるという。
「既存の建物に映画館を作る際、興行法や建築基準法など、いろいろとクリアしないといけない課題がありますが、FLEXOUNDでは椅子自体に音響設備が入っているので、防音に関しての見解も今までの映画館とは違う形で展開できます。そういった意味では、そもそも映画館がなかった商業施設のなかに映画館を作ることも可能ですし、多くの観客を入れるような箱を作らなくても、小さな空間でもFLEXOUNDを入れることで(映画館を作ることが)可能になります」
またSTYLE-S みなとみらいでは、映写室をあえて作らず、劇場内の廊下の上に映写機を置くなどして、スペースの効率化を図っていることも明かされた。
ローソンの渡辺常務執行役員も、「大規模なスクリーンは人口だとか、人数が少ないところでは作りづらいという課題がありました。自分の街にスクリーンがない“スクリーン難民”とも呼べる方が日本には多数います」と言及。この問題を解決するために、既存の商業施設や、大型シネコンを出店できるほど人口が多くない場所にも映画館を作れる技術を10年来研究しており、全スクリーン・全席にFLEXOUNDを導入したSTYLE-S みなとみらいは、その解決法のひとつであるとの考えを示した。
「ローソン=エンタメ」を強化。映画館で「からあげクン」も販売へ
また渡辺常務執行役員は、ユナイテッドシネマの社名変更について、「ローソン=エンタメ」という印象を強めていきたいからだと意図を説明する。
「2025年、ローソンは50周年を迎えます。それに向かって『Global Real × Tech Convenience Lawson Group』を標榜して、これから走っていこうと思っています。リアルサービスとしては国内・海外CBS、ローソン銀行の金融事業、成城石井のスーパー事業、そしてエンタメ事業を柱としています。そして今後はテックを活用して、新しい価値観、新しいベントを提供していきたいと考えております」
「ローソンは今、全国に14,600店舗あり、みなさまに親しまれていると思いますし、誰もが知っている存在だと思います。そんなローソンの名前をつけることで、ローソン・ユナイテッドシネマにも親しみを持っていただきたい」
「また、ローソンというとコンビニエンスストアが想起されると思いますが、“ローソン=エンタメ”というところも印象付けていきたいと考えており、エンタメ流通業No.1の実現に向けて、グループシナジーを活かして領域を拡大していきたいと考えております」
そんなグループシナジーの活用例として、劇場内ではローソン店舗で販売している「焦がしバター香るカヌレ」や「マカロン」といったオリジナル冷凍デザートを、劇場オリジナルパッケージで販売するほか、ナッツやチョコレートなどのナチュラルローソン菓子も展開。実績をみて、今後各劇場にも展開していきたいという。
さらに2024年夏にはローソンの看板商品である「からあげクン」も全国の劇場に段階的に展開を予定しているほか、物販についても、ローソン店頭で行なっているオリジナルのキャンペーンに紐づくものなどを、ローソン・ユナイテッドシネマで展開していきたいとのこと。
あわせて発表されたローソン・ユナイテッドの新ロゴは、ローソンサインのフォルムとユナイテッド・シネマが融合し、多様性を表す「形」「色」のもとに、みんなが集まり、色とりどりの光でマチを照らしてく様をイメージしたというもの。「既存の映画館の枠にとらわれない、様々な光の反射や変化から新しい価値やエンタメを造り出すニューコミュニティシネマを目指す」としている。
なお、現在ユナイテッドシネマとして運営している劇場も、今後順次ローソン・ユナイテッドシネマに切り替えていく予定。