ニュース

“蛍の光=閉店”が伝わらない!? USEN、大創産業、早大が「新しい閉店音楽」制作

USENと100円ショップのDAISOを展開する大創産業は、早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所とともに「蛍の光(別れのワルツ)」に代わる新たな閉店音楽「Good Day ~閉店の音楽~」を制作し、6月11日からDAISOの国内全直営店含めた約2,900店舗で使用開始した。

USEN音楽配信サービスのBGM専用チャンネルにて、一般店舗でも広く利用可能。

店舗では、閉店時間を知らせる音楽として「蛍の光(別れのワルツ)」が広く使われてきたが、外国人をはじめ“蛍の光(別れのワルツ)=閉店”というイメージに結びつきづらい人や、閉店時間の声がけがしづらいといった状況が見受けられるという。

そこでUSEN、大創産業、早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所は「さりげなく閉店時間であることを伝えながらも、快くお帰りいただけるような新しい閉店音楽」の制作を目的とした共同研究を行ない、「Good Day ~閉店の音楽~」を制作した。

同楽曲は早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所と行なった共同研究により得られた、閉店のイメージを持つ音楽の特徴に基づき、USENが制作したオリジナル曲。「郷愁感」をキーワードに小編成のオーケストラでゆったりとした曲調に仕上げてられている。

研究では、予備調査として、一般男女150名を対象に数種類の音楽を聴かせ、閉店音楽としての「ふさわしさ」と、その音楽から想起する印象語を調査。その結果、閉店音楽としてふさわしい曲は「郷愁」「自然」「美しい」「落ち着く」「静か」といった印象を感じさせることが明らかになったという。

次に、DAISOの店舗スタッフ657名を対象に予備調査で選出された閉店音楽の妥当性を確かめる調査を行ない、そこで特定された音楽の特徴を取り入れて、新しい閉店音楽となる「Good Day ~閉店の音楽~」を制作。さらに、この曲を複数のDAISOの店舗で実際に放送し、放送していない店舗と比較する出口調査を実施して、来店者に与える印象について確認した。

その結果、新しい閉店音楽のほうが営業中のBGMよりも「店にふさわしい」「郷愁を感じる」「好ましいBGM」の項目が有意に高くなることが示されたほか、閉店時間の音楽にふさわしく、店舗の評価を高め、顧客満足度や再来店意向を高める可能性があることが明らかになったという。研究の詳細は、USENが運営するサイト「音空間デザインラボ」に掲載されている。

研究に参加した早稲田大学 マーケティング・コミュニケーション研究所は「閉店時間であることをお客様にお知らせしますが、強制的であるという印象を与えず、店舗への満足度を損なわない、さらには、再び来店したいと思ってもらえるような音楽はないか、といった問題意識が出発点になっています。いくつかの調査と分析を経て、狙い通りの曲に仕上がりました」とコメントしている。

早稲田大学 マーケティング・コミュニケーション研究所によるコメント

近年、マーケティングではセンサリーという視点が注目されています。これは、音楽や香りなど五感を刺激することにより、消費者に意識させることなく何らかの行動を引き起こそうとするものです。今回の共同研究では、店舗の閉店時の音楽に注目しました。

閉店時間であることをお客様にお知らせしますが、強制的であるという印象を与えず、店舗への満足度を損なわない、さらには、再び来店したいと思ってもらえるような音楽はないか、といった問題意識が出発点になっています。いくつかの調査と分析を経て、狙い通りの曲に仕上がりました。今後は、出来上がった曲を実際の店舗で流すことにより、閉店時におけるお客様の行動や、その後の来店にどのような変化が生じるのかを追跡していきたいと思います。

恩藏直人(早稲田大学教授)、平木いくみ(東京国際大学教授、本研究所招聘研究員)、須永努(早稲田大学教授)